NETISに登録するには?全手順をわかりやすく解説

この記事の要約
- NETIS登録のメリットと費用や審査期間を完全網羅
- 申請書類の作成から登録完了までの手順をステップ解説
- 公共工事の入札加点や販路拡大への具体的効果がわかる
- 目次
- NETIS(新技術情報提供システム)とは?仕組みと目的
- 国土交通省が運用するNETISの基本概要
- NETISに登録される「新技術」の定義
- NETISに登録するメリットとデメリットの比較
- 公共工事入札におけるNETIS登録のメリット
- 申請前に知っておくべきデメリットと負担
- NETIS登録までの具体的な流れと手順
- 手順1:事前相談とNETIS申請書類の準備
- 手順2:申請書の提出とヒアリング審査
- 手順3:NETIS登録完了と情報の公開
- NETIS申請にかかる費用と審査期間の目安
- NETIS登録審査に必要な費用
- 申請から登録完了までの標準的な期間
- NETIS登録後の有効期間と更新・事後評価
- NETIS掲載期間と情報の更新
- 「事後評価」による技術ランクの変更
- 記事のまとめ
- よくある質問(FAQ)
- Q1. 個人事業主でもNETISに登録できますか?
- Q2. NETIS登録を外部コンサルタントに依頼するメリットは?
- Q3. どのような技術がNETIS審査で落ちやすいですか?
NETIS(新技術情報提供システム)とは?仕組みと目的
NETISは、国土交通省が公共工事における新技術の活用を促進し、建設業界の課題解決を図るために整備したデータベースシステムです。公共工事への参入や技術力のアピールを目指す企業にとって、NETISの基本的な仕組みや登録対象となる「新技術」の定義を正しく理解することは、最初に取り組むべき重要なステップとなります。
国土交通省が運用するNETISの基本概要
NETIS(New Technology Information System:新技術情報提供システム)とは、民間企業等によって開発された新技術の情報を、インターネット上で共有・提供するためのデータベースです。国土交通省が運用しており、全国の地方整備局や工事事務所、施工業者がアクセス可能です。
- NETISの主な役割
- 技術情報の集約と共有
全国で開発された有用な新技術を一元管理し、誰でも検索・閲覧できる状態にする。 - 公共工事への活用促進
発注者が工事の課題解決に適した技術を選定しやすくし、現場への導入を支援する。 - 建設現場の効率化と高度化
新技術の導入により、コスト縮減、品質向上、安全性向上、環境保全などを実現する。
- 技術情報の集約と共有
NETISに登録される「新技術」の定義
NETISにおける「新技術」とは、単に新規性があるだけでなく、「従来技術」と比較して何らかの優位性を持つ技術を指します。申請にあたっては、標準的な従来工法や製品と比較し、以下の指標において優れていることを客観的に証明する必要があります。
- 経済性(コストが安くなる)
- 工程(工期が短縮できる)
- 品質(耐久性や仕上がりが良くなる)
- 安全性(事故リスクが減る)
- 施工性(作業が簡単になる)
- 環境(騒音・振動・排出ガス等が減る)
[出典:国土交通省 NETIS 新技術情報提供システム パンフレット]
NETISに登録するメリットとデメリットの比較
NETISへの登録は、公共工事の入札において強力な武器となりますが、一方で申請準備や登録後の維持管理には相応の負担も伴います。自社の技術を登録すべきか判断するために、メリットとデメリットを多角的に比較検討し、費用対効果を見極めることが重要です。
公共工事入札におけるNETIS登録のメリット
最大のメリットは、総合評価落札方式における加点評価です。NETIS登録技術を活用する提案を行うことで、技術評価点が加算され、落札の可能性が高まります。また、登録情報はWEBで公開されるため、全国の発注者やコンサルタントからの問い合わせ増加も期待できます。
- NETIS登録の主なメリット
- 入札時の加点評価
総合評価落札方式において、技術提案時の加点対象となり、受注競争力が向上する。 - 工事成績評定のアップ
実際に現場で活用し、効果が認められれば「工事成績評定点」が加点され、次回の入札で有利になる。 - 販路拡大と知名度向上
「国交省登録技術」として信頼性が高まり、データベース経由での引き合いや営業活動がスムーズになる。
- 入札時の加点評価
申請前に知っておくべきデメリットと負担
登録には専門的な知識を要する書類作成が必要であり、多くの工数がかかります。また、登録して終わりではなく、毎年の報告義務や、登録情報の更新手続きなど、継続的な運用コストが発生することも理解しておく必要があります。
表:NETIS登録のメリットとデメリット比較
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 公共工事受注の拡大 入札加点、工事成績向上、技術力のPR効果 |
| デメリット | 申請・運用の負担 膨大な書類作成工数、半年程度の審査期間、登録後の定期報告義務 |
NETIS登録までの具体的な流れと手順
NETIS登録は、事前相談から始まり、詳細な申請書類の作成、厳格な審査を経て完了します。特に重要となるのが「従来技術との比較」を論理的に説明する資料の作成です。ここでは、登録完了までのプロセスを3つのステップに分け、実務的なポイントを解説します。

手順1:事前相談とNETIS申請書類の準備
まずは管轄の地方整備局等にある「技術相談窓口」へ連絡し、事前相談を行います。自社の技術がNETISの対象となるか、どの従来技術と比較すべきかについて助言を得ることが、手戻りを防ぐ鍵となります。
- 申請に必要な主な書類と作成ポイント
- NETIS申請書(様式-1)
技術の名称、開発会社、キーワードなどを記載する基本シート。検索されやすい用語選定が重要。 - 技術概要説明資料
技術の原理、施工方法、従来技術との比較詳細を記載。図表を用いて視覚的に分かりやすく作成する。 - 比較証明資料(積算資料・試験データ)
コスト縮減や性能向上を裏付ける根拠資料。客観的な試験データや歩掛かり表が必要。
- NETIS申請書(様式-1)
手順2:申請書の提出とヒアリング審査
書類の準備ができたら、各地方整備局の「新技術活用評価会議」事務局へ電子データを提出します。その後、事務局による形式審査が行われ、技術内容によっては審査員によるヒアリングが実施されます。
- 形式審査と内容確認
書類の不備や記載漏れがないかチェックされる。 - ヒアリングの実施
開発者が審査員に対して技術のプレゼンテーションを行う。技術の優位性や適用範囲について厳しく問われる場合がある。 - 修正指示への対応
審査員からの指摘事項(根拠不足、比較対象の妥当性など)に基づき、資料を修正・再提出する。
手順3:NETIS登録完了と情報の公開
すべての審査をクリアすると、登録通知が届き、個別の登録番号が付与されます。その後、NETISウェブサイト上に技術情報が公開され、正式に運用が開始されます。
- 登録番号の付与
例:「KT-230001-A」(KT=関東、-A=事後評価未実施)。 - WEB公開と活用開始
公開日から、公共工事での提案や活用が可能となる。自社サイト等でも登録番号を掲示してPRを行う。
NETIS申請にかかる費用と審査期間の目安
NETIS登録を計画する際、予算とスケジュールの確保は不可欠です。審査自体に費用はかかりませんが、準備にかかる内部コストや外部委託費を考慮する必要があります。また、申請から登録までのリードタイムを把握し、入札時期に間に合うよう逆算して進めることが大切です。
NETIS登録審査に必要な費用
基本的に、国土交通省に対するNETIS登録の審査料や登録料は無料です。しかし、申請書類の作成には高度な専門知識と時間が必要となるため、以下のコストが発生します。
表:登録にかかる費用の目安
| 申請方法 | 費用のイメージ | 備考 |
|---|---|---|
| 自社で申請 | 0円 (人件費は別途発生) |
費用はかからないが、担当者が書類作成に数百時間を費やすケースもある。 |
| コンサル依頼 | 30万円〜100万円程度 | 書類作成代行、理論構築、ヒアリング対策などのサポート範囲により変動する。 |
申請から登録完了までの標準的な期間
申請準備開始から登録完了までは、一般的に4ヶ月〜6ヶ月程度かかります。審査の進捗状況や修正対応の回数によって期間は前後します。
- 事前相談・資料収集:約1ヶ月
- 書類作成:約1〜2ヶ月
- 申請・審査・修正:約2〜3ヶ月
NETIS登録後の有効期間と更新・事後評価
NETISは登録して終わりではありません。技術情報の鮮度を保つための更新手続きや、現場での活用実績に基づいた「事後評価」を受けることで、技術のランク(信頼性)を上げていくプロセスが重要です。
NETIS掲載期間と情報の更新
NETISの掲載期間は、原則として登録日の翌年度から起算して5年間です。ただし、継続的な活用が見込まれる場合などは、最大10年まで延長されることがあります。また、毎年度「実施状況報告」を行う義務があります。
「事後評価」による技術ランクの変更
新規登録時の技術は、末尾が「-A(評価情報なし)」となっています。現場で活用後に「活用効果調査表」を提出し、新技術活用評価会議による事後評価を受けることで、より信頼性の高いランクへ移行します。
表:登録番号末尾と技術ランクの意味
| 末尾記号 | ランク名称 | 意味・状態 |
|---|---|---|
| -A | 申請情報 | 新規登録技術。まだ現場での評価を受けていない状態。 |
| -V | 評価情報 | 現場活用後の評価済み技術。一定の効果が確認されており、信頼性が高い。 |
| -VE | 評価情報 | さらに継続的な調査・評価が行われた技術。非常に高い信頼性を持つ。 |
[出典:国土交通省 NETIS 実施要領]
記事のまとめ
NETISへの登録は、公共工事市場における競争力を高めるための有効な手段です。手続きは複雑ですが、適切な準備を行えば登録は十分に可能です。
- NETIS登録の重要ポイント
- メリットの最大化
入札加点や工事成績評定への貢献、全国的な販路拡大など、経営的なメリットが大きい。 - 入念な準備
「従来技術との比較優位性」を証明するためのデータ収集と書類作成が登録の鍵となる。 - 継続的な運用
登録後は現場での活用実績を積み上げ、事後評価を受けて技術ランク(-Vなど)を上げることが重要。
- メリットの最大化
まずは管轄の地方整備局の技術相談窓口へ連絡し、自社技術の登録可能性について事前相談することから始めてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でもNETISに登録できますか?
はい、登録可能です。NETISの登録要件に企業規模の制限はありません。個人事業主であっても、従来技術に対して優位性を持つ新技術を開発・保有していれば、法人と同様に申請を行うことができます。
Q2. NETIS登録を外部コンサルタントに依頼するメリットは?
最大のメリットは、書類作成負担の軽減と審査通過率の向上です。NETIS申請には独特の用語や論理構成が求められます。経験豊富なコンサルタントに依頼することで、手戻りを減らし、最短期間で確実な登録を目指すことができます。また、社内リソースを本業に集中させることができます。
Q3. どのような技術がNETIS審査で落ちやすいですか?
審査で不採択となりやすい主な理由は以下の通りです。
- 従来技術との差異が曖昧
既存技術と何が違うのか、客観的なデータや論理で説明できていない。 - 公共工事への適用性が低い
一般家庭用製品など、公共工事の現場での利用シーンが想定しにくい。 - 単なる仕様変更
色や形状を変えただけで、機能や性能における実質的な向上が見られない。





