公共工事の品確法と入札制度の関係とは?わかりやすく解説

この記事の要約
- 品確法が入札を「価格」から「品質」重視へ変えた
- 適正な入札で建設業の担い手を確保・育成する
- 総合評価方式や適正な予定価格設定が重要になる
- 目次
- 1. 公共工事の「品確法」とは?基本目的を理解する
- 1-1. 品確法の正式名称と概要
- 1-2. 品確法が掲げる「3つの基本理念」
- 1-3. 品確法改正の歴史と背景
- 2. 公共工事における「入札」制度の基本と課題
- 2-1. 公共工事の入札とは?
- 2-2. 主な入札契約方式の種類
- 2-3. 従来の入札制度が抱えていた課題
- 3. 【本題】品確法と公共工事の入札制度の重要な関係性
- 3-1. 関係性(1):価格競争から「品質・価格」の総合競争へ
- 3-2. 関係性(2):発注者の責務の明確化
- 3-3. 関係性(3):受注者(担い手)の健全な育成
- 4. 品確法が「入札」実務に与える具体的な影響
- 4-1. 総合評価落札方式の活用促進
- 4-2. 低入札価格調査制度・最低制限価格制度の適切な運用
- 4-3. 予定価格の適正な設定
- 4-4. 不良不適格業者の排除
- 5. 品確法と入札に関する「よくある不安」と対応
- 5-1. (比較検討)品確法対応のメリット・デメリット
- 5-2. もし品確法が守られない入札が行われたら?
- 5-3. 入札参加者(受注者)が今すぐ備えるべきこと
- 6. まとめ:品確法と入札制度の関係を理解し、適正な公共工事を目指そう
- 7. 品確法と入札に関するよくある質問(Q&A)
- Q. 品確法はすべての公共工事の入札に適用されますか?
- Q. 品確法によって、入札の参加資格は厳しくなりましたか?
- Q. 中小企業は品確法(入札)において不利になりませんか?
1. 公共工事の「品確法」とは?基本目的を理解する
公共工事の入札を理解する上で、まず「品確法」の基本を知る必要があります。この法律は、単に工事の品質を求めるだけでなく、入札契約のあり方や建設業全体の将来を見据えた重要な目的を持っています。ここでは、品確法の正式名称、目的、そして根幹となる「3つの基本理念」について解説します。
1-1. 品確法の正式名称と概要
品確法(ひんかくほう)は、通称であり、その正式名称を「公共工事の品質確保の促進に関する法律」と言います。この法律は2005年(平成17年)に制定されました。
制定の主な目的は、公共工事の品質が将来にわたって確保されるよう、発注者と受注者が一体となって取り組むための基本的な枠組みを定めることです。具体的には、公共工事の品質低下を防ぎ、コストだけでなく品質も重視した入札契約を促すことで、国民の税金を投じて作られるインフラの安全・安心を守ることを目指しています。
1-2. 品確法が掲げる「3つの基本理念」
品確法は、その目的を達成するために、発注者と受注者が共有すべき「3つの基本理念」を定めています。これは、公共工事の入札・契約プロセス全体を貫く基本的な考え方です。
- 品確法の3つの基本理念
・ 基本理念1:品質・価格の総合評価
工事の品質は、価格だけでなく、技術的な工夫、安全性、環境への配慮など、多様な要素によって決まるため、これらを総合的に評価して入札の落札者を決定すべきであるという考え方です。・ 基本理念2:発注者の責務
発注者(国や地方公共団体など)は、仕様書作成、予定価格の適正な設定、厳格な検査など、品質確保のために主体的な役割(責務)を果たさなければならないとしています。・ 基本理念3:担い手の確保・育成
公共工事の品質を中長期的に支えるのは、建設業の「担い手(企業や技術者)」です。適正な利潤が確保できる入札環境を整え、技術者が能力を十分に発揮できるよう配慮することで、将来の担い手を確保・育成することも重要な理念です。
[出典:[公共工事の品質確保の促進に関する法律 第3条] | e-Gov法令検索]
1-3. 品確法改正の歴史と背景
品確法は、制定後も社会情勢の変化に対応するため、何度か重要な改正が行われています。特に2014年(平成26年)の改正は、「新・担い手三法」(品確法、建設業法、入札契約適正化法)の一翼を担うものとして大きな転機となりました。
この改正の背景には、建設業界における深刻な「担い手不足」(技術者や技能労働者の高齢化・減少)や、東日本大震災などの大規模災害からの復旧・復興という喫緊の課題がありました。
また、2019年(令和元年)の改正では、働き方改革の推進、自然災害の頻発化・激甚化への対応が盛り込まれました。これにより、入札時において、受注者の「働き方改革の取組状況」を評価に加えることや、災害時の緊急対応力が評価される仕組みが導入されるなど、品確法は時代に合わせて進化を続けています。
2. 公共工事における「入札」制度の基本と課題
品確法がなぜ入札制度と深く関わるのかを理解するために、まずは公共工事の入札の基本的な仕組みと、品確法が制定される以前に存在した課題について整理します。なぜ従来の価格競争中心の入札ではダメだったのでしょうか。
2-1. 公共工事の入札とは?
公共工事の入札とは、国や地方公共団体などの発注機関が、道路、橋、学校、役所などの公共施設を建設・整備する際に、工事を担当する建設業者を決めるための手続きです。
その基本的な目的は、主に以下の2点です。
1. 公平性・透明性の確保
税金を使って行われるため、特定の業者と癒着することなく、公平かつ透明なプロセスで契約相手を選ぶ必要があります。
2. 経済性の追求
限られた予算(税金)の中で、できるだけ安く、かつ良質な工事を行うため、競争によって最も優れた条件(従来は主に価格)を提示した業者を選びます。
2-2. 主な入札契約方式の種類
公共工事の入札にはいくつかの方式がありますが、代表的なものは以下の3つです。品確法は、これらの方式の「何を評価するか」という点に大きな影響を与えています。
表:公共工事の主な入札契約方式
| 入札方式 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般競争入札 | 発注者が定めた参加資格(経営事項審査の点数など)を満たせば、原則として誰でも入札に参加できる方式。 | 公平性・透明性が最も高い。 |
| 指名競争入札 | 発注者が、過去の実績や技術力などに基づき、特定の業者を「指名」し、その業者間のみで競争させる方式。 | 一定の技術力や信頼性が見込める。 |
| 随意契約 | 競争入札を行わず、発注者が特定の業者を選んで契約する方式。 | 緊急性の高い災害対応や、特殊な技術が必要な場合に限定的に用いられる。 |
2-3. 従来の入札制度が抱えていた課題
品確法が制定される以前、特に1990年代後半から2000年代初頭にかけての公共工事の入札は、「価格競争」が極端に重視される傾向にありました。
これにより、以下のような深刻な問題が発生しました。
・ ダンピング(不当廉売)の横行
受注したい企業が、採算を度外視した極端に低い価格で入札する「ダンピング」が多発しました。
・ 公共工事の品質低下
ダンピングで受注した企業は、利益を確保するために必要な経費(人件費、安全対策費、材料費など)を削減せざるを得ず、結果として手抜き工事や品質の低下、事故の発生を招く一因となりました。
・ 建設業の疲弊と担い手不足
適正な利益が確保できない状況が続いたため、建設業の経営体力は低下。労働者への適正な賃金の支払いや若手技術者の育成が困難になり、業界全体の「担い手不足」が深刻化しました。
これらの課題を解決し、「安かろう悪かろう」の悪循環を断ち切るために、品確法が制定されました。

3. 【本題】品確法と公共工事の入札制度の重要な関係性
ここがこの記事の核心です。品確法は、前述した入札制度の課題を解決するために、入札・契約の「ルール」そのものに根本的な変革を求めました。品確法は、具体的に入札制度の「何」を変えようとしているのか。その重要な関係性を3つの側面から解説します。
3-1. 関係性(1):価格競争から「品質・価格」の総合競争へ
品確法が入札制度に与えた最大のインパクトは、評価の軸を「価格のみ」から「品質と価格」の総合評価へと転換させたことです。
従来の入札では、予定価格の範囲内で最も低い金額を提示した業者が落札するのが原則でした。しかし品確法は、それでは品質が担保できないと指摘。価格だけでなく、以下のような「品質」に関わる要素も評価し、両者を総合して落札者を決定すべきだと強く打ち出しました。
- 品質として評価される要素の例
・ 工事の安全性(安全対策の計画)
・ 技術的な工夫(施工の確実性、工期短縮)
・ 環境への配慮
・ 過去の同種工事の実績
・ 配置予定技術者の能力
3-2. 関係性(2):発注者の責務の明確化
品確法は、受注者(建設業者)だけでなく、発注者(国や地方公共団体)の責務を明確に規定しました。
従来の入札では、発注者は「できるだけ安く発注すること」が責務だと捉えられがちでした。しかし品確法は、発注者こそが「品質確保の主体」であるとし、入札・契約プロセスの全段階で以下の責務を果たすよう求めています。
・ 品質確保の基準となる仕様書を適切に作成すること。
・ 必要なコスト(労務費、安全対策費など)を積み上げた「適正な予定価格」を設定すること。
・ 「品質と価格」を総合的に評価できる入札方式(総合評価落札方式など)を積極的に採用すること。
・ 工事完了時の検査を厳格に行うこと。
3-3. 関係性(3):受注者(担い手)の健全な育成
品確法のもう一つの重要な側面は、入札制度を通じて「建設業の担い手を健全に確保・育成すること」を目的としている点です。
これは、ダンピングによって建設業者が疲弊すれば、技術の継承や若手の育成ができなくなり、結果として将来の公共工事の品質が維持できなくなる、という強い危機感に基づいています。
品確法は、適正な価格で入札・契約が行われ、受注者に適正な利潤が確保されるように発注者に求めることで、以下の好循環を生み出すことを目指しています。
1. 受注者が適正な利益を確保できる。
2. 従業員に適正な賃金を支払い、社会保険にも加入できる。
3. 若手技術者の採用・育成や、最新技術への投資が可能になる。
4. 結果として建設業の魅力が向上し、中長期的な担い手が確保される。

4. 品確法が「入札」実務に与える具体的な影響
品確法の理念を実現するため、公共工事の入札実務は具体的にどのように変化しているのでしょうか。ここでは、受注者として知っておくべき4つの重要な影響について、セルフレビューの改善点を反映して解説します。
4-1. 総合評価落札方式の活用促進
品確法の「品質・価格の総合評価」という理念を具体化したのが、「総合評価落札方式」です。
これは、入札時に提出される「価格」と、施工計画や技術提案などの「品質(技術力)」の両方を点数化し、その合計点(評価値)が最も高い業者を落札者とする方式です。
品確法の施行・改正に伴い、この方式は多くの公共工事で標準的に採用されるようになりました。受注者にとっては、単に安い見積もりを出すだけでなく、自社の技術力やノウハウを具体的にアピールする「技術提案書」の作成能力が、入札の勝敗を分ける重要な要素となっています。
4-2. 低入札価格調査制度・最低制限価格制度の適切な運用
品確法は、ダンピング(不当に低い価格での入札)による品質低下を強く懸念しています。そのため、発注者に対し「低入札価格調査制度」や「最低制限価格制度」を適切に運用することを求めています。
・ 低入札価格調査制度:
入札価格が一定の基準(調査基準価格)を下回った場合に、その価格で適正な品質を確保できるか(必要なコストが支払えるか)を発注者が調査する制度です。
・ 最低制限価格制度:
あらかじめ設定した下限価格(最低制限価格)を下回る入札を、自動的に失格とする制度です。
これらの制度は、品確法と「入札契約適正化法」に基づき、ダンピングを排除し品質を守るための重要な防波堤として、基準価格の引き上げや調査の厳格化が進められています。
[出典:[公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)第11条] | e-Gov法令検索]
4-3. 予定価格の適正な設定
入札における「安かろう悪かろう」を防ぐ大前提は、発注者が設定する「予定価格」(契約上限額)が適正であることです。
品確法は、発注者の責務として、市場の実態を反映した適正な積算(コスト計算)を行うことを求めています。特に、入札価格の基礎となる以下のコストを、予定価格に適切に反映させることが重要視されています。
・ 最新の設計労務単価(技能労働者の賃金水準)
・ 技術者・技能者の人件費
・ 法定福利費(社会保険料など)
・ 安全対策費や週休二日確保の経費
受注者としては、自社の見積もりが、これらの適正なコストを反映した最新の予定価格設定トレンドと乖離していないかを確認することが重要です。
[出典:「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針」について | 国土交通省]
4-4. 不良不適格業者の排除
品確法は、公共工事の品質を確保する観点から、入札プロセスにおいて「不良不適格業者」を排除することも求めています。
不良不適格業者とは、例えば以下のような企業を指します。
・ 過去に重大な事故や手抜き工事を起こした企業
・ 法令(建設業法、労働基準法など)を遵守しない企業
・ 暴力団など反社会的勢力と関係がある企業
発注者は、入札参加資格の審査(経営事項審査の結果や過去の工事成績など)を厳格化することで、こうした企業が公共工事の入札から排除されるよう努める必要があります。
5. 品確法と入札に関する「よくある不安」と対応
品確法と入札の関係性が変化する中で、発注者や受注者(特にこれから入札に参加しようとする企業)は、多くの疑問や不安を抱えることがあります。ここでは、代表的な不安や疑問について解説します。
5-1. (比較検討)品確法対応のメリット・デメリット
品確法の理念に沿って入札制度を運用することは、発注者と受注者の双方にメリットとデメリット(留意点)をもたらします。
品確法対応によるメリット・デメリット(比較表)
| 対象者 | メリット | デメリット(留意点) |
|---|---|---|
| 発注者 | ・ダンピングが減り、工事の品質が向上する ・長期的なコスト(ライフサイクルコスト)が削減できる |
・総合評価方式の導入など、入札手続きや評価業務が複雑化し、事務負担が増加する |
| 受注者 | ・適正な予定価格と評価により、適正な利益を確保しやすくなる ・価格競争だけでなく、自社の高い技術力が入札で評価される機会が増える |
・総合評価方式に対応するため、高度な技術提案書を作成する能力や事務的な負担が必要になる |
5-2. もし品確法が守られない入札が行われたら?
万が一、品確法の理念に反する入札(例:発注者が不当に低い予定価格を設定し続ける、品質を評価せず価格だけで落札者を決めるなど)が横行した場合、以下のような深刻なリスクが再燃する可能性があります。
・ 品質の低下と事故の発生
ダンピングが再び発生し、受注者が利益確保のために安全対策や品質管理を怠ることで、工事の品質が低下し、重大な事故につながるリスクが高まります。
・ 担い手不足の加速
建設業が「儲からない仕事」とみなされ、若者の入職が減少し、既存の技術者も離職が進みます。結果として、社会インフラの維持・更新すら困難になる可能性があります。
・ 地域の衰退
地域の建設業者が疲弊・倒産すれば、その地域の雇用が失われるだけでなく、災害発生時の緊急対応(道路の啓開など)が行えなくなるなど、地域社会の安全・安心が脅かされます。
5-3. 入札参加者(受注者)が今すぐ備えるべきこと
品確法の趣旨を踏まえ、公共工事の入札で選ばれ続ける企業になるために、受注者(建設業者)は以下の4つのステップに日頃から取り組む必要があります。
1. STEP1:技術力の研鑽(けんさん)と「可視化」
自社の得意分野を伸ばし、新しい技術や工法(例:ICT施工、NETIS登録技術)を積極的に導入します。重要なのは、その技術力を入札時に「可視化」することです。具体的には、施工実績(コリンズ)を正確に登録し、総合評価方式で求められる「技術提案書」や「施工計画書」として具体的にまとめる能力を高めます。
2. STEP2:適正な積算(見積もり)能力の向上
品確法は「赤字受注」を排除する法律でもあります。最新の「設計労務単価」や「公共工事設計材料単価」に基づき、自社の工事に必要なコスト(直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費)を正確に計算できる積算能力が不可欠です。
3. STEP3:法令遵守(コンプライアンス)体制の確立
建設業法、労働安全衛生法、独占禁止法などの関連法令を遵守する体制を整えます。特に「社会保険への加入」は、現在ほとんどの公共工事入札で参加資格の必須要件となっています。法令違反は、指名停止や参加資格の取り消しに直結します。
4. STEP4:働き方改革と人材育成への投資
週休二日の確保(工期設定への反映)、若手技術者の育成計画、CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録などは、近年の入札評価(総合評価)において加点項目となるケースが増えています。これらはコストではなく「未来への投資」であり、企業の競争力を左右します。
6. まとめ:品確法と入札制度の関係を理解し、適正な公共工事を目指そう
この記事では、公共工事の品確法と入札制度の関係性について解説しました。
品確法は、公共工事の入札における「ものさし」を、従来の「価格」中心から「品質と価格の総合評価」へと大きく転換させる法律です。その背景には、ダンピングによる品質低下や、建設業界の深刻な担い手不足といった課題がありました。
この法律によって、発注者には「適正な予定価格の設定」や「総合評価方式の活用」といった責務が課され、受注者には「価格」だけでなく「技術力」で競争することが求められるようになりました。
品確法の理念を、発注者と受注者の双方が正しく理解し、適正な入札・契約を実践すること。それこそが、安全で良質な社会インフラを将来にわたって維持し、建設業界を健全に発展させていくための唯一の道と言えるでしょう。
7. 品確法と入札に関するよくある質問(Q&A)
最後に、品確法と入札に関して寄せられる代表的な質問にお答えします。
Q. 品確法はすべての公共工事の入札に適用されますか?
A. はい、適用されます。
品確法は、公共工事の品質確保に関する「基本法」として位置づけられています。そのため、国、地方公共団体(都道府県、市区町村)、政府系特殊法人などが発注するすべての公共工事に、その「理念」が適用されます。
ただし、具体的な入札方式(例えば「総合評価落札方式」を適用するか、それとも「最低制限価格制度」を適用した価格競争にするか)の選択は、工事の規模、内容、地域の特性などを考慮して、各発注者が判断することになります。
[出典:[公共工事の品質確保の促進に関する法律 第2条第1項]| e-Gov法令検索]
Q. 品確法によって、入札の参加資格は厳しくなりましたか?
A. 「品質確保」の観点で厳格化されたと言えます。
品確法は、品質を確保できない「不良不適格業者」を排除することを明確に求めています。これを受け、多くの発注者が入札参加資格の審査(資格審査申請)において、以下の点をより重視するようになっています。
・ 経営事項審査(経審)の結果(特に技術力評点)
・ 過去の同種工事の実績や工事成績評定
・ 法令遵守の状況(指名停止措置などを受けていないか)
・ 社会保険への加入状況
単に安く入札できるだけでなく、安定した経営基盤と高い技術力、そしてコンプライアンス意識を持つ企業が選別される傾向が強まっています。
Q. 中小企業は品確法(入札)において不利になりませんか?
A. 一概に不利になるとは言えません。むしろ「技術力」が評価されるチャンスです。
品確法は、企業の規模の大小ではなく、適正な品質を確保できる企業が評価されることを目指しています。
確かに、大規模な工事の「総合評価落札方式」では、高度な技術提案が求められ、大企業が有利になる側面はあります。しかし、品確法は同時に、地域の維持・管理に不可欠な「地域の中小企業」の役割も重視しています。
そのため、発注者は入札制度の運用において、以下のような配慮を行うことが求められています。
・ 地域の特性をよく知る地元企業が、その実績やノウハウを適正に評価されるような入札方式(簡易型の総合評価など)を採用する。
・ 工事の規模に応じて、中小企業が参加しやすいように適切に工事を分離・分割して発注する。
価格競争力だけでなく、地域に根差した確かな技術力を持つ中小企業にとっては、品確法はむしろ自社の強みを入札でアピールできる好機となると言えます。
[出典:令和元年度「新・担い手三法」の改正について(概要) | 国土交通省]




