「会社設立」の基本知識

建設業で法人登記するまでのステップとは?


更新日: 2026/01/21
建設業で法人登記するまでのステップとは?

この記事の要約

  • 建設業の会社設立は許可申請を逆算した準備が重要です。
  • 資本金500万円の設定や事業目的の記載法を詳しく解説。
  • 法人登記から諸官庁への届出まで5ステップで紹介します。
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建設業における会社設立の全体像と主な流れ

建設業で独立を目指す際、個人事業主から始めるか、最初から法人化するかは極めて重要な判断となります。建設業は他業種と異なり、将来的なテキスト建設業許可の取得が事業拡大の前提となるため、設立段階から許可要件を意識した計画的な会社設立が求められます。

法人化するタイミングと検討すべきポイント

建設業において法人化を検討すべきタイミングは、主にテキスト税負担の軽減テキスト社会的信用の獲得の2点に集約されます。利益が一定水準を超えると法人税の方が所得税よりも低くなるケースが多く、節税メリットが生まれます。また、公共工事や大手ゼネコンとの直接取引を希望する場合、法人の形態をとっていることが事実上の必須条件となることが少なくありません。さらに、社会保険への加入が許可要件として厳格化された現在では、法人として福利厚生を整えることが、優秀な職人を確保するための有力な手段となります。

【表で整理】会社設立から建設業許可取得までのスケジュール

建設業の場合、登記完了はゴールではなく、あくまで許可申請へのスタート地点です。以下のスケジュールに沿って、効率的に進める必要があります。

期間 段階 主な内容
1ヶ月前〜 事前準備 商号(社名)の決定、事業目的の精査、資本金額の確定
2週間前〜 定款作成・認証 定款の作成、公証役場での定款認証(株式会社のみ)
1週間前〜 資本金払込 発起人の個人口座へ資本金の入金、払込証明書の作成
当日 登記申請 管轄の法務局へ設立登記申請書の提出(この日が会社設立日)
登記後1〜2週間 登記完了 履歴事項全部証明書・印鑑証明書の取得、銀行口座開設
登記後〜随時 事後手続き 税務署・自治体への届出、社会保険・労働保険の加入手続き
登記後1ヶ月〜 許可申請準備 建設業許可申請書類の作成、管轄自治体への提出

[出典:法務局 商業・法人登記等手続き]

建設業で会社設立を進めるための5つのステップ

会社設立の具体的な手続きは、法的な順序に従って進める必要があります。特に建設業では「事業目的」の記載内容が後の許可申請に直結するため、各ステップにおける留意点を正しく理解し、不備のない書類作成を行うことが、最短での事業開始に繋がります。

建設会社の設立に必要な実印と書類、現場用のヘルメットが置かれたデスクの写真

1. 基本事項の決定(商号・目的・本店所在地など)

まずは会社の根幹となるルールを決めます。

  • 1.基本事項の決定
    社名である商号、本店所在地、役員構成、資本金額、そして事業年度を決定します。

  • 事業目的の精査
    建設業許可を取得したい業種をあらかじめ定款に盛り込んでおく必要があります。

2. 定款の作成と認証(公証役場での手続き)

定款は会社の憲法にあたる最重要書類です。株式会社を設立する場合は、作成した定款を公証役場で公証人に認証してもらう必要があります。合同会社の場合は認証が不要ですが、建設業としての体裁を整えるために正確な記述が求められる点は変わりません。電子定款を利用することで、印紙代4万円を節約することが可能です。

3. 資本金の払い込み(銀行口座への入金)

定款の認証が終わったら、発起人の代表者の個人口座に資本金を振り込みます。この際、単なる預け入れではなく振込という形をとることで、誰がいくら入金したかを明確にします。通帳のコピーをとり、代表印を押印した払込証明書を作成します。

4. 登記申請書類の作成と提出(法務局での手続き)

法務局へ提出する申請書類を準備します。

  • 必要書類の準備
    登記申請書、就任承諾書、印鑑証明書、印鑑届書などを揃えます。

  • 登録免許税の納付
    株式会社なら最低15万円、合同会社なら最低6万円の登録免許税を収入印紙などで納付します。

5. 登記完了後の諸官庁への届け出

法務局に書類を提出してから約1週間から10日ほどで登記が完了します。登記完了後は、以下の機関へ速やかに届出を行い、建設業許可申請に必要な届出書の控えを確保します。

登記完了後の主な届出先
  • 税務署:法人設立届出書、青色申告承認申請書など

  • 都道府県税事務所・市区町村役場:法人設立届出書

  • 年金事務所:社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き

  • 労働基準監督署・ハローワーク:従業員を雇用する場合の労働保険手続き

建設業ならではの会社設立時の注意点:許可申請を見据えて

建設業での会社設立は、他業種と同じ感覚で進めると、後から建設業許可が下りないというリスクがあります。特にテキスト資本金テキスト事業目的テキスト役員構成の3点は、許可要件と密接に関わっているため、設立登記の前に必ず基準を確認しなければなりません。

建設業の経営者と行政書士がオフィスで設立書類の確認を行っている写真

資本金の額は「500万円以上」が目安となる理由

建設業許可(一般)を取得するための要件の一つに、テキスト500万円以上の自己資本または500万円以上の資金調達能力があります。

  • 500万円以上で設立する場合
    設立時の貸借対照表で要件を満たしていることが証明できるため、決算を待たずして許可申請が可能です。

  • 500万円未満で設立する場合
    銀行の発行する残高証明書が必要となりますが、有効期限が1ヶ月程度と短いため、タイミングの調整が難しくなります。

[出典:国土交通省 建設業許可制度の財産的基礎要件]

事業目的に必ず含めるべき文言と記載ルール

定款の事業目的には、取得予定の業種を具体的に記載します。

事業目的の記載ポイント
  • 土木工事業、建築工事業など、29業種の中から具体的に記載する

  • 前各号に附帯関連する一切の事業という一文を必ず入れる

  • 将来的に展開する可能性がある業種もあらかじめ含めておく

役員の構成と「経営業務の管理責任者」の要件

建設業許可を受けるには、経営経験を持つテキスト経営業務の管理責任者(経管)を役員に据える必要があります。法人の場合、この経管となる人物が常勤の役員として登記されていることが必須条件です。誰を役員にするかは、その人物が過去に5年以上の経営経験を公的に証明できるかを確認した上で決定してください。

会社設立にかかる費用と必要書類の比較検討

会社設立には実費として登録免許税などのコストが発生します。株式会社と合同会社のどちらを選ぶかは、初期コストだけでなく、将来の取引先からの見え方や組織の柔軟性を考慮して決定すべきです。

【表で整理】株式会社と合同会社の設立費用・特徴比較

建設業においては株式会社が一般的ですが、近年ではコスト重視で合同会社を選択するケースも増えています。

比較項目 株式会社 合同会社
定款認証手数料 約3万円〜5万円 不要(0円)
登録免許税 最低15万円 最低6万円
収入印紙(紙定款) 4万円(電子定款は0円) 4万円(電子定款は0円)
実費合計(目安) 約20万円〜24万円 約6万円〜10万円
社会的信用度 非常に高い(一般的) 普通(近年認知向上中)
意思決定 株主総会等の手続きが必要 出資者の合意で迅速に決定可能

法人登記に必要な書類チェックリスト

登記申請にあたり、以下の書類に不備がないか最終確認を行います。

  • 株式会社(合同会社)設立登記申請書
  • 定款(認証済みのもの)
  • 発起人の決定書(または同意書)
  • 就任承諾書(役員全員分)
  • 印鑑証明書(役員全員分・発行3ヶ月以内)
  • 資本金の払込証明書
  • 印鑑届書(法人の代表印を登録)

建設業の会社設立で読者が抱きやすい不安と解決策

独立にあたっては、事務手続き以外にも多くの不安が伴います。特に一人親方からの法人化や、資金調達に関する懸念を解消しておくことで、自信を持って会社設立へと踏み出すことができます。

一人親方でも法人化するメリットはあるか?

従業員がいない一人親方であっても、法人化には明確なメリットがあります。最大の利点はテキスト責任の限定テキスト取引の継続性です。個人事業主は無限責任ですが、法人の場合は出資額の範囲内での有限責任となります。また、元請け会社がコンプライアンスの観点から社会保険完備の法人との取引を優先する傾向が強まっており、法人化は仕事の確保に直結する戦略的な選択と言えます。

融資を受けるために設立時に気をつけるべきこと

日本政策金融公庫などの創業融資を検討している場合、資本金の額とその出所が厳しくチェックされます。

  • 自己資金の透明性
    資本金がタンス預金や一時的な借入(見せ金)ではなく、通帳等で確認できるコツコツ貯めた資金であることを証明する必要があります。

  • 創業計画書の整合性
    登記した事業目的と、融資を受けて行う事業内容に矛盾がないようにします。

まとめ

建設業で法人登記を完了させ、円滑に会社設立を行うためには、単なる事務手続きだけでなくテキスト建設業許可の要件を満たせるかという視点が不可欠です。資本金を500万円以上に設定すること、事業目的に適切な業種を記載すること、そして経営経験を持つ役員を配置すること。これら3つのポイントを設立段階でクリアしておくことで、設立後の事業展開が圧倒的にスムーズになります。まずはスケジュールを逆算し、必要な書類と費用を準備することから始めましょう。

Q1. 建設業許可を持っていないと会社設立はできませんか?

A1. 会社設立自体は誰でも可能です。ただし、1件500万円(税込)以上の工事、あるいは建築一式工事で1,500万円以上の工事を請け負う場合には、設立後に建設業許可を申請して取得する必要があります。

Q2. 自宅を本店所在地にして建設業の法人登記はできますか?

A2. 登記自体は可能です。しかし、後の建設業許可申請では事務所としての実体が厳しく審査されます。居住スペースと明確に区分けされた事務スペース、固定電話、事務机などが備わっているか、賃貸の場合は事務所利用が可能かを確認してください。

Q3. 資本金は1円でも建設業の会社を作れますか?

A3. 会社法上は可能ですが、建設業では推奨されません。許可要件である自己資本500万円以上をクリアするために、後から増資の手続きを行うのは手間も費用もかかるため、最初から500万円以上に設定して会社設立を行うのが一般的です。

[出典:国土交通省 建設業許可 制度の概要]

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