「人事」の基本知識

採用後すぐ辞める原因とは?人事の改善アプローチを考える


更新日: 2026/01/07
採用後すぐ辞める原因とは?人事の改善アプローチを考える

この記事の要約

  • 早期離職の主な原因はミスマッチとオンボーディング不足です
  • 人事主導の仕組み化と適切なフォローが定着率を大きく高めます
  • データ分析に基づいた改善サイクルを回すことが組織には重要です
『蔵衛門クラウド』で情報伝達をスムーズに

採用後すぐ辞めるのはなぜ?人事担当者が知っておくべき早期離職の主な原因

早期離職の防止には、まず原因の正確な特定が不可欠です。人事担当者は、個人の資質の問題と片付けるのではなく、組織側の仕組みや情報伝達にどのような不備があったのかを、以下の主要な4つの要因から分析する必要があります。

採用ミスマッチ:求人票と実態の乖離

入社後のギャップが最大の離職原因となるケースは非常に多いです。求人票や面接で提示された内容と、実際の現場での業務に大きな差がある場合、新入社員は強い不信感を抱きます。

  • 職務内容の不一致
    専門性を発揮できると期待して入社したものの、実際にはルーチンワークや雑務が業務の大半を占めているようなケースです。

  • 社風やカルチャーのギャップ
    風通しが良いという説明に対し、実際には体育会系の厳しい上下関係があるなど、目に見えにくい組織風土のミスマッチも深刻です。

オンボーディングの不足:放置による疎外感

オンボーディングとは、新入社員を組織に馴染ませ、早期戦力化を支援するプロセスです。これが不足すると、新入社員は自分が歓迎されていないと感じてしまいます。

  • 教育計画の不在
    誰がいつまでに何を教えるかが不明確で、現場に行っても「何をすればいいかわからない」状態が続くケースです。

  • 心理的な孤独感
    既存メンバーが多忙を理由にコミュニケーションを怠り、新入社員が質問もできないまま孤立してしまう問題です。

人間関係の悩み:配属先でのコミュニケーション不全

上司や同僚との相性は、定着率に直結する要素です。特に、配属先の直属の上司によるマネジメントスタイルが合わない場合、早期の段階で離職を検討する傾向が強まります。

  • ハラスメントや威圧的な態度
    指導の名の下に行われる過度な叱責や、感情的なコミュニケーションが原因となるパターンです。

  • 相談相手の不在
    仕事の悩みを誰にも打ち明けられず、一人で抱え込んだ結果、限界を迎えて退職に至ります。

労働条件や評価への不満:入社前の期待とのギャップ

残業時間や給与、評価制度などの条件面は、生活に直結する重要な要素です。ここでの乖離は企業への信頼を根本から揺るがします。

  • 提示条件との相違
    面接時に合意した給与条件や勤務形態が、実際には運用されていなかった場合に発生します。

  • 評価基準の不透明さ
    どのように頑張れば評価されるのか、どのような基準で昇給するのかが不明確であることも不満の要因となります。

早期離職が企業に与えるリスクと人事への影響

早期離職は単に一人がいなくなるという事象に留まらず、多方面にわたる損失を発生させます。人事としては、これらのリスクを定量化して把握し、経営層や現場に共有することで、定着支援の重要性を説く必要があります。

早期離職による主な損失をカテゴリー別に整理しました。

【早期離職がもたらす主な損失一覧】

損失カテゴリー 具体的な内容 影響を受ける対象
コスト面 採用広告費、エージェント手数料、入社手続きの人件費 会社経営・人事予算
教育面 教育担当者の時間的コスト、育成ノウハウの流出 配属部署・教育担当
組織面 既存社員の業務負担増、チーム全体の士気低下 現場チーム全体
ブランディング 口コミサイトへの悪評、採用市場での評価低下 採用戦略・広報

[出典:厚生労働省 雇用動向調査結果の概況]

早期離職を防ぐために人事が取り組むべき改善アクション

離職原因を特定した後は、人事が主導して具体的な改善策を講じる必要があります。採用から入社後のフォローまでを一貫した「定着支援サイクル」として構築することが成功のポイントです。

人事担当者が新入社員に対して丁寧なオンボーディング面談を実施している様子

採用フェーズでの「リアルな情報発信(RJP)」

RJP(Realistic Job Preview)とは、自社の良い面だけでなく、あえて厳しさや課題も伝える手法です。これにより入社後のリアリティ・ショックを最小限に抑えます。

RJP導入の具体的な手法
  • 現場社員とのカジュアル面談の実施
    選考とは別に、現場の社員と本音で話せる場を設け、実際の働き方をイメージさせます。

  • 職場見学や体験入社の活用
    実際のオフィス環境や作業現場を直接見てもらうことで、視覚的なギャップを解消します。

  • 求人票への「大変な点」の明記
    仕事のやりがいだけでなく、どのような時に苦労するのかを具体的に記載します。

オンボーディング体制の構築と仕組み化

配属現場任せにせず、会社全体としての受け入れプログラムを用意します。これにより、どの部署に配属されても一定水準のフォローが保証されます。

  1. 入社初日のウェルカムプログラム
    事務手続きだけでなく、組織図の解説や社内ツールの導入支援、経営層からのメッセージ共有などを行います。

  2. 3ヶ月間の育成ロードマップ
    何をいつまでに覚えるべきかを可視化したマニュアルを整備し、新入社員と教育担当者が進捗を共有できる状態を作ります。

  3. フィードバックの定例化
    放置を防ぐために、週単位での振り返りの時間を設けます。

定期的な1on1やメンター制度の導入

精神的なフォロー体制を重層的に構築します。直属の上司以外に相談できる窓口を持つことが、早期離職の抑止力となります。

メンター制度と1on1のポイント
  • メンターの選定
    年齢の近い他部署の先輩社員をアサインすることで、上下関係を気にせず相談できる関係を作ります。

  • 1on1の目的共有
    単なる進捗確認ではなく、本人の不安や困りごとを聞き出す場であることを上司側に徹底教育します。

【人事向け】離職原因を見極めるためのチェックリストと分析手法

場当たり的な対策ではなく、データに基づいた改善を行うことが人事のプロフェッショナルとしての役割です。自社の問題を客観的に捉えるための手法を解説します。

退職理由の深掘りと本音の引き出し方

退職を決意した社員に対して行うエグジットインタビューは、貴重な情報の宝庫です。

  • 第三者が実施する
    直属の上司ではなく、人事がヒアリングを行うことで本音を引き出しやすくします。

  • 匿名性を担保したアンケート
    対面では言いにくいこともあるため、退職後に無記名で回答できるアンケートを併用することも有効です。

  • 質問項目の標準化
    「入社前の期待と何が違ったか」「何があれば辞めずに済んだか」など、分析しやすい項目を固定します。

離職率を算出・比較するための重要指標

自社の離職状況を多角的に分析するための指標を活用します。

【定着率・離職分析の主要指標表】

指標名 内容・目的 改善のヒント
早期離職率(3ヶ月以内) 採用ミスマッチの度合いを測る 採用基準、RJPの再検討が必要
離職タイミング分析 どの時期に離職が多いかを特定 フォローの頻度や内容の最適化
部署別・上司別離職率 特定の部署の環境問題を特定 特定マネージャーへの教育や配置転換

[出典:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況]

早期離職にお悩みの人事担当者によくある不安と解消法

離職が続くと、人事担当者は自身の業務に対して自信を失い、周囲からの風当たりも強くなりがちです。そのような状況を打破するためのマインドセットを整理します。

「自分の採用基準が間違っていたのか?」という不安

採用した人がすぐ辞めると、自身の「目利き」に問題があると感じることがありますが、それは一面的な見方です。

  • 多角的な要因の認識
    離職は「採用」「配属先」「本人の状況」の3要素が複雑に絡み合っています。採用基準だけのせいにせず、全体のバランスを点検しましょう。

  • 現場との期待値調整
    現場が求めているスキルと、実際に活躍できるマインドに乖離がないか、再度ヒアリングを強化することで不安を解消できます。

現場の協力が得られない場合の対策

「採用は人事がやったのだから、辞めたのは人事の責任」という現場の認識を改善する必要があります。

  • 損失コストの可視化
    離職によって現場がどれだけの教育時間を損失したかを数値で提示し、定着支援が「現場の利益」になることを説明します。

  • 採用への巻き込み
    最終面接だけでなく、現場のリーダーを面接官に加えることで、受け入れ側の当事者意識を高めます。

新入社員のオンボーディングを組織全体で歓迎しサポートしている様子

まとめ:人事が主導する定着率向上のためのサイクル

早期離職の改善は一朝一夕には成し遂げられませんが、人事が主導して適切なサイクルを回すことで、着実に成果を出すことができます。

定着率向上のための4ステップ
  • 1.原因の定量・定性分析
    エグジットインタビューと離職率データから真の課題を抽出する。

  • 2.採用プロセスの最適化
    RJPを導入し、候補者に自社のリアルを正確に伝える。

  • 3.受入体制(オンボーディング)の強化
    現場任せにせず、会社全体でのフォロー体制を仕組み化する。

  • 4.継続的な対話の場づくり
    1on1やメンター制度により、早期に不安の芽を摘み取る。

入社した社員が「この会社を選んでよかった」と思える環境を整えることは、企業の持続的な成長に不可欠です。まずは一つひとつの離職原因に真摯に向き合い、組織全体の改善アクションへと繋げていきましょう。

Q1. 早期離職は何ヶ月以内の退職を指しますか?

一般的には入社から3ヶ月以内の退職を早期離職と呼びますが、広義には1年以内の離職を含む場合もあります。特に試用期間中の離職は、採用段階でのミスマッチが主な要因であることが多いため、重点的な対策が必要です。

Q2. 適性検査は早期離職の防止に役立ちますか?

非常に有効です。自社の活躍社員の資質を分析し、それに近い特徴を持つ人材を採用基準に組み込むことで、価値観や性格的な不一致を統計的に減らすことが可能です。ただし、適性検査の結果だけで判断せず、面接での対話を組み合わせることが重要です。

Q3. 採用時の労働条件通知で気をつけるべきことは?

残業時間の目安、休日設定、賞与の支給条件などを書面で明確に提示してください。口頭での説明のみだと後から「聞いていた話と違う」というトラブルになりやすく、企業への信頼を一気に失う原因となります。

[出典:厚生労働省 令和5年雇用動向調査結果の概況]

『蔵衛門クラウド』で情報伝達をスムーズに
NETIS
J-COMSIA信憑性確認
i-Construction
Pマーク
IMSM

株式会社ルクレは、建設業界のDX化を支援します