「CIM」の基本知識

CIM対応ソフトとは?導入時に選ばれる定番ツールを比較


更新日: 2026/01/14
CIM対応ソフトとは?導入時に選ばれる定番ツールを比較

この記事の要約

  • CIMの定義やBIMとの違い、国交省の原則適用を詳しく解説。
  • 定番のCIM対応ソフトを比較表でまとめ、各ツールの強みを明確化。
  • 導入コストやPCスペック、失敗しない選び方を網羅的に紹介。
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そもそもCIM(BIM/CIM)とは?建設業界で普及が進む理由

CIMは、建設業界の生産性向上と業務効率化を実現するためのデジタル技術の総称です。現在、日本の土木・建設現場では、国土交通省の主導によりCIMの活用が急速に義務化されつつあります。本項では、その基礎知識と普及の背景を解説します。

CIMの定義とBIMとの知識

CIM(Construction Information Modeling/Management)とは、土木・建設プロジェクトの調査・設計・施工・維持管理の各段階において、3次元モデルを導入し、情報を一元管理する仕組みを指します。

似た概念にBIM(Building Information Modeling)がありますが、これらは対象とする分野によって呼び分けられてきました。

  • BIM(ビム)
    主に「建築分野」における建物(ビル、住宅など)の設計・管理を指します。

  • CIM(シム)
    主に「土木分野」におけるインフラ構造物(道路、橋梁、ダム、河川など)の設計・管理を指します。

近年では、建築と土木の境界を設けず、建設プロセス全体でデータを共有する重要性が高まったことから、国土交通省においても「BIM/CIM」と統合して呼称されるようになっています。

国土交通省が進める「BIM/CIM原則適用」の背景

日本の建設業界では、深刻な労働力不足とインフラの老朽化が喫緊の課題となっています。これらの解決策として、国土交通省は建設DX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に推進しており、その一環としてBIM/CIMの活用を求めています。

令和5年度(2023年度)からは、小規模な工事を除く全ての直轄業務・工事においてBIM/CIMが原則適用となりました。これは、3次元データを用いることで設計ミスや手戻りを防ぎ、現場の生産性を飛躍的に高めることを目的としています。

CIM対応ソフトを導入する主なメリット

CIM対応ソフトの導入は、従来の2次元図面(2D CAD)による管理では実現できなかった多くの付加価値を現場にもたらします。

CIMソフト導入による主要な利点

・視覚的な合意形成:複雑な形状を3Dで可視化し、発注者や住民への説明時間を短縮
・干渉チェック:設計段階で部材同士の衝突を検出し、施工時の手戻り工事を削減
・属性情報の活用:モデルに材質や施工日などのデータを付与し、維持管理を効率化
・正確な数量算出:モデルから自動的に土量やコンクリート量を算出し、積算精度を向上

建設現場で最新のCIMソフトを使用して橋梁の3次元モデルを設計する技術者の写真

[出典:国土交通省 BIM/CIMポータルサイト]

CIM対応ソフトの主な種類と用途別の分類

CIM対応ソフトは多機能化が進んでいますが、用途によって「設計」「管理」「共有」の3つのカテゴリに大別できます。プロジェクトのどのフェーズで活用したいのかを明確にすることが、ソフト選定の第一歩となります。

3次元モデル作成・設計用ソフト

地形データや構造物の形状を詳細に作り込むためのソフトウェアです。

  • 地形モデルの作成
    航空写真や点群データから現況の3次元地形を生成します。

  • 構造物設計
    橋梁、トンネル、ダムなどの詳細な形状を設計し、配筋図や数量計算書と連動させます。
主に設計コンサルタントや、施工計画を策定する施工会社の技術者が使用します。

施工管理・シミュレーション用ソフト

作成された3Dモデルを活用し、工事の進捗や安全性を検証するためのソフトです。

  • 4D/5Dシミュレーション
    3Dモデルに「時間(工程)」や「コスト(積算)」を加え、バーチャルな施工手順を確認します。

  • 重機の配置検討
    重機の可動範囲や作業スペースが確保されているか、3D空間上で事前にシミュレーションします。

データ統合・共有プラットフォーム

異なるソフトで作られたデータを一つにまとめ、関係者全員で閲覧・共有するための環境です。これらはCDE(共通データ環境)とも呼ばれます。

  • ビューア機能
    専用のCADソフトを持たない関係者でも、ブラウザ等で3Dモデルを確認できます。

  • 一元管理
    最新の図面やモデルデータを常にクラウド上で同期し、古いデータによるミスの発生を防ぎます。

【比較表】導入時に選ばれる定番のCIM対応ソフト

国内のBIM/CIM市場において、特によく選ばれている定番のソフトウェアを比較します。各ソフトには得意不得意があるため、自社のメイン業務に合わせて選択する必要があります。

ソフトウェア名 開発元 主な得意分野 特徴・強み
Autodesk Civil 3D Autodesk 道路・土木設計 地形モデル、道路線形、土量計算に非常に強い。デファクトスタンダード。
Revit Autodesk 構造物・建築設計 橋梁、トンネル、建築物の詳細設計に最適。属性情報の管理機能が充実。
V-nasClair 川田テクノシステム 国内公共土木設計 日本の土木基準に準拠しており、国内の電子納品要領への対応がスムーズ。
InfraWorks Autodesk 構想設計・プレゼン 広域の3Dモデルを素早く作成可能。住民説明や景観検討に強い。
Trend-CORE 福井コンピュータ 施工BIM/CIM 現場の施工管理に特化。点群データ活用や出来形管理の操作性が高い。
OpenRoads Designer Bentley Systems 大規模インフラ 高度なパラメトリック設計が可能で、大規模プロジェクトでの実績が豊富。

[出典:各メーカー公式製品カタログ情報を基に作成]

導入前に解決したい!CIM対応ソフトに関する読者の不安

CIMソフトの導入には、コストや操作スキルなど、いくつかのハードルが存在します。これらを事前に把握し対策を立てることで、スムーズな移行が可能になります。

導入コストとハイスペックPCの推奨スペック

CIMソフトは高価なものが多く、またそれらを動かすためのPCにも高いスペックが要求されます。

導入時に必要な環境の目安

・ライセンス形態:現在はサブスクリプション(年契約)が一般的
・OS:Windows 10/11(64ビット)必須
・CPU:Core i7 / i9 または Xeon(高クロック推奨)
・メモリ:32GB以上を推奨(大規模データなら64GB)
・GPU:NVIDIA RTXシリーズなどのグラフィックボードが必須
・支援制度:IT導入補助金などの活用により負担軽減が可能

操作習得までの学習コストと教育体制

2D CADから3D CADへの移行には、一定の学習期間が必要です。

  • ベンダー講習の受講
    ソフトメーカーや販売代理店が実施するスクールに参加し、基礎を固めます。

  • 社内標準化の策定
    操作方法だけでなく、レイヤー名やデータの保存ルールを統一することで、属人化を防ぎます。

既存の2Dデータや取引先との互換性

「取引先とソフトが違うとデータが受け取れないのでは?」という不安に対しては、標準化されたファイル形式の活用が回答となります。

  • IFC形式
    BIM/CIMデータの国際標準形式。ソフトが異なってもモデルの形状や属性をやり取り可能です。

  • LandXML形式
    土木分野で地形や線形データをやり取りするための標準形式。

3Dシミュレーションモデルを活用してプロジェクトの合意形成を行う建設関係者の打ち合わせ風景

失敗しないためのCIM対応ソフトの選び方

多機能なソフトを闇雲に導入しても、使いこなせなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。以下の3ステップに沿って選定を行いましょう。

STEP 1:自社の業務内容と発注者の要領を確認する

まずは、自社が請け負う工事の「工種」と「発注者」を確認してください。

  • 道路や河川がメインの場合
    Civil 3DやV-nasClairのような、地形と線形設計に強いソフトを優先します。

  • 橋梁やトンネルがメインの場合
    Revitのように、構造物の詳細なパーツを組み立てるソフトが必要です。
また、国土交通省や各自治体が発行する最新の「BIM/CIM活用ガイドライン」や「電子納品要領」に、そのソフトが適合しているかを必ずチェックしましょう。

STEP 2:データの連携性(相互運用性)を重視する

CIMはデータの連続性が命です。

  • 測量データとの連携
    点群データを直接取り込み、現況モデルに変換できるか。

  • 外部出力の柔軟性
    発注者に納品する際に、指定のファイル形式(IFC等)へ不具合なくエクスポートできるか。

STEP 3:サポート体制とユーザーコミュニティを確認する

操作が分からなくなった時に、すぐに解決できる環境があるかは非常に重要です。

  • 日本語情報の充実度
    国内に多くのユーザーがいるソフト(Autodesk系や福井コンピュータ系)は、Web上に解決策が多く公開されています。

  • コンサルティングの有無
    単なる操作説明だけでなく、実際の業務に合わせた運用支援を行ってくれるベンダーを選ぶのが失敗を防ぐコツです。

まとめ:自社に最適なCIM対応ソフトでDXを推進しよう

本記事では、CIMの基本から定番ソフトの比較、選定のポイントまでを解説しました。

CIM(BIM/CIM)の導入は、もはや一部の先進企業だけのものではなく、建設業界で生き残るための標準装備となりつつあります。導入にあたっては、「自社のメイン業務は何か」「どのフェーズで活用したいのか」を明確にすることが、ソフト選びで失敗しないための最大の鍵です。

まずは比較表を参考に、無料体験版やベンダーのデモを利用して、実際の操作感を確認することから始めてみてください。建設DXの第一歩として、最適なCIMツールの導入を推進しましょう。

CIMに関するよくある質問(FAQ)

Q1. CIMソフトとBIMソフトは別々に購入する必要がありますか?

A1. 近年では、Autodesk社の「AEC Collection」のように、建築用のBIMソフト(Revit)と土木用のCIMソフト(Civil 3D)がセットになったパッケージが主流となっています。個別に購入するよりもコストパフォーマンスが良く、データ連携もスムーズなため、多くの企業がセットパッケージを選択しています。

Q2. 無料で使えるCIMソフトはありますか?

A2. 3Dモデルを閲覧するための「ビューア」には無料のものが多く存在します(Autodesk Viewerなど)。また、点群処理用のフリーソフト等もありますが、国土交通省への納品基準を満たす設計や属性情報の管理を行うには、信頼性と機能の面から商用ソフトの導入が不可欠です。

Q3. 小規模な工事でもCIM対応は必須ですか?

A3. 国土交通省の原則適用ルールでは、現在は小規模な工事については適用対象外となっています。ただし、地方自治体の発注案件においてもBIM/CIM活用の試行が始まっており、将来的にはあらゆる規模の現場で3次元データの活用が求められるようになると予想されています。

[出典:国土交通省 BIM/CIM原則適用方針(令和5年度版)]

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