「入札」の基本知識

電子入札システムとは?トラブル回避策と実務対応のポイントを解説


更新日: 2026/01/15
電子入札システムとは?トラブル回避策と実務対応のポイントを解説

この記事の要約

  • 電子入札の仕組みと紙の入札との決定的な違いを解説します
  • 導入に必要なICカード準備やシステム設定の手順を網羅します
  • 操作ミスや通信トラブルを防ぐための実務的な回避策を提示します
目次
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電子入札システムとは?公共事業や民間取引における入札のデジタル化

電子入札システムは、インターネットを利用して契約手続きを行う現代の公共取引における標準的な仕組みです。従来の対面型や郵送型のプロセスをデジタル化し、効率性と公平性を高度に両立させることを目的として運用されています。

電子入札システムの定義と基本的な役割

電子入札システムとは、国や地方自治体、一部の民間企業が実施する入札の手続きを、オンライン上で完結させるための専用プラットフォームを指します。このシステムは、単に入札価格を送信するだけのツールではありません。案件の公告確認から、参加資格の申請、見積書の提出、さらには結果の確認(開札)までを統合的に管理します。
主な役割は、物理的な距離や時間の制約を取り除き、透明性の高い公正な取引環境を提供することにあります。電子署名技術(ICカード等)を用いることで、なりすましや改ざんを防止し、法的な証拠力を担保しているのが最大の特徴です。

従来の紙ベースの入札との決定的な違い

従来の紙ベースによる入札では、担当者が直接開札会場へ足を運ぶか、書留郵便で書類を送り届ける必要がありました。しかし、電子入札では自社のオフィスにいながらすべての手続きが完了するため、移動コストや待ち時間が大幅に削減されます。
また、紙の入札では「入札箱」への投函が物理的な締め切りとなりますが、電子入札ではサーバーへのデータ到着時刻が基準となります。ネットワークを介した即時性が、業務のスピード感と広域への参加可能性を大きく広げました。

電子入札を導入するメリットと事前に知っておくべきデメリット

電子入札の導入は、発注者と受注者の双方に多大な利益をもたらしますが、一方でシステム特有の維持管理コストや技術的なリスクも存在します。導入前にこれらを正しく把握することが重要です。

発注者・受注者双方の効率化とコスト削減(表で整理)

電子入札を導入することで得られる主なメリットと、あらかじめ注意しておくべきデメリットを以下の表に整理しました。

【電子入札導入のメリット・デメリット比較表】

評価項目 メリット デメリット・注意点
コスト面 交通費、郵送代、収入印紙代(一部)の削減 ICカード購入費、カードリーダー代、システム利用料
業務効率 24時間提出可能、事務作業のペーパーレス化 操作習得の学習コスト、PC環境の継続的な保守
透明性 操作履歴がデジタル記録され、不正抑止になる サイバー攻撃やウイルス感染による情報漏洩リスク
物理的制約 全国各地の案件へ容易に参加できる 通信障害やサーバー遅延時に対応が困難なリスク

[出典:一般財団法人日本建設情報総合センター 電子入札導入ガイドライン]

透明性の向上と不正行為の防止

電子入札は、入札者同士が直接顔を合わせる機会を最小限にするため、談合などの不正行為を物理的に抑制する効果があります。すべての操作ログがサーバーに詳細に記録されるため、「いつ、誰が、どのような操作をしたか」が明確になり、不正な介入を許さない仕組みが構築されています。
このような客観的なデータの蓄積は、発注機関に対する社会的な信頼性を高め、自由で公平な競争環境の維持に直結しています。

システム利用に伴う操作ミスや通信環境のリスク

デジタル化による弊害として、パソコンのOSやブラウザのバージョン不一致による「動作不良」が挙げられます。指定された環境以外で操作を行うと、重要なボタンが表示されなかったり、送信エラーが発生したりすることがあります。
また、締め切り直前のネットワーク遅延や、入力データの形式間違いといったヒューマンエラーも無視できません。これらは無効札扱いになる可能性が高いため、事前の十分な準備と動作確認が不可欠です。

電子入札の具体的な流れと実務における基本手順

電子入札を円滑に進めるためには、手順を段階的に理解し、必要なツールを正しくセットアップすることが不可欠です。特に事前準備は、なりすまし防止のための厳格なプロセスを含みます。

事前準備:ICカードの取得と利用者登録(箇条書きで整理)

電子入札を開始する前に、以下の環境整備を完了させておく必要があります。

  • ICカード(電子証明書)の購入
    政府や自治体が認めた民間認証局から、企業名義のICカードを取り寄せます。発行まで数週間かかる場合があるため、余裕を持った申請が必要です。

  • ICカードリーダーの設置
    購入したICカードを読み取るための専用デバイスをパソコンに接続し、対応するドライバを正確にインストールします。

  • パソコンの環境設定
    各システムが指定するJavaバージョンの設定や、ブラウザ(Microsoft Edge等)の「信頼済みサイト」登録を行います。

  • 利用者登録(電子入札ポータルへの登録)
    利用したい自治体や省庁の電子入札サイトへアクセスし、ICカード情報と自社の参加資格情報を紐付けます。

パソコンに接続されたICカードリーダーとICカードを準備する様子

案件確認から資料提出・開札までのプロセス

準備が整った後の、実際の入札実務は以下の手順で進行します。

電子入札の実務フロー
  • 1. 公告の確認:ポータルサイト上で自社が参加可能な案件を検索し、仕様書や図面をダウンロードします。
  • 2. 参加資格の申請:入札に参加する意思があることをシステム上で示し、発注者側からの承認(資格確認)を待ちます。
  • 3. 質問回答の確認:仕様に関する質問がある場合はシステム経由で行い、公開される回答内容を精査します。
  • 4. 入札書の提出:算出した金額を入力し、ICカードによる電子署名を付与してデータを送信します。
  • 5. 開札・結果確認:指定された開札時刻以降に、システム上で落札者と落札金額の結果を確認します。

[出典:国土交通省 電子入札システム 運用マニュアル]

電子入札で発生しやすいトラブルと回避するための実務対応策

実務においては、予期せぬシステムトラブルがつきものです。特に締め切り厳守の入札では、わずかな遅延やエラーが致命的な損失につながります。事前にトラブルの芽を摘む対策が必要です。

ログインできない・動作しないなどのシステムトラブルへの備え

「昨日まで動いていたのに、急にログインできなくなった」というトラブルは、パソコンの自動アップデートが原因であることが多いです。システム側が検証を終えていない最新のブラウザやJavaに更新されると、正常に動作しなくなる場合があります。

システムトラブルの具体的な回避策
  • 環境の固定化:OSやブラウザの自動更新を制限し、検証済み環境を維持します。
  • Javaの例外サイトリスト登録:Javaのコントロールパネルから、利用する入札サイトのURLを例外リストに登録します。
  • ポップアップブロックの解除:入札画面が別ウィンドウで開くことが多いため、ブラウザのブロック設定を解除しておきます。

PC画面のセキュリティ認証を確認しながら操作手順を学ぶ様子

提出期限直前の通信不備を防ぐための時間管理

入札の締め切り直前は、多くの企業がアクセスを集中させるため、サーバーのレスポンスが極端に低下することがあります。通信エラーが発生し、再送を試みている間に期限を過ぎてしまう事態は避けなければなりません。
実務対応としては、締め切りの24時間前までに送信を完了させるスケジュール管理を徹底してください。前日に終わらせる習慣をつければ、万が一の通信トラブルや添付ファイルの不備にも余裕を持って対処できます。

操作ミスによる無効札を防ぐためのチェック体制

電子入札では、一度「送信」ボタンを押すと、内容の訂正が効かないケースがほとんどです。金額の桁を間違える、指定された形式以外のファイルを添付する、といったミスは即座に失格の原因となります。
これを防ぐには、送信ボタンを押す直前に、作成者以外の担当者が画面を確認する「ダブルチェック体制」が有効です。チェックリストを作成し、一つ一つの項目(金額、ファイル名、有効期限等)を読み合わせしてから署名を行うフローを社内で確立しましょう。

紙の入札と電子入札の比較・検討ポイント

自社の受注規模や対象エリアによって、電子入札の導入タイミングを検討する必要があります。紙の入札と比較して、どちらが自社の戦略に適しているかを見極めましょう。

運用コストや事務負担の違い(表で整理)

紙と電子、それぞれの運用面での特徴を比較しました。

【紙の入札と電子入札の比較表】

比較項目 紙の入札 電子入札
書類作成 紙への印字、代表者印の押印、製本作業 デジタルファイルの作成、電子署名付与
提出方法 開札場所への持参、または書留郵送 インターネット経由のアップロード
参加範囲 移動コストの関係で近隣案件に限定されがち 全国各地の案件へ自社から参加可能
修正対応 再度持参または郵送が必要で時間がかかる 期限内であればシステム上で再提出可能
初期費用 なし(事務用品費、交通費のみ) ICカード、リーダー代(数万円程度)

どちらの方式が自社に適しているかの判断基準

現在、官公庁の案件の多くは電子入札が前提となっていますが、少額の随意契約や小規模自治体の案件では紙の入札が残っている場合もあります。
判断のポイントは、「年間で何件の案件に応札するか」と「営業範囲を広げたいか」の2点です。年間数件以上の応札を予定している、あるいは遠方の自治体案件にも参入したいのであれば、電子入札への完全移行が長期的な利益に繋がります。

初めての電子入札における「よくある不安」と解消法

新しいシステムへの移行には不安が伴いますが、その多くは正しい知識と事前の訓練で解消できます。客観的な事実に基づき、不安を整理しましょう。

セキュリティ面やデータ改ざんに対する信頼性

「インターネットで重要な金額データを送るのは不安だ」という声もありますが、電子入札システムは金融機関と同等の高度な暗号化技術(SSL/TLS等)を使用しています。
ICカード(電子証明書)は厳格な本人確認を経て発行されるため、紙の書類における「印影の偽造」よりもはるかに高い偽造防止効果があります。データ送信の履歴もすべて非改ざん性が担保された状態で記録されるため、信頼性は非常に高いといえます。

PC操作に不慣れな担当者が直面するハードル

パソコン操作に自信がない場合でも、各自治体が用意している「練習用のデモサイト」を活用すれば、リスクなしで操作を習得できます。
まずはデモ環境で公告の探し方から入札書の送信までを一通り体験し、マニュアルを横に置いて手順を確認することが近道です。多くのシステムには専用のヘルプデスクも設置されているため、設定で詰まった際には電話サポートを受けることも可能です。

まとめ

電子入札システムは、インターネットを通じて時間や場所を選ばずに入札を行える、現代の公共取引において欠かせないインフラです。導入当初はICカードの準備や環境設定に戸惑うこともあるかもしれませんが、一度体制を整えれば、大幅なコスト削減と業務効率化を実現できます。

トラブルを避けるための最重要ポイントは以下の通りです。

  • 1. 確実な事前準備:推奨環境(OS・ブラウザ・Java)の維持とICカードの管理。
  • 2. 余裕のあるスケジュール:締め切りの24時間前までの提出完了を徹底。
  • 3. 組織的なチェック体制:送信前のダブルチェックによる単純ミスの排除。

本記事で解説した手順とトラブル回避策を参考に、デジタル化された入札業務への一歩を踏み出してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. ICカードの有効期限が切れたらどうなりますか?

A1. 有効期限が切れたICカードでは、システムへのログインや電子署名ができなくなります。その結果、入札への参加が不可能になります。更新手続きには数週間を要するため、期限の1〜2ヶ月前には余裕を持って更新申請を行ってください。

Q2. 途中でパソコンがフリーズしてしまった場合、やり直しはできますか?

A2. 入札の締め切り時刻内であれば、パソコンを再起動して再度ログインし、手続きを再開することが可能です。ただし、送信完了前に期限を過ぎた場合は、いかなる理由であっても受理されませんので、残り時間には十分注意してください。

Q3. 電子入札には必ず専用のソフトが必要ですか?

A3. 一般的なブラウザ(Microsoft Edge等)を使用しますが、ICカードを読み取らせるための「クライアントソフト」をパソコンにインストールする必要があります。各電子入札ポータルサイトの「ダウンロード」ページから、指定のソフトを事前に入手し設定してください。

[出典:地方公共団体情報システム機構(J-LIS) 公的個人認証サービス 案内]

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