【2026年最新版】建設業届出ルールとは?最新内容を解説

この記事の要約
- 2026年法改正対応の届出ルールと期限を完全網羅
- 届出漏れによる許可取消や営業停止の重大リスクを解説
- 自社対応と専門家依頼のコストや手間を比較し最適解を提示
- 目次
- 建設業における「届出」の重要性と2026年の最新動向
- 建設業の届出とは何か?許可申請との違い
- 2026年に意識すべき法改正と届出への影響
- 【一覧表で解説】建設業許可に関連する主な届出の種類
- 毎年の提出が必須となる「事業年度終了届」
- 会社の基本情報が変わった際の変更届出
- 人の体制が変わった際の変更届出
- 現場・安全管理に関連する届出(労基署・行政等)
- 工事開始前に必要な労働基準監督署への届出
- 道路使用やリサイクル法に関する届出
- 届出を怠った場合のリスクと罰則
- 許可の取り消しや営業停止処分の可能性
- 懲役や罰金などの刑事罰
- 社会的信用の失墜と公共工事への影響
- 届出業務は自社で行うか専門家に依頼するか
- 自社で届出を行うメリットとデメリット
- 行政書士に依頼するメリットとデメリット
- 自社対応と専門家依頼の比較表
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
- Q. 届出の期限を過ぎてしまった場合はどうすればよいですか?
- Q. 届出はすべてオンライン(電子申請)で可能ですか?
- Q. 小規模な工事のみでも届出は必要ですか?
建設業における「届出」の重要性と2026年の最新動向
建設業において、日々の業務と並行して発生する膨大な書類作成や行政手続きは大きな負担です。しかし、2024年の働き方改革関連法の適用開始に続き、2026年も各種ルールの厳格化やデジタル化が進んでおり、「届出」の不備が経営リスクに直結する事態も増えています。本セクションでは、コンプライアンス遵守のために不可欠な届出の基礎と最新トレンドを解説します。
建設業の届出とは何か?許可申請との違い
建設業における行政手続きは、大きく「許可申請」と「届出」に分類されます。これらを混同せず、適切に管理することがコンプライアンス経営の第一歩です。
- 許可申請と届出の定義
- 建設業許可申請
500万円以上の工事(建築一式は1,500万円以上等)を請け負うために必要な、営業の免許を取得するための手続き(新規・更新)。 - 届出
許可取得後、会社の状況に変更があった場合や、事業年度が終了した際に、その事実を行政庁に報告する手続き。
- 建設業許可申請
「許可さえ取れば終わり」ではありません。建設業法第11条等では、許可を受けた後も継続的に要件を満たしているかを行政が把握するため、各種届出を義務付けています。これらを怠ると、許可の更新ができないだけでなく、法令違反として処分の対象となります。
2026年に意識すべき法改正と届出への影響
2026年は、これまでの法改正が実務レベルで定着・強化されるフェーズに入ります。特に以下の3点は、届出業務や労務管理に直接影響するため、最新情報の把握が必須です。
- 働き方改革(時間外労働の上限規制)の定着
時間外労働の上限規制が適用されたことに伴い、36協定(時間外・休日労働に関する協定届)の重要性が極めて高くなっています。適正な労働時間管理と協定の届出がない場合、労働基準監督署からの指導対象となります。 - 社会保険加入の厳格化
建設業許可の要件として社会保険加入が義務化されていますが、未加入業者に対する指導は年々強化されています。届出においても、保険加入状況の証明が厳密に求められる傾向にあります。 - 建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及
技能者の処遇改善を目的としたCCUSの導入が進んでいます。現場での運用に加え、事業者情報や技能者情報の登録・変更も重要な手続きの一部となっており、公共工事の加点評価(経審の加点)とも連動しています。
【一覧表で解説】建設業許可に関連する主な届出の種類
建設業許可を維持するためには、定められた期限内に正確な届出を行う必要があります。ここでは、事業者が特に失念しやすい「事業年度終了届」や「変更届出」について、提出時期や必要書類を整理します。期限を過ぎた場合の手続きは煩雑になるため、事前のスケジュール管理が重要です。

毎年の提出が必須となる「事業年度終了届」
建設業許可業者は、毎事業年度(決算)が終了した後、4ヶ月以内に「事業年度終了届(決算変更届)」を提出しなければなりません。これは、その年度の工事経歴や財務状況を行政に報告するものです。
- 提出を怠った場合のリスク
提出を怠ると、5年ごとの建設業許可の更新手続きができなくなります。また、公共工事入札に必要な経営事項審査(経審)を受けることもできません。
以下の表は、事業年度終了届の概要をまとめたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出名 | 事業年度終了届(決算変更届) |
| 提出時期 | 事業年度終了後(決算日)から4ヶ月以内 |
| 主な必要書類 | ・工事経歴書 ・直前3年の各事業年度における工事施工金額 ・財務諸表(貸借対照表、損益計算書など) ・事業報告書(株式会社の場合) ・納税証明書 |
| 提出先 | 許可を受けた行政庁(知事許可なら都道府県、大臣許可なら地方整備局) |
会社の基本情報が変わった際の変更届出
商号や所在地、資本金など、会社の登記事項に変更があった場合も届出が必要です。これらの変更は、法務局での登記変更だけでなく、建設業課への届出もセットで行う必要があります。提出期限は変更の事実が発生してから30日以内が一般的です。
| 変更事項 | 提出期限 | 提出が必要な主なケース |
|---|---|---|
| 商号・名称 | 30日以内 | 社名を変更したとき |
| 営業所の所在地 | 30日以内 | 本店や支店を移転したとき |
| 資本金額 | 30日以内 | 増資や減資を行ったとき |
| 役員 | 30日以内 | 取締役等の就任、退任、氏名変更があったとき |
| 支配人 | 30日以内 | 支配人の選任、解任などがあったとき |
人の体制が変わった際の変更届出
建設業許可の「ヒト」に関する要件である、経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)に変更があった場合は特に注意が必要です。これらは許可の根幹に関わる要件であり、提出期限も2週間以内と非常に短く設定されています。
- 交代の場合
後任者が要件を満たしていることを証明する書類を添えて届け出ます。 - 退職・不在の場合
後任者がおらず、要件を満たせなくなった場合は、速やかに「廃業届」を提出しなければなりません。これを隠蔽して営業を続けると、不正手段による許可取得等とみなされ、重い処分を受ける可能性があります。
現場・安全管理に関連する届出(労基署・行政等)
建設業の届出は、許可に関するものだけではありません。個別の工事現場においても、労働安全衛生法や建設リサイクル法に基づき、労働基準監督署や警察署、自治体への届出が求められます。これらは現場の安全と環境配慮を担保するために不可欠です。

工事開始前に必要な労働基準監督署への届出
労働基準監督署(労基署)への届出は、労働者の安全衛生を守るためのものです。未提出の状態で事故が発生した場合、労災認定や企業の責任問題において極めて不利な状況に陥ります。
- 建設工事計画届
高さ31mを超える建築物や、最大支間50m以上の橋梁建設など、大規模かつ危険を伴う工事を行う場合、工事開始の14日前までに提出が必要です。 - 36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)
法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて残業をさせる場合、必ず締結・届出が必要です。2024年以降、建設業にも上限規制が適用されているため、協定内容の遵守が厳しくチェックされます。 - 機械等設置届/足場設置届
一定の要件を満たすクレーンやリフトの設置、または高さ10m以上の足場の組立て等を行う場合、設置・開始の30日前まで(足場は計画作成時)に届出が必要です。
道路使用やリサイクル法に関する届出
工事現場の外部環境に対する届出も忘れてはなりません。
- 道路使用許可・道路占用許可
工事車両の駐車、足場の設置などで公道を使用・占有する場合、管轄の警察署(使用許可)や道路管理者(占用許可)への申請が必要です。無許可での道路使用は道路交通法違反となります。 - 建設リサイクル法の届出
床面積の合計が80㎡以上の解体工事や、500㎡以上の新築・増築工事などを行う場合、工事着手の7日前までに都道府県知事等へ分別解体等の計画を届け出る必要があります。
届出を怠った場合のリスクと罰則
「忙しかったから」「知らなかったから」という理由は通用しません。届出義務違反は、建設業法違反として行政処分や刑事罰の対象となります。ここでは、届出を怠った際に事業者が直面する具体的なリスクを解説します。
許可の取り消しや営業停止処分の可能性
最も恐れるべきリスクは、事業の継続が不可能になる行政処分です。
- 指示処分・営業停止処分
必要な変更届を提出しなかったり、虚偽の届出を行ったりした場合、監督官庁から改善の指示や、期間を定めた営業停止処分が下されることがあります。 - 許可の取り消し
「欠格要件」に該当する役員が就任したにもかかわらず届出を行わず、後に発覚した場合などは、許可そのものが取り消される可能性があります。また、前述の通り「事業年度終了届」が未提出の場合、許可の更新が受け付けられません。
懲役や罰金などの刑事罰
建設業法では、届出義務違反に対して刑事罰も規定されています。これらは形式的な違反であっても適用される可能性があるため、非常に重い罰則規定となっています。
- 建設業法による主な罰則
- 変更届出等を提出しなかった場合
6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金 - 虚偽の記載をして提出した場合
6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金
- 変更届出等を提出しなかった場合
[出典:建設業法(e-Gov法令検索)]
社会的信用の失墜と公共工事への影響
行政処分や罰則を受けると、その事実は公表され、企業の社会的信用は失墜します。
- 経営事項審査(経審)への悪影響
届出の不備は法令遵守状況としてマイナス評価され、経審の点数が下がる要因となります。 - 受注機会の喪失
公共工事の入札参加資格を失うだけでなく、コンプライアンスを重視する大手元請企業からの取引停止(指名停止)につながる恐れがあり、ビジネスへのダメージは計り知れません。
届出業務は自社で行うか専門家に依頼するか
建設業の届出業務は専門性が高く、頻度も多岐にわたります。自社のリソースで対応するか、行政書士などの専門家に外注するかは、コストとリスクのバランスを考慮して決定すべきです。
自社で届出を行うメリットとデメリット
メリットは、外部委託費用(報酬)を削減できる点です。また、自社で手続きを行うことで、社内に総務・法務のノウハウが蓄積されます。近年は国土交通省の「JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)」などの電子申請が普及し始め、以前よりは手続きのハードルが下がっています。
デメリットは、担当者の負担増やミスのリスクです。法改正情報を常にキャッチアップする必要があり、慣れない書類作成に膨大な時間を奪われ、本業がおろそかになる可能性があります。
行政書士に依頼するメリットとデメリット
メリットは、確実性と安心感です。建設業法に精通した行政書士に依頼すれば、期限管理から書類作成、提出代行まで任せられ、届出漏れや記載ミスを防止できます。また、法改正への対応も万全です。
デメリットは、報酬コストが発生する点です。スポット依頼か顧問契約かによっても費用は異なります。
自社対応と専門家依頼の比較表
以下の表は、自社対応(DIY)と専門家(行政書士)依頼の特徴を比較したものです。
| 比較項目 | 自社対応(DIY) | 専門家(行政書士)依頼 | コメント |
|---|---|---|---|
| 費用コスト | 〇 | △ | 自社は実費のみだが、人件費は発生する。 |
| 手間・時間 | × | 〇 | 専門家依頼なら本業に集中できる。 |
| 正確性 | △ | 〇 | 自社対応は不備による再提出リスクがある。 |
| 法改正対応力 | × | 〇 | 専門家は最新ルールを常に把握している。 |
| おすすめのケース | 事務員が充実しており 経費を抑えたい場合 |
社長が現場に出ており 事務負担を減らしたい場合 |
まとめ
本記事では、2026年最新版の建設業における届出ルールについて解説しました。
- 建設業の届出は、許可取得後も続く重要なコンプライアンス業務であり、事業年度終了届や変更届には厳格な期限があります。
- 2026年は働き方改革や社会保険、CCUSなどの影響により、届出情報の正確性がより一層求められます。
- 届出を怠ると、許可の更新不可、営業停止、刑事罰といった事業存続に関わる重大なリスクを招きます。
書類業務は売上を生み出しませんが、会社を守るためには不可欠な活動です。自社のリソースと相談し、適切な管理体制を構築してください。まずは自社の直近の決算報告書や登記簿謄本を確認し、未提出の変更届がないかチェックしましょう。もし不安がある場合は、建設業専門の行政書士へ無料相談を行うか、社内カレンダーに主要な届出期限を登録することから始めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 届出の期限を過ぎてしまった場合はどうすればよいですか?
A. 気づいた時点で、一日も早く提出してください。
期限を過ぎていても届出自体は受け付けられますが、遅延理由書(始末書)の添付を求められる場合があります。放置すればするほど悪質とみなされるため、速やかな対応が必要です。不安な場合は行政書士に相談し、スムーズな提出方法を検討することをお勧めします。
Q. 届出はすべてオンライン(電子申請)で可能ですか?
A. すべてではありませんが、主要な手続きはオンライン化が進んでいます。
国土交通省の「JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)」により、建設業許可申請や変更届、事業年度終了届などは電子申請が可能です。
- JCIP利用の主なステップ
- 1. gBizIDプライムアカウントを取得する
- 2. JCIPのサイトへログインし、申請者情報を登録する
- 3. 必要な届出フォームを選択し、データを入力・添付して送信する
Q. 小規模な工事のみでも届出は必要ですか?
A. 建設業許可が不要な「軽微な工事」であっても、届出が必要な場合があります。
例えば、建設リサイクル法(解体工事等)や、労働安全衛生法(足場設置や36協定)、労災保険関係の手続きは、許可の有無に関わらず、工事の内容や規模、従業員の有無によって義務付けられています。「許可がないから何も出さなくていい」というわけではないため注意が必要です。





