建設業で入札に参加するには?5つのステップを解説

この記事の要約
- 建設業許可と経審が参加の必須条件
- 5つの手順で入札参加資格を取得
- 格付けを理解して適切な案件を選択
- 目次
- 建設業の入札とは?参加するメリットと基本知識
- 公共工事の入札に参加する3つの大きなメリット
- 民間工事と公共工事の入札の違い
- 建設業で入札に参加するための5つのステップ
- ステップ1:建設業許可を取得する
- ステップ2:経営事項審査(経審)を受審する
- ステップ3:入札参加資格審査の申請を行う
- ステップ4:電子入札システムの利用者登録をする
- ステップ5:案件を探して実際に札を入れる
- 入札参加前に確認したい「格付」の仕組み
- 格付を決定する客観的事項と主観的事項
- ランク別で受注できる工事の規模
- 初めての入札でよくある不安と解消法
- 実績がなくても落札できるのか?という不安
- 手続きが複雑で間に合わないという不安への対策
- 公共工事の入札と民間工事の比較
- まとめ:建設業の入札は準備が8割
- よくある質問
- Q1. 入札参加資格に有効期限はありますか?
- Q2. どの自治体に申請すれば良いですか?
- Q3. 経審の結果が悪くても入札に参加できますか?
建設業の入札とは?参加するメリットと基本知識
建設業における入札とは、国や地方自治体などの公的機関が発注する公共工事を請け負う企業を、公平かつ透明な競争によって決定する仕組みです。民間工事とは異なり、参加には公的な審査をクリアする必要があります。
公共工事の入札に参加する3つの大きなメリット
- 1.代金回収のリスクが極めて低い
発注者が国や自治体であるため、民間工事で懸念されるような支払遅延や倒産による貸し倒れリスクがほぼゼロです。前金払制度もあり、資金繰りの安定化に大きく寄与します。 - 2.企業の社会的信用が向上する
公共工事の受注実績は、その企業の技術力や経営状態が公的に認められた証となります。これにより、金融機関からの融資審査や、他の民間取引においても有利に働きます。 - 3.受注の安定化と計画性の向上
公共工事は年間を通じて一定の計画に基づき公示されます。景気動向に左右されにくい案件を確保することで、中長期的な人員配置や機材投資の計画が立てやすくなります。
民間工事と公共工事の入札の違い
以下の表は、公共工事と民間工事における契約の性質や選定基準の違いをまとめたものです。
【表:公共工事と民間工事の主要な相違点】
| 比較項目 | 公共工事の入札 | 民間工事(見積比較) |
|---|---|---|
| 発注主体 | 国、自治体、公社など | 民間企業、個人、管理組合 |
| 参加条件 | 建設業許可、経審、格付が必要 | 発注者の任意(制限なしが多い) |
| 選定基準 | 価格と技術力の総合評価 | 価格、人脈、過去の取引実績 |
| 公平性 | 厳格なルールに基づく公開制 | 発注者の主観が入りやすい |
| 支払の確実性 | 非常に高い | 発注者の経営状況に依存する |
[出典:国土交通省 建設業許可制度の概要]
建設業で入札に参加するための5つのステップ
公共工事の入札に参加するには、単に申し込みをするだけではなく、行政による複数の審査を段階的にパスしなければなりません。ここでは、準備から応札までの具体的なフローを5つのステップで解説します。

- 入札参加までの最短スケジュール
- ステップ1:建設業許可の取得(約2〜3ヶ月)
- ステップ2:経営事項審査の受審(約1〜2ヶ月)
- ステップ3:参加資格審査の申請(自治体による)
- ステップ4:電子入札システムの登録(約1〜2週間)
- ステップ5:案件選定と応札(随時)
ステップ1:建設業許可を取得する
公共工事の入札に参加するための大前提は、有効な建設業許可を保有していることです。通常、500万円未満の軽微な工事であれば許可は不要ですが、入札では金額に関わらず許可証の写しが求められます。
- 許可の業種を確認
自社が受注を希望する工種(土木、建築、舗装など)の許可を得ている必要があります。 - 有効期限の管理
建設業許可は5年ごとの更新が必要です。期限が切れていると、後続の審査に進むことができません。
ステップ2:経営事項審査(経審)を受審する
経営事項審査(経審)とは、建設業者の経営状況や技術力を数値化する公的な審査です。このスコアによって、応札できる工事の規模(格付)が決定します。
- 経営状況(Y点)
財務諸表を基に、収益性や健全性が分析されます。 - 経営規模(X点)
完成工事高や自己資本額が評価対象となります。 - 技術力(Z点)
保有する技術者の数や国家資格の有無が点数化されます。
[出典:一般財団法人 建設業情報管理センター 経営事項審査の概要]
ステップ3:入札参加資格審査の申請を行う
経審の結果通知書が届いたら、希望する発注機関(各自治体や省庁)に対して「入札参加資格審査」の申請を行います。
- 申請先の選定
工事を行いたい地域(市役所、県庁)や、国の機関(全省庁統一資格)をリストアップします。 - 受付期間の確認
定期受付(2年に1回など)の期間を逃すと、随時受付を待つ必要があり、参加が遅れる可能性があります。
ステップ4:電子入札システムの利用者登録をする
現在はほとんどの公共工事がオンライン上で完結する「電子入札」を採用しています。システムを利用するための物理的な準備が必要です。
- ICカードの購入
電子署名用のICカードとカードリーダーを民間認証局から購入します。 - パソコン環境の設定
各自治体が指定するブラウザ設定やJavaのインストール、利用者登録(カードの紐付け)を行います。
ステップ5:案件を探して実際に札を入れる
すべての登録が完了すると、いよいよ公示される案件への応募が可能になります。
- 入札公告の確認
電子入札システム内の公告一覧から、自社のランクや技術的要件を満たす案件を探します。 - 積算と提出
設計図書をダウンロードし、工事原価を精査(積算)して、締切までに入札書を送信します。
入札参加前に確認したい「格付」の仕組み
公共工事の入札では、企業の規模や実績に応じて「A・B・C・D」などの格付(ランク)が割り振られます。これは、大規模企業が小規模な工事を独占したり、小規模企業が能力以上の工事を受けて事故を起こしたりすることを防ぐための安全装置です。
格付を決定する客観的事項と主観的事項
格付は、全国共通の経審スコアだけでなく、各自治体独自の評価軸も加味されます。
- 客観的事項(経審点数)
財務状況や技術者数など、どの自治体でも変わらない共通の評価点です。 - 主観的事項(自治体加点)
地元への貢献度、災害時の緊急出動実績、過去の施工成績などが自治体ごとに加算されます。
ランク別で受注できる工事の規模
各自治体は、工事の予定価格ごとに応札できるランクを指定しています。以下は一般的な土木一式工事のランク区分の例です。
【表:ランク別工事規模の目安】
| ランク | 工事予定価格(目安) | 企業のイメージ |
|---|---|---|
| Aランク | 1億円以上 | 大規模インフラを担う大手・広域企業 |
| Bランク | 3,000万円以上 1億円未満 | 地域の中核を担う中堅企業 |
| Cランク | 1,000万円以上 3,000万円未満 | 地元の道路改修などを行う中小企業 |
| Dランク | 1,000万円未満 | 小規模な補修や維持管理を担う企業 |
[出典:地方公共団体 入札参加資格格付基準]
初めての入札でよくある不安と解消法
初めて公共工事の入札に挑戦する際、多くの企業が手続きの複雑さや実績不足に不安を感じます。しかし、制度を正しく理解すれば、これらのハードルは決して高くありません。

実績がなくても落札できるのか?という不安
公共工事は「実績重視」のイメージが強いですが、ランク分け制度があるため、新規参入者でも同等規模の企業と対等に競うことができます。
- 小規模案件からのスタート
まずはDランクやCランクの小規模な維持修繕工事から実績を積むことが推奨されます。 - 工事成績の積み上げ
一つひとつの工事を丁寧に行い「工事成績評定」で高得点を得ることで、次回のランクアップや有利な受注に繋がります。
手続きが複雑で間に合わないという不安への対策
入札参加には数ヶ月の準備期間が必要です。計画的なスケジュール管理が不安を解消します。
- スケジュールの逆算
決算後、速やかに決算変更届を提出し、経審の予約を入れるサイクルをルーチン化します。 - 外部専門家の活用
書類作成が煩雑な場合は、建設業法に詳しい行政書士に依頼することで、最短かつ確実な申請が可能になります。
公共工事の入札と民間工事の比較
経営の安定化には、公共工事の入札と民間工事のバランスが重要です。それぞれの特性を理解し、自社の「受注ポートフォリオ」を最適化しましょう。
- 公共と民間の受注バランスの考え方
- 安定性重視なら公共工事
支払が確実で、不況期でも一定の発注が見込めます。 - 柔軟性とスピードなら民間工事
提出書類が少なく、発注者との交渉次第で柔軟な対応が可能です。 - リスク分散の推奨
どちらか一方に依存せず、売上の3〜5割を公共工事に置くことで、倒産リスクの低い経営基盤が構築できます。
- 安定性重視なら公共工事
【表:公共工事と民間工事の経営的特性比較】
| 項目 | 公共工事(入札) | 民間工事(相対取引) |
|---|---|---|
| 利益率 | 積算基準により一定 | 交渉次第(高利益もあり得る) |
| 現場管理 | 写真・書類が非常に多い | 比較的簡略化される |
| 入金時期 | 工事完了後(前払あり) | 契約条件による(不安定な場合あり) |
| 営業手法 | 制度・資格の維持管理 | 人脈・提案営業・WEB集客 |
まとめ:建設業の入札は準備が8割
建設業で入札に参加することは、企業の信頼性を高め、強固な経営基盤を築くための有力な戦略です。成功のためには、直前の準備ではなく、日頃からの「建設業許可の維持」「経審スコアの改善」「正確な積算能力の向上」という3つの継続的な努力が欠かせません。
まずは自社の現在のランクをシミュレーションし、どの自治体から参入すべきか方針を決定することから始めてください。一歩ずつステップをクリアしていくことで、官公庁という優良な顧客との取引が現実のものとなります。
よくある質問
Q1. 入札参加資格に有効期限はありますか?
有効期限はあります。多くの自治体では2年ごとに定期受付を行い、資格を更新する仕組みとなっています。ただし、前提となる「経営事項審査(経審)」の有効期限は審査基準日(決算日)から1年7ヶ月と短いため、毎年決算ごとに受審し続ける必要がある点に注意が必要です。
Q2. どの自治体に申請すれば良いですか?
まずは自社の本店がある「地元の市区町村」と「都道府県」に申請するのが基本です。公共工事には地域貢献度が加味される「主観点」があるため、地元企業は有利になりやすい傾向があります。その上で、実績に応じて近隣の自治体や国の機関へ広げていくのが効率的です。
Q3. 経審の結果が悪くても入札に参加できますか?
参加自体は可能です。ただし、経審の点数が低いと「低いランク(Dランクなど)」に格付けされるため、受注できる工事の金額上限が小さくなります。実績が少ない段階では、まずは身の丈に合ったランクから参入し、工事成績を高めていくことで将来的なスコアアップを狙うのが定石です。





