「会社設立」の基本知識

建設業の設立にかかる期間とスケジュールとは?


更新日: 2026/01/22
建設業の設立にかかる期間とスケジュールとは?

この記事の要約

  • 会社設立から許可取得まで最短でも3〜5ヶ月が必要
  • 法人登記だけでなく建設業許可の要件を揃える準備が重要
  • スケジュール短縮には専門家の活用と並行作業が効果等
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1. 建設業における会社設立の全体期間と流れ

建設業を開始するには、法人格の取得だけでなく「建設業許可」の取得が不可欠です。これら一連の手続きには一定の期間を要するため、全体像を把握し、逆算してスケジュールを立てることが事業成功の第一歩となります。

建設業の会社設立から営業開始までの期間は、大きく分けて「法人登記」と「建設業許可申請」の2段階に分かれます。一般的な株式会社であれば登記自体は10日〜2週間程度で完了しますが、建設業として500万円以上の工事を受注するためには、その後に数ヶ月に及ぶ許可申請のプロセスが控えています。

会社設立と建設業許可にかかる期間の目安(表で整理)

以下の表は、一般的な手続きの流れと、それぞれに要する期間の目安をまとめたものです。

項目 期間の目安 内容の詳細
会社設立(法人登記) 約2週間 〜 1ヶ月 定款作成、認証、資本金払込、法務局への登記申請
建設業許可の準備・申請 約1ヶ月 〜 2ヶ月 過去の実務経験証明、納税証明書などの書類収集・作成
行政庁による審査期間 約1ヶ月 〜 2ヶ月 知事許可(各都道府県)か大臣許可によって変動
トータル期間 約3ヶ月 〜 5ヶ月 会社設立完了から実際に許可証が届くまでの目安

[出典:国土交通省「建設業許可制度の概要」]

建設業特有のスケジュール注意点

建設業において最も注意すべきは、「法人登記が終わっても、すぐに大きな工事は請け負えない」という点です。建設業法により、500万円(建築一式工事の場合は1,500万円)以上の工事を請け負うには建設業許可が必須とされています。

この許可申請は法人登記が完了した後でなければ行えません。さらに、申請後の審査期間だけで知事許可でも「45日〜60日程度」かかるのが一般的です。融資を受けて事業を始める場合、この「売上が上がらない期間」の運転資金も考慮したスケジュール管理が重要になります。

建設現場のデスクに置かれたスケジュール表とヘルメットの写真

2. 建設業の会社設立から事業開始までのスケジュール詳細

建設業の会社設立は、単なる事務手続きではなく、将来的な許認可申請を見据えた戦略的な準備が必要です。効率的な事業開始に向けた具体的なステップを、建設業ならではの視点を交えて詳しく解説します。

ステップ1:法人格の決定と事前準備

まずは、「株式会社」にするか「合同会社」にするか、法人の形態を決定します。建設業においてはいずれの形態でも許可取得は可能ですが、対外的な信用力や将来の規模拡大を考慮して選ぶ必要があります。この段階で、商号(社名)の決定、事業目的の整理、代表印(実印)の作成を行います。

ステップ2:定款作成と認証(表で整理)

定款(ていかん)は会社の根本規則です。建設業の場合、将来取得したい「業種」を事業目的に含めておく必要があります。

比較項目 株式会社 合同会社
設立費用(実費) 約20万円〜 約6万円〜
定款認証の有無 公証役場での認証が必要 不要
期間の短縮 普通 公証役場の手続きがない分、早い傾向

[出典:法務局「商業・法人登記の手続きについて」]

ステップ3:資本金の払込と登記申請

定款の認証後、発起人の口座に資本金を振り込み、その通帳のコピーを添えて法務局へ登記申請を行います。「登記申請日」が会社の設立記念日となります。法務局の混雑状況にもよりますが、申請から1〜2週間程度で登記が完了し、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)が取得できるようになります。

ステップ4:社会保険・税務署等への届出

登記完了後、直ちに以下の各機関へ届出を行います。建設業許可の申請には、これらの届出の控えが必要になる場合があります。

  • 1.税務署への届出
    法人設立届出書、青色申告の承認申請書などを提出します。

  • 2.年金事務所への届出
    健康保険・厚生年金保険の加入手続きを行います。

  • 3.労働基準監督署・ハローワークへの届出
    従業員を雇用する場合の労働保険手続きが必要です。

3. 建設業の会社設立で読者が抱きやすい不安と対策

建設業の会社設立には、一般的な法人設立よりも厳しい「許可要件」が存在します。これらをクリアできていないと、会社は作れても建設業許可が取れないという事態に陥ります。読者が抱きやすい不安要素とその対策を整理します。

資本金や役員構成に関する不安

建設業許可(一般)を取得するためには、「500万円以上の自己資金」があること、または500万円以上の資金調達能力があることが証明できなければなりません。

資本金に関する不安対策

・会社設立時の資本金を500万円以上に設定する
・設立直後の残高証明書により財産的基礎要件をスムーズにクリアできる
・融資を受ける場合は、融資決定通知書も有効な証明書類となる

「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の確保

建設業許可には、経営経験を持つ「経営業務の管理責任者(経管)」と、一定の資格や実務経験を持つ「専任技術者」の設置が義務付けられています。設立前に、役員や従業員の中にこれらの要件を満たす人物が確実にいるかを確認してください。特に実務経験で証明する場合、過去の注文書や通帳のコピーが揃っているかが鍵となります。

事務所(営業所)の要件に関する注意点

建設業の営業所は、実体があることが厳格にチェックされます。自宅兼事務所でも可能ですが、居住スペースと事務スペースが明確に区分されている必要があります。また、賃貸物件の場合は契約書の「使用目的」が事務所(事業用)になっているか、貸主の承諾が得られているかを確認しましょう。

4. 会社設立を自分で行う場合と専門家に依頼する場合の比較

会社設立と建設業許可の手続きを自力で進めるか、専門家に依頼するかは、コストとスピードのバランスで判断します。特に建設業は書類が膨大になるため、慎重な検討が必要です。

自分で設立・申請する場合のメリット・デメリット(表で整理)

項目 メリット デメリット
コスト 専門家への報酬(10万〜30万円程度)を削減できる 交通費や書類取得費用は実費で発生する
確実性 経営者自身が法的な仕組みを深く理解できる 許可要件の見落としで、登記のやり直しが発生するリスク
期間 自分のペースで進められる 慣れない作業でトータル期間が延びがち

行政書士・司法書士へ依頼するメリット

専門家に依頼する最大のメリットは、「建設業許可を見据えた完璧な定款・登記」ができる点です。司法書士は登記のプロ、行政書士は許認可のプロです。特に建設業許可に強い行政書士に依頼すれば、設立時の「事業目的」の文言ひとつから、将来の許可申請に不利にならないようアドバイスを受けられます。これにより、書類不備による差し戻し(タイムロス)を最小限に抑え、最短ルートでの事業開始が可能になります。

5. 建設業の会社設立を最短で進めるためのポイント

1日でも早く事業を開始したい読者のための実践的なアドバイスです。会社設立の登記を待っている間に、建設業許可申請に必要な書類を並行して揃えておくことが、無駄な待ち時間をゼロにするコツです。

書類収集を並行して進める(箇条書きで整理)

並行して準備すべき書類一覧

・役員全員分の住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書
・専任技術者の資格証の原本や卒業証明書
・過去の実務経験を証明する契約書、注文書、請求書の控え
・これまでの経験期間の社会保険加入履歴や確定申告書

融資検討は設立準備と同時にスタート

建設業は資材の仕入れや外注費の支払いなど、先行するコストが大きい業種です。日本政策金融公庫などの創業融資を受ける場合、事業計画書の作成には時間がかかります。会社設立の準備と並行して創業計画を練り、登記完了(謄本の取得)と同時に融資の申し込みができる状態にしておくと、資金繰りの面でもスケジュールが安定します。

登記書類と会社の印鑑を準備する様子の写真

まとめ:建設業の会社設立は許可取得までを見据えた計画を

建設業の会社設立を成功させるには、単に法人を登記するだけでは不十分です。以下の3点を常に意識して進める必要があります。

  • 期間の全体像を把握する
    会社設立と許可申請を合わせて3〜5ヶ月の準備期間を計画に盛り込む。

  • 要件を登記に反映する
    資本金額や事業目的など、建設業許可の要件を定款作成時から合致させておく。

  • リソースの最適化を図る
    最短での営業開始を目指すなら、書類収集と並行して設立手続きを進め、専門家のサポートも検討する。

建設業許可は、一度取得すれば大きな武器となります。営業開始までのスケジュールを正確に把握し、着実な一歩を踏み出しましょう。

よくある質問

Q1. 会社設立前でも工事の契約はできますか?

A. 個人事業主として活動している場合を除き、法人名義での契約は登記完了後になります。また、建設業許可が必要な規模の工事(500万円以上)については、許可証が届くまでは契約も施工もできません。500万円未満の軽微な工事であれば、法人登記後すぐに契約可能です。

Q2. 合同会社でも建設業許可は取れますか?

A. はい、取得可能です。建設業許可の要件は、法人の形態(株式会社・合同会社など)によって差別されることはありません。ただし、融資や取引先からの信用面を考慮して株式会社を選択するケースが多いのが実情です。

Q3. 設立から許可取得まで、最短でどのくらいかかりますか?

A. 法人登記に約1週間、並行して進めた許可申請の書類準備に1週間、行政庁の審査に最短の約1ヶ月半(知事許可)と仮定すると、理論上の最短は2ヶ月程度ですが、書類の収集や不備による修正を考慮すると3ヶ月程度を見ておくのが最も現実的です。

[出典:厚生労働省「社会保険・労働保険への加入手続き」]

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