建設業の人事担当が守るべき法令と制度とは?

この記事の要約
- 建設業人事が守るべき労働基準法のポイント
- 現場の安全を守る労働安全衛生法の基礎知識
- 建設業独自の法令・制度(建設業法・CCUS)
- 目次
- 建設業の人事担当者が押さえるべき最重要法令:労働基準法
- 労働時間・休憩・休日の基本ルール(36協定含む)
- 時間外労働の上限規制(建設業の猶予期間終了後の対応)
- 割増賃金の正しい計算方法
- 年次有給休暇の付与と取得義務
- 現場の安全を守る人事の役割:労働安全衛生法
- 安全衛生管理体制の構築
- 危険・有害業務への対策と安全教育の実施義務
- 健康診断の実施と事後措置
- 採用から退職まで:人事担当者が管理する社会保険・雇用保険
- 労働保険(労災保険・雇用保険)の適用と手続き
- 社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件と手続き
- 建設業特有の雇用形態と保険適用の注意点
- 建設業の人事業務に関連する独自の法令と制度
- 建設業法と人事労務管理の関連性
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)の概要と人事情報の登録
- 外国人技能実習制度・特定技能と人事担当者の役割
- 人事担当者必見!建設業に関わる近年の主要な法改正
- 働き方改革関連法への対応
- 2024年問題:残業上限規制適用と人事が取るべき対策
- (比較表)建設業における労働時間規制の変更点
- まとめ:法令遵守で働きやすい職場環境を実現する建設業の人事戦略
- 建設業の人事担当者向け「法令・制度」よくある質問
建設業の人事担当者が押さえるべき最重要法令:労働基準法
人事労務管理の根幹となるのが労働基準法です。特に建設業では、長時間労働の是正が喫緊の課題であり、2024年4月からの時間外労働上限規制の適用により、労働時間の取り扱いがこれまで以上に厳格化されています。法令違反は罰則の対象となるだけでなく、人材の採用・定着にも悪影響を及ぼすため、人事担当者による正確な理解と運用が不可欠です。
労働時間・休憩・休日の基本ルール(36協定含む)
労働基準法では、労働者の健康と生活を守るため、労働時間、休憩、休日に関する厳格なルールが定められています。これらは人事労務管理の基本中の基本です。
・ 法定労働時間:原則として「1日8時間・週40時間」を超えて労働させてはなりません。
・ 休憩時間:労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与える必要があります。
・ 法定休日:毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
・ 36(サブロク)協定:法定労働時間を超えて時間外労働(残業)をさせたり、法定休日に労働させたりする場合は、労働者の過半数で組織する労働組合(または労働者の過半数を代表する者)と書面による協定(36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。
時間外労働の上限規制(建設業の猶予期間終了後の対応)
建設業においても、2024年4月1日から時間外労働の上限規制が全面的に適用されました(災害の復旧・復興事業を除く)。これにより、36協定で定めることができる時間外労働に罰則付きの上限が設けられています。
・ 原則:時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」です。
・ 特別条項付き36協定:臨時的な特別な事情があり、労使が合意する場合(特別条項)でも、以下の上限を守らなければなりません。
1. 時間外労働は年720時間以内
2. 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
3. 時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」がすべて1月あたり80時間以内
4. 時間外労働が月45時間を超えられるのは、年6ヶ月が限度
・ 違反時の罰則:これらの上限規制に違反した場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。人事担当者は、現場の労働時間を正確に把握し、上限を超えないよう管理する体制構築が急務です。
[出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」]

割増賃金の正しい計算方法
法定労働時間を超える労働や、法定休日、深夜の労働には、法律で定められた割増率以上の賃金(割増賃金)を支払う義務があります。計算ミスは未払い残業代問題に直結するため、人事担当者は正確な計算方法を理解しておく必要があります。
・ 時間外労働:法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間。割増率は25%以上です。
・ 休日労働:法定休日に労働させた時間。割増率は35%以上です。
・ 深夜労働:午後10時から午前5時までの間に労働させた時間。割増率は25%以上です。
・ 月60時間を超える時間外労働:2023年4月1日より、中小企業においても月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられました。深夜労働と重なった場合は75%以上(深夜25%+時間外50%)となります。
年次有給休暇の付与と取得義務
年次有給休暇(年休)は、労働者の心身のリフレッシュを目的とした権利です。人事部門は、付与と取得管理を適切に行う責任があります。
・ 付与日数と要件:雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、勤続年数に応じた年休を付与する必要があります(例:6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日)。
・ 年5日の時季指定義務:年休の付与日数が10日以上のすべての労働者(管理監督者含む)に対し、企業側は年5日について、時季を指定して確実に取得させなければなりません。
・ 有給休暇管理簿:労働者ごとに「時季」「日数」「基準日」を明らかにした管理簿を作成し、年休を与えた期間中および当該期間の満了後5年間保存する義務があります。(2025年3月31日までは経過措置として3年間)
現場の安全を守る人事の役割:労働安全衛生法
建設業は他業種に比べ労働災害の発生率が高い傾向にあります。労働者の安全と健康を守るための労働安全衛生法(安衛法)の遵守は、企業の最重要課題の一つです。人事担当者も、直接的な現場管理は行わないまでも、安全衛生管理体制の構築や教育、健康管理において重要な役割を担います。

安全衛生管理体制の構築
事業場の規模や業種に応じて、労働災害を防止するための管理体制を構築することが法律で義務付けられています。人事部門は、これらの管理者の選任や委員会の運営サポートに関わります。
・ 管理者の選任:事業場の規模に応じて、以下の管理者を選任する必要があります。
・ 総括安全衛生管理者:事業場を統括管理する者(常時100人以上)
・ 安全管理者:安全に関する技術的事項を管理する者(建設業では常時50人以上など)
・ 衛生管理者:衛生に関する技術的事項を管理する者(常時50人以上)
・ 産業医:労働者の健康管理等を行う医師(常時50人以上)
・ 安全衛生委員会:常時50人以上の労働者を使用する事業場では、安全委員会および衛生委員会(または両方を統合した安全衛生委員会)を設置し、毎月1回以上開催し、議事録を作成・保存する必要があります。
危険・有害業務への対策と安全教育の実施義務
労働災害を未然に防ぐため、企業は労働者に対して必要な安全衛生教育を行う義務があります。特に建設業では、専門的な知識を要する危険な作業が多く存在します。
・ 雇入れ時・作業内容変更時の教育:労働者を雇い入れた時や、作業内容を変更した時には、従事する業務に関する安全衛生教育を行わなければなりません。
・ 特別教育:法令で定められた危険または有害な業務に従事させる場合、事業者は特別教育(学科および実技)を実施する義務があります。人事担当者は、従業員が必要な資格や教育を受けているか管理する必要があります。
- 特別教育が必要な主な業務(建設業関連の例)
・ 足場の組立て、解体又は変更の作業(高さ問わず)
・ 最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転
・ つり上げ荷重5トン未満のクレーン(移動式クレーン含む)の運転
・ 掘削面の高さが2メートル以上となる地山の掘削作業
・ 型枠支保工の組立て又は解体作業
・ 石綿(アスベスト)の取扱い作業[出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則 第三十六条」]
健康診断の実施と事後措置
企業は、労働者の健康状態を把握し、適正な管理を行うために健康診断を実施する義務があります。人事部門は、これらの実施計画、結果の管理、および事後措置を担当します。
・ 雇入れ時健康診断:常時使用する労働者を雇い入れる際に実施します。
・ 定期健康診断:常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回実施します。
・ 特定業務従事者の健康診断:深夜業や高所作業など、法令で定める有害業務に従事する労働者に対し、配置替えの際および6ヶ月以内ごとに1回実施します。
・ 事後措置:健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者については、医師の意見(就業上の措置に関する意見)を聴取し、必要に応じて作業の転換、労働時間の短縮、作業環境の測定などの措置を講じなければなりません。
採用から退職まで:人事担当者が管理する社会保険・雇用保険
労働者の生活を支えるセーフティネットである各種保険の手続きは、人事部門の重要な基幹業務です。建設業では、現場ごとの入退場や多様な雇用形態が存在するため、加入漏れや手続きミスが起きないよう特に注意が必要です。
労働保険(労災保険・雇用保険)の適用と手続き
労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。原則として労働者を一人でも雇っていれば適用事業所となります。
・ 労災保険(労働者災害補償保険):労働者が業務中や通勤中にケガ、病気、死亡した場合に、労働者やその遺族に対して必要な保険給付を行います。すべての労働者(パート・アルバイト含む)が対象です。
・ 雇用保険:労働者が失業した場合の生活の安定(失業給付)や、育児・介護休業中の給付、能力開発の支援などを行います。加入要件(1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがあること)を満たす労働者が対象です。
・ 年度更新:事業主は、毎年6月1日から7月10日までの間に、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を申告・納付する「年度更新」の手続きを行う必要があります。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件と手続き
社会保険は、病気やケガ、老齢、障害、死亡に備えるための制度です。
・ 加入義務:法人の事業所(社長一人の会社でも)、および常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所(建設業などの法定業種)は、強制適用事業所となり、加入が義務付けられています。
・ パート・アルバイトの加入要件:正社員の4分の3以上の労働時間・労働日数がある場合は加入義務があります。4分の3未満でも、特定の要件(週20時間以上、月額賃金8.8万円以上、学生でない等)を満たす場合は加入対象となります。
・ 主な手続き:人事担当者は、従業員の入社時の「資格取得届」、退職時の「資格喪失届」、報酬が大幅に変動した際の「月額変更届」、年1回の「算定基礎届」などの手続きを日本年金機構(または健康保険組合)に行います。
建設業特有の雇用形態と保険適用の注意点
建設業の複雑な構造は、保険適用においても特別な注意を要します。
・ 一人親方:労働者を使用せずに事業を行う一人親方は、原則として労災保険の対象外ですが、業務の実態に鑑み「労災保険の特別加入制度」を利用することができます。
・ 下請け業者(重層下請構造):建設業では重層的な下請構造が一般的ですが、社会保険の加入は各事業主(雇用主)の責任です。元請企業は、下請け業者が適切に社会保険に加入しているかを確認・指導する責任があります(建設業法に基づく義務)。保険未加入の作業員が現場に入ることを防ぐ体制が求められます。
建設業の人事業務に関連する独自の法令と制度
建設業の人事担当者は、労働基準法や安衛法に加え、業界固有の法律やシステムも理解しておく必要があります。これらは技術者の配置や作業員の管理と密接に連携しており、人事情報がその基盤となるためです。
建設業法と人事労務管理の関連性
建設業法は、建設工事の適正な施工と発注者の保護、建設業の健全な発達を目的としています。人事労務管理とも深く関連しています。
・ 技術者(監理技術者・主任技術者)の配置義務:工事現場には、一定の資格や実務経験を持つ技術者を配置しなければなりません。人事部門は、社員の資格情報を管理し、適正な配置をサポートする必要があります。
・ 施工体制台帳や作業員名簿の作成:元請企業(特定建設業者)は、下請契約を締結した際に施工体制台帳を作成し、その一部として作業員名簿を備え付ける義務があります。この名簿には、作業員の氏名、職種、社会保険の加入状況などを記載する必要があり、人事情報が不可欠です。
・ 不法就労者の排除:建設業法では、不法就労者や社会保険未加入者を建設現場から排除する措置が求められています。採用時や下請け業者の管理において、人事部門のチェック機能が重要です。
[出典:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン」]
建設キャリアアップシステム(CCUS)の概要と人事情報の登録
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設業界全体で技能者の資格や就業履歴を登録・蓄積し、適正な評価や処遇改善につなげるための仕組みです。
・ CCUSとは:技能者一人ひとりにIDカードが発行され、現場入場の際にカードリーダーで就業履歴を記録します。これにより、個人の経験やスキルが客観的に「見える化」されます。
・ 人事担当者が関わる登録情報:人事部門は、自社の事業者情報(社会保険の加入状況、建設業許可など)を登録・更新するとともに、雇用する技能者の情報(保有資格、社会保険情報、研修履歴など)を登録・管理する役割を担います。
・ CCUS登録のメリット:技能者にとってはキャリアパスが明確になり、処遇改善につながります。事業者にとっては、技能者の能力把握や施工管理の効率化、公共工事の入札(経営事項審査)での加点評価などのメリットがあります。
[出典:一般財団法人建設業振興基金「建設キャリアアップシステム」]
外国人技能実習制度・特定技能と人事担当者の役割
建設業界では、人手不足を補うために多くの外国人材が活躍しています。人事担当者は、これらの受入れに関する法令を遵守し、適正な雇用管理を行う責任があります。
・ 在留資格の確認と管理:採用時および雇用継続中に、有効な在留資格(「技能実習」「特定技能」「技術・人文知識・国際業務」など)を有しているか、在留カードやパスポートで厳格に確認し、在留期限を管理する必要があります。
・ 受入れ機関(企業)が遵守すべき事項:特に技能実習生や特定技能外国人を受け入れる場合、日本人と同等以上の労働条件(賃金など)の確保、適切な生活支援(住居の確保、日本語学習支援など)、各種届出の義務が課せられます。
・ 適正な労務管理:パスポートの取り上げや強制的な貯蓄といった人権侵害行為は厳しく禁じられています。人事部門は、労働基準法や安衛法に基づき、日本人従業員と変わらない適正な労務管理と安全衛生管理を徹底しなければなりません。
人事担当者必見!建設業に関わる近年の主要な法改正
建設業界は今、大きな変革期を迎えています。「働き方改革」の進展と、それに伴う「2024年問題」への対応は、待ったなしの状況です。人事担当者は、これらの法改正が自社の労務管理や人事戦略にどのような影響を及ぼすかを正確に把握し、対応策を主導していく必要があります。
働き方改革関連法への対応
時間外労働の上限規制以外にも、働き方改革関連法は人事労務管理に大きな影響を与えています。
・ 同一労働同一賃金:正社員と非正規雇用労働者(パートタイマー、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、基本給、賞与、各種手当、福利厚生などについて、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。人事担当者は、自社の賃金体系や福利厚生がこの原則に違反していないか点検し、必要に応じて見直す必要があります。
・ パワーハラスメント防止法:職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)を防止するため、事業主に防止措置(相談窓口の設置、研修の実施など)を講じることが義務付けられています。建設業の現場特有の厳しい指導がパワハラと認定されないよう、明確なルール策定と啓発活動が求められます。
2024年問題:残業上限規制適用と人事が取るべき対策
2024年4月からの残業上限規制の適用は、建設業の「2024年問題」の核心です。長時間労働を前提とした従来の働き方が許されなくなる中、人事部門が主導して対策を講じる必要があります。
- 残業上限規制適用に向けた人事の対策ステップ
1. 勤怠管理の徹底と長時間労働の是正
まずは、ICカードや勤怠管理システムを用いて、現場作業員を含む全従業員の労働時間を客観的かつ正確に把握することが第一歩です。その上で、上限規制を超える労働が発生しないよう、業務配分を見直します。2. 業務効率化、IT導入による生産性向上
単なる「残業禁止」では業務が回りません。ICT建機、BIM/CIMの導入、情報共有ツールの活用など、現場および管理部門の生産性を向上させる取り組みを支援します。3. 適正な工期設定の重要性
無理な工期が長時間労働の温床です。営業部門や積算部門と連携し、法令を遵守できる適正な工期・人員配置での受注を徹底するよう、社内体制を整備することも人事の重要な役割です。
(比較表)建設業における労働時間規制の変更点
今回の法改正による影響の大きさを理解するため、2024年4月1日を境とした労働時間規制の主な変更点を以下の表に整理します。
建設業における時間外労働規制の変更点(2024年4月〜)
| 項目 | 〜2024年3月31日 | 2024年4月1日〜 |
|---|---|---|
| 時間外労働の上限 | 上限規制の適用猶予 | 原則:月45時間・年360時間 |
| (特別条項) | (実質的な上限なし) | ・年720時間以内 ・複数月平均80時間以内 ・月100時間未満 |
| 月60時間超の割増賃金率 | 中小企業は25%(猶予) | 中小企業も50%に引き上げ |
まとめ:法令遵守で働きやすい職場環境を実現する建設業の人事戦略
建設業の人事担当者が守るべき法令や制度は多岐にわたりますが、その根底にあるのは「労働者を守り、安全で公正な労働環境を提供する」という目的です。
労働基準法や労働安全衛生法といった基本法令の遵守はもちろん、2024年問題への対応、CCUSの活用、各種保険の適正な管理など、建設業特有の課題にも向き合わなければなりません。
これらの法令・制度を正しく理解し運用することは、単なる義務の遂行に留まりません。コンプライアンスを徹底し、働きやすい職場環境を整備することこそが、人材の確保・定着につながり、ひいては企業の持続的な成長を支える人事戦略の第一歩となります。
まずは自社の現状把握から始め、必要な体制整備を進めていきましょう。
建設業の人事担当者向け「法令・制度」よくある質問
Q. 労働基準監督署の調査(臨検)では何を見られますか?
A. 主に以下の書類の確認を求められることが多いです。
- 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカードや勤怠システムのログ)
- 就業規則、36協定届(および特別条項の届出)
- 年次有給休暇管理簿
- 健康診断個人票(および医師の意見聴取記録)
日頃から法定帳簿を正しく整備し、実態(特に労働時間)と乖離がないよう管理することが重要です。
Q. 下請け業者の労務管理まで把握する必要はありますか?
A. 元請け企業は、下請け企業の労働者が安全に働けるよう配慮する義務があります(安全配慮義務)。また、建設業法に基づき、施工体制台帳や作業員名簿を通じて下請け業者の社会保険加入状況を確認し、未加入の場合は指導する責任も負います。下請け業者の法令違反が、元請け企業の管理責任問題に発展するケースもあるため、適切な指導・管理が求められます。
Q. 法改正の情報はどこでキャッチアップすればよいですか?
A. 信頼できる情報源として、以下のサイトを定期的に確認することをおすすめします。
・ 厚生労働省(働き方改革特設サイト):時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金など、法改正の最新情報やQ&Aがまとまっています。
・ 国土交通省(建設業の働き方改革):建設業法やCCUS、社会保険未加入対策など、建設業界に特化した法令・制度情報を確認できます。
・ 都道府県労働局:地域ごとの説明会情報や詳細なリーフレットが公開されることがあります。
・ 顧問社会保険労務士:専門家による自社の実態に合わせた実務的なアドバイス。




