「DX・IT」の基本知識

オフラインでも使える建設ITツールとは?選定ポイントを解説


更新日: 2026/01/15
オフラインでも使える建設ITツールとは?選定ポイントを解説

この記事の要約

  • 建設現場のDXを阻む通信環境の課題と解決策を網羅的に解説
  • オフラインツールの種類と選定時の重要ポイントを詳しく紹介
  • データ同期やセキュリティなど導入前に知るべき情報を整理
『蔵衛門クラウド』で情報伝達をスムーズに

建設業界のDX推進を阻む「通信環境」の課題とITツールの重要性

建設現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する際、避けて通れないのが通信環境の制約です。地下や山間部など、電波の届かない場所でも業務を止めないためのITツールの役割を解説します。

なぜ建設現場ではオフライン機能が必要なのか

建設現場は一般的なオフィスとは異なり、通信インフラが未整備、あるいは物理的に遮断される場所が数多く存在します。特に以下の環境では、オンライン接続を前提としたツールは十分に機能しません。

  • 地下空間やトンネル内部
    厚い土砂やコンクリートによって電波が完全に遮断され、一般的なモバイル通信が利用できないケースが常態化しています。

  • 高層ビルの奥まったエリア
    鉄筋コンクリート造の構造物が電波を減衰させ、特定のフロアや部屋に入った瞬間に圏外になることが珍しくありません。

  • 広大な土木現場や山間部
    基地局から距離があるため電波が微弱になりやすく、天候や周囲の地形によって通信が極めて不安定になります。

このような現場でオンライン専用ツールを使用すると、データの読み込み待ちによる作業の中断が発生し、結果として生産性が大幅に低下してしまいます。

オフライン対応ツールが建設現場のIT化を加速させる理由

オフライン対応機能を備えたツールは、電波の有無にかかわらず「いつでも、どこでも」情報を記録・閲覧できる環境を提供します。これにより、通信待ちのストレスから解放され、デジタル化の恩恵を最大限に受けることが可能になります。

オフライン機能がDXにもたらす価値

・通信環境に左右されないリアルタイムな情報記録


・現場での待ち時間削減による労働時間の短縮


・データのローカル保存による消失リスクの低減


・操作レスポンスの向上による現場定着率の改善

通信環境を気にせず業務を完結できる仕組みこそが、建設現場におけるIT活用を成功させ、DXを加速させる鍵となります。

地下トンネルの現場でタブレットの図面を確認する技術者

[出典:国土交通省 建設現場の生産性を飛躍的に向上させるi-Constructionガイドライン]

オフラインでも利用可能な建設ITツールの主な種類(表で整理)

建設現場で活用されるITツールには、用途に合わせてオフライン機能を最適化させた複数のカテゴリが存在します。それぞれのツールがどのような場面で威力を発揮するのか、その構造を整理して紹介します。

施工管理・図面共有ツール

施工管理・図面共有ツールは、現場で最新の図面を参照し、指摘事項や工程を管理するために使用されます。オフライン対応ツールでは、事前にクラウドからデータをダウンロードしておくことで、圏外でもスムーズな動作を実現します。

  • 最新図面のダウンロード
    事務所などの通信環境が良い場所で図面を保存し、現場へ持ち出します。

  • オフラインでの書き込み
    図面へのメモや写真のプロットを、通信なしでデバイス内に保存できます。

現場写真・日報作成ツール

現場写真や日報作成ツールは、記録の即時性と正確性を高めます。オフライン環境下では、撮影した写真や入力内容を一旦デバイス内のローカルストレージに蓄積し、通信回復時に自動でクラウドへ反映させる仕組みが主流です。

  • 電子黒板の利用
    電波がない場所でも電子小黒板を表示し、必要な情報を写し込んだ写真を撮影可能です。

  • 日報の現地入力
    その日の作業が終わった直後に、現場で報告書を作成できるため、記憶の鮮明なうちに正確な記録が残せます。

建設ITツールの主なカテゴリ比較(表で整理)

建設現場で利用される主なツールのカテゴリと、オフライン時の主な動作を以下の表にまとめました。

カテゴリ 主な機能 オフライン時の動作
施工管理・図面共有 図面閲覧、指摘登録、工程管理 事前保存した図面の閲覧・編集
現場写真・日報 写真撮影、黒板連携、日報作成 端末への一時保存、オンライン時自動同期
点検・帳票管理 点検リスト、不具合報告、設備管理 テンプレートへのローカル入力
測量・3D計測 距離測定、点群取得、3Dスキャン 計測データの一時保存、後刻連携

[出典:一般社団法人日本建設業連合会 建設DX推進に向けたITツール活用指針]

失敗しない!オフライン対応の建設ITツールを選定する5つのポイント

オフライン対応を謳う製品は数多くありますが、実際の現場で「使い物になるか」を見極めるには、同期の精度や操作感を厳しく評価する必要があります。選定時に必ず確認すべき5つのポイントを解説します。

データの同期・自動更新の仕組み(表で整理)

オフラインで作業した内容が、いかに確実にクラウドへ反映されるかが運用の要です。特に、複数人が同時に同じデータを編集した場合の競合解決ルールを確認しましょう。

【同期方式の比較表】

同期方式 特徴 現場における利点
自動バックグラウンド同期 通信を検知すると自動で送受信を開始 操作忘れによる報告漏れを防止
手動プッシュ同期 ユーザーがタイミングを選んで送信 通信量を制御し、バッテリー消費を抑制
差分同期(インクリメンタル) 変更したデータのみを抽出して送信 通信が細い場所でも短時間で完了

操作性とレスポンスの速さ

通信が途切れた状態でも、画面遷移やデータの保存がスムーズに行えるかを確認してください。通信待ちの「砂時計」状態が発生しない設計になっていることが、現場のストレスを軽減する上で不可欠です。デモ機などを使い、あえて機内モードで操作性をテストすることを推奨します。

対応デバイスとOSの互換性(比較検討の視点)

自社で導入済みの、あるいは導入予定のデバイス(iPhone/iPad、Android、Windows)でオフライン機能がフルに活用できるかを確認します。OSの種類やバージョンによって、バックグラウンドでの同期機能に制限がある場合もあるため注意が必要です。

セキュリティ対策とバックアップ体制

オフライン時はデータが一時的にデバイス内に保存されるため、盗難や紛失時のリスク対策を確認しましょう。

  • 端末内データの暗号化
    万が一デバイスを紛失しても、保存されたデータが外部から読み取られないよう暗号化されているか。

  • オートセーブ機能
    アプリがクラッシュした場合でも、入力途中のデータが自動で保護される仕組みがあるか。

サポート体制と導入コスト(比較検討の視点)

オフライン特有のトラブル(データの不整合や同期エラー)が発生した際の、ベンダーのサポート体制を確認します。また、オフライン機能が標準プランに含まれているのか、追加費用が必要なのか、中長期的なランニングコストを含めて比較検討しましょう。

導入を成功させるための4ステップ

1.現場の通信死角の把握


実際の現場でどのエリアが圏外になるかを事前に調査する。


2.デモ版による実地検証


機内モードで図面表示や写真保存の挙動を確認する。


3.同期ルールの明文化


「いつ、どのタイミングで同期を行うか」の運用フローを定める。


4.現場教育の徹底


オフライン利用時の注意点について、現場作業員向けの研修を実施する。

建設事務所でデバイスのデータ同期状況を確認する様子

建設ITツールの導入前に解消しておきたい「よくある不安」

新しいITツールの導入には、現場からの不安がつきものです。特によく聞かれる懸念事項について、客観的な事実に基づき解説します。

オフラインだとデータが消えてしまうのではないか?

多くのオフライン対応ツールは、入力された情報を即座にデバイス内の安全な領域に保存する設計になっています。これをローカル保存と呼び、通信が回復した際にクラウドへ統合されるため、従来の紙ベースの管理よりも紛失リスクは大幅に低いと言えます。

現場の職人がITツールを使いこなせるか心配

オフライン設計が優れたツールは、通信待ちによる動作の停止がないため、むしろ直感的に操作できます。サクサクと動くツールは、スマートフォンの操作に慣れている現代の作業員にとって馴染みやすく、正しい選定を行えば定着はスムーズに進みます。

まとめ:オフライン活用で建設現場のDX・IT化を加速させよう

建設現場におけるDXIT化を成功させるためには、通信環境という物理的な制約を技術でカバーすることが不可欠です。オフライン対応のITツールを導入することで、電波の有無に関わらず業務を継続でき、生産性の向上に大きく寄与します。

本記事で紹介した、同期方式、操作性、セキュリティ、サポート体制といった選定ポイントを軸に、自社の現場に最適なツールを検討してください。通信環境に左右されない強固なIT基盤を構築することが、建設業界の次世代を担う働き方の実現につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. オフラインで入力したデータは、他のメンバーにいつ共有されますか?

端末が通信圏内に移動し、デバイスとサーバーの同期が完了した時点で共有されます。自動同期機能があれば、ポケットに端末を入れている間に共有が完了することもあります。

Q2. オフライン機能を使うために、事前の準備は必要ですか?

はい、多くの場合は事前の準備が必要です。事務所などの通信環境が良い場所で、その日使用する最新図面や資料を「オフライン保存(ダウンロード)」しておく必要があります。

Q3. 格安のITツールでもオフライン対応していますか?

製品によります。Webブラウザ上で動作するタイプは常時接続が前提となっている場合が多く、オフラインには対応していません。専用の「ネイティブアプリ」として提供されている製品を選ぶ必要があります。

[出典:厚生労働省 建設業における情報通信技術の活用に関する安全衛生ガイドライン]

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