「CIM」の基本知識

CIMに必要なデータとは?属性情報や連携形式をわかりやすく解説


更新日: 2026/02/12
CIMに必要なデータとは?属性情報や連携形式をわかりやすく解説

この記事の要約

  • CIMは3次元モデルと属性情報を組み合わせたデータ活用技術
  • 連携形式には国際標準のIFCや土木特化のLandXMLがある
  • 目的や段階に応じて詳細度LODを適切に選ぶことが成功の鍵
『蔵衛門クラウド』で情報伝達をスムーズに

CIM(Construction Information Modeling/Management)で活用されるデータの全体像

CIMの活用において、視覚的な3次元形状を作成することは第一歩に過ぎません。本質は、その形状に多用な情報を紐付けて一元管理することにあります。ここでは、CIMを構成するデータの定義や、BIMとの主な違い、そして情報の核となる要素について詳しく解説します。

CIMの定義とBIMとの主な違い

CIMは、土木分野における調査、設計、施工、維持管理の各段階で発生する情報を、3次元モデルを介して一元管理する仕組みです。建築分野で先行していたBIM(Building Information Modeling)の概念を、より広域で不確定要素の多い土木構造物に応用したものです。

以下の表は、BIMとCIMの主な違いをまとめた比較表です。

項目 BIM (Building Information Modeling) CIM (Construction Information Modeling)
主な対象 建築物(ビル、マンション、店舗など) 土木構造物(ダム、橋梁、道路、河川など)
データの複雑性 垂直方向の構造が中心で、部材が規格化しやすい 地形、地質、地下埋設物など不規則で広域な情報
主な目的 建築設計の効率化、意匠・設備の干渉チェック 全工程の情報共有、周辺環境との整合、維持管理の高度化
標準化の現状 国際標準(ISO)が普及しており汎用性が高い 国土交通省による独自の要領・基準が急速に整備中

[出典:国土交通省 BIM/CIM利活用ガイドライン]

CIMを構成する「3次元モデル」と「属性情報」の役割

CIMデータは、目に見える「形」と、その中身である「情報」の二層構造で成り立っています。この両者が揃うことで、初めて建設DXを推進する基盤となります。

CIMデータの二大構成要素
  • 3次元モデル(幾何形状データ)
    構造物の外形、寸法、位置を立体的に表現するデータです。視覚的な理解を助け、図面だけでは判別が難しい部材同士の干渉を事前に発見するために使用されます。

  • 属性情報(アトリビュートデータ)
    3次元モデルの各部材に関連付けられた文字や数値のデータです。「この柱のコンクリート強度は何か」「いつ施工されたか」といった、形状以外のあらゆる情報を保持します。

建設現場のタブレットに表示された3D橋梁モデルとデータの重なり

CIMに必要な「属性情報(アトリビュート)」の具体例と重要性

属性情報は、3次元モデルに「知能」を与える役割を果たします。単なる図面をデジタル化しただけでは得られない、高度な検索性や分析機能はすべてこの属性情報によって実現されます。ここでは、実務で必要となる具体的な項目とその価値を整理します。

属性情報に含まれる主な項目

国土交通省が定める基準に基づき、CIMモデルに付与されるべき属性情報は多岐にわたります。これらは一元化されたデータベースとして、施工中だけでなく完成後も活用されます。

  • 基本情報
    部材の固有名称、部材種別、ユニークな管理ID(GUID)、位置座標、所属する構造物名などが含まれます。

  • 材料・品質管理情報
    使用されている材料の規格、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の呼び径、品質試験の結果、製造メーカー名などです。

  • スケジュール・工程情報
    着工予定日、実際の打設完了日、検査日、引き渡し日などの時間軸データです。

  • コスト・数量情報
    材料の単価、算出された体積や面積、労務費、発注先情報などが紐付けられます。

  • 維持管理情報
    耐用年数、過去の点検日、損傷の有無、補修履歴、定期点検のスケジュールなどが含まれます。

維持管理フェーズで属性情報が果たす役割

建設後の維持管理期間は数十年におよびます。CIMデータに詳細な属性情報が蓄積されていれば、現場で不具合が見つかった際、モデル上の部材を選択するだけで「施工時の担当者」「使用材料のロット」「当時の検査写真」を一瞬で引き出すことができます。これにより、劣化原因の特定が早まり、修繕計画の精度が飛躍的に向上します。

属性情報の付与における注意点

情報の密度が高ければ高いほど良いというわけではありません。実務上は以下の2点に注意が必要です。

属性付与の際の重要ポイント
  • データ容量の管理
    不要な情報を詰め込みすぎるとファイルサイズが肥大化し、ソフトウェアの動作が極端に重くなります。

  • 入力ルールの統一
    表記の揺れ(例:『コンクリート』と『生コン』)があると検索機能が働きません。プロジェクト開始前に厳密な入力基準を策定することが不可欠です。

CIMデータ構築の標準的な5ステップ

CIMデータを効果的に作成・運用するためには、場当たり的な作業を避け、標準化されたフローに従うことが求められます。以下に、初期計画から納品までの基本的なステップをまとめました。

  1. 1. 実施方針の決定と目的の明確化

「干渉チェックが目的か」「数量算出が目的か」によって、作成すべきモデルの細かさが変わります。発注者と協議し、活用目的と目標とするLOD(詳細度)を確定させます。
  1. 2. 3次元形状モデル(幾何形状)の作成

測量データや2次元設計図に基づき、3次元CADソフトで構造物や地形のモデルを構築します。この段階では、まず外形を正確に再現することに集中します。
  1. 3. 属性情報の紐付け(アトリビュート入力)

作成したモデルの各パーツに対し、名称や材料等の必要な情報を入力します。Excelデータなどから一括インポートする機能を活用し、効率化を図るのが一般的です。
  1. 4. データの整合性チェックと干渉確認

統合モデル作成ソフトを使用し、モデルと属性情報が正しくリンクしているか、設計上の不整合(部材同士の重なり)がないかを厳密に検証します。
  1. 5. 成果物の書き出しと電子納品

指定されたデータ形式(IFC、LandXML等)に変換し、国土交通省の電子納品基準に沿ったフォルダ構成で納品データをパッケージングします。

CIMにおけるデータ連携形式と互換性のポイント

CIMプロジェクトには発注者、設計、施工など多岐にわたる組織が関与し、それぞれ異なるソフトを使用します。そのため、データの「連携形式(ファイルフォーマット)」の選択が、情報の寸断を防ぐ鍵となります。

主要なファイル形式の比較

現在、日本のCIM実務で標準的に使用されている主要なファイル形式を以下の表にまとめました。

形式名 特徴 主な用途
IFC (Industry Foundation Classes) 国際標準のプラットフォーム。形状と属性情報の両方を保持可能。 異なるソフト間での総合的なデータ交換
LandXML 地形や道路の線形データに特化したXML形式。 測量データ、道路中心線、縦断形状の連携
DWG / DXF 汎用CAD形式。図面データの互換性が高いが、属性情報の保持には制限。 詳細な形状データのやり取り
NWD / NWC (Navisworks) 複数のモデルを統合し、軽量に表示・閲覧するための形式。 大規模プロジェクトの統合・干渉チェック

[出典:一般社団法人 openBIM 協議会 資料]

ソフトウェア間のデータ連携をスムーズにする「オープンBIM/CIM」

特定のソフトウェアベンダーに依存せず、IFCなどの共通フォーマットを介して自由にデータをやり取りする考え方を「オープンBIM/CIM」と呼びます。これにより、発注者は高価な特定のソフトを保有していなくても、ブラウザや無償ビューワーで成果物を確認できるようになり、業界全体の透明性と効率性が高まります。

CIM導入におけるよくある不安と解決策

CIMの導入には、技術的な障壁だけでなく、コストや体制面での不安が伴います。しかし、多くの課題にはすでに明確な解決策が提示されています。

データの標準化が進んでいないことへの懸念

「ソフトが変わるとデータが壊れるのではないか」という不安は根強いものです。現在、国土交通省は「BIM/CIM基準・要領」を毎年アップデートしており、どのような形式で、どのような項目を入力すべきかのルールが明確化されています。この公的なガイドラインに従うことで、データの非互換性リスクは最小限に抑えられます。

膨大なデータ作成にかかる工数とコストの負担

初期段階での3Dモデル作成やデータ入力の負荷は、従来の2D業務より増大します。しかし、施工段階での手戻り(ミスによるやり直し)が劇的に減ることで、最終的なプロジェクト全体のトータルコストは削減される傾向にあります。初期投資を「保険」や「品質向上費」として捉える視点が重要です。

専門スキルを持つ人材不足への対応方法

専門のオペレーターを社内で一から育てるのは時間がかかります。解決策として、まずは「部分的なBIM/CIM外注(コンサル活用)」から始め、実務を通したOJTでノウハウを蓄積するスモールスタート方式が推奨されます。

会議室でデジタルツインの3Dモデルを囲み議論するエンジニア

CIMデータの詳細度(LOD)の比較検討

CIMでは、全ての工程で最高密度のデータを作る必要はありません。目的に応じて「作り込みの深さ」を調整する概念がLOD(Level of Development)です。

LOD(Level of Development)の概念と推奨レベル

LODは、モデルがどれだけ具体的で信頼できる情報を持っているかを示す指標です。

レベル 内容の定義 主な活用フェーズ
LOD 100 概略の形状(概念図)。寸法や位置は不確定。 概略計画・ルート検討
LOD 200 おおよその寸法、形状、位置が特定されている。 基本設計
LOD 300 正確な寸法と数量を持ち、属性情報が付与される。 詳細設計・積算
LOD 400 鉄筋の配筋や接合部など、施工に必要な詳細情報を含む。 施工管理・製作
LOD 500 現場の施工実績を反映した「完成状態」のモデル。 維持管理・運用

目的(設計・施工・維持管理)に合わせた最適なデータ密度の選び方

LODの設定ミスは、作業の無駄や性能不足を招きます。例えば、周辺住民への説明用(合意形成)であればLOD 200程度の外観があれば十分ですが、コンクリートの打設量を算出したり干渉チェックを行ったりする場合は、LOD 300から400の精度が必須となります。「誰が、何のためにこのデータを使うのか」を逆算してLODを設定することが、効率的な運用の鉄則です。

まとめ

CIMは単なる3D CADの延長ではなく、建設プロセス全体で情報を活用するための「データ管理手法」です。3次元モデルという器に、正確な属性情報を詰め込み、共通の連携形式で流通させることで、初めてその真価を発揮します。
導入当初は情報の多さに戸惑うことも多いですが、適切なLODの設定と、オープンBIM/CIMの考え方を取り入れることで、生産性向上と維持管理の高度化という大きな恩恵を享受できるはずです。まずはデータの構成要素を正しく理解し、自社の業務に最適な活用方法を見極めることから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. CIM対応のソフトは何を選べば良いですか?

道路、橋梁、ダムなど、得意とする構造物がソフトごとに異なります。選定の際の絶対条件は、日本の「BIM/CIM基準・要領」に準拠したIFC形式やLandXML形式の書き出しが可能であることです。まずは、自社が扱う主要な工種に強いソフトを比較検討してください。

Q2. 属性情報は手動で入力しなければなりませんか?

すべてを手入力する必要はありません。多くのCIMソフトには、外部のデータベースやExcelファイルを読み込んで一括付与する機能があります。また、部材を配置した時点で標準的な情報を自動で付与する機能(ライブラリ機能)を使いこなすことが、工数削減のポイントです。

Q3. CIMは小規模な工事でも導入するメリットがありますか?

はい、あります。規模が小さくても、地下埋設物が多く干渉リスクが高い現場や、構造が複雑な箇所では、3次元モデルでの事前検証が事故防止に直結します。全体ではなく、リスクの高い特定の部位のみをCIM化する「部分活用」から始めることで、高い費用対効果が得られます。

Q4. 属性情報の付与はどのタイミングで行うのが最適ですか?

情報の確定タイミングに合わせて段階的に行います。設計段階で確定した材料情報は設計時に、施工中に決まった詳細な打設日や試験結果は施工中に入力します。後からまとめて入力しようとすると情報の欠落が発生しやすいため、都度入力が基本です。

[出典:国土交通省 BIM/CIM関連基準・要領]

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