工事写真台帳の作り方とは?3ステップで初心者も安心

この記事の要約
- 工事写真台帳の役割と3つの作成手順を初心者向けに解説します
- 記載必須項目やツールごとのメリット・デメリットを比較しました
- 保存期間や撮影漏れを防ぐコツなど実務に役立つ情報を網羅しました
- 目次
- 工事写真台帳とは?初心者が知っておくべき基礎知識
- 工事写真台帳の役割と目的
- 台帳に求められる「信憑性」と「証拠能力」
- 初心者でも迷わない!工事写真台帳の作り方・簡単3ステップ
- ステップ1:撮影計画の策定と現場での写真撮影
- ステップ2:写真の整理・選別と情報の紐付け
- ステップ3:レイアウト編集と台帳の出力・保存
- 工事写真台帳の作成に必要な記載項目【表で整理】
- 台帳作成を効率化する方法:Excelと専用アプリの比較【表で整理】
- 初心者が抱きがちな台帳作成の不安と解決策
- 「写真の撮り忘れ」を防ぐための事前準備
- 電子小黒板の活用で「黒板持ち」の手間を解消
- データのバックアップと適切な保管期間について
- まとめ:3ステップでミスなく工事写真台帳を完成させよう
- Q1. 工事写真台帳の保存期間は法律で決まっていますか?
- Q2. 写真の加工(トリミングや明るさ調整)は認められますか?
- Q3. 1ページに載せる写真の枚数に決まりはありますか?
工事写真台帳とは?初心者が知っておくべき基礎知識
工事写真台帳は、施工の各工程を記録した写真に情報を添え、工事の品質や進捗を証明するために作成する極めて重要な「台帳」です。なぜこの書類が必要なのか、作成時に求められる基本的なルールと合わせて、その本質的な役割を分かりやすく解説します。
工事写真台帳は、完成後には目視できなくなる基礎部分や配筋などの施工状況を証明する唯一の手段となります。発注者に対する報告書類であると同時に、万が一施工不良やトラブルが発生した際に自社の正当性を守るための「法的証拠」としての側面も持っています。初心者はまず、この書類が「会社の信頼を担保するもの」であることを理解する必要があります。
工事写真台帳の役割と目的
工事写真台帳を作成する主な目的は、以下の3点に集約されます。
- 1.施工品質の可視化と証明
設計図書通りに正しく施工されているかを、写真という客観的なデータで証明します。特に隠蔽部(コンクリート打設後などに見えなくなる場所)の記録は不可欠です。 - 2.発注者への進捗報告と信頼構築
工事が計画通りに進んでいることを視覚的に伝えることで、発注者や監督員との円滑なコミュニケーションを助け、信頼関係を築くツールとなります。 - 3.将来のメンテナンスやトラブル対応への備え
数年、数十年後の修繕時に、当時の施工状況を確認するための貴重な資料となります。また、係争時の証拠書類としても活用されます。
台帳に求められる「信憑性」と「証拠能力」
台帳は「ありのままの事実」を記録するものであるため、その信憑性が厳しく問われます。以下の要素を欠くと、せっかく作成した台帳が認められないリスクがあります。
- 不適切な加工の禁止
写真の明るさ調整の範囲を超えた合成や不要物の消去などは「改ざん」とみなされるため厳禁です。デジタル工事写真の信憑性を担保するためのハッシュ値管理なども重要視されます。 - 黒板による情報の紐付け
撮影対象と一緒に「工事名」「工種」「測定値」などが書かれた黒板を写し込むことで、その写真が「いつ、どこで、何を撮ったものか」を確定させます。
- 初心者でもこれだけは押さえたい作成のルール
- 5W1Hの遵守:誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように施工したかが判別できること
- 適切な構図:対象物のサイズ感がわかるように、メジャー(スタッフ)を添えて撮影する
- 工程の連続性:施工前、施工中、施工後の変化がわかるように同じアングルで撮影する
- 速やかな整理:撮影したデータは当日中にフォルダ分けし、記憶が新しいうちに整理する
初心者でも迷わない!工事写真台帳の作り方・簡単3ステップ
工事写真台帳の作成作業は、現場での撮影からオフィスでの書類化まで、大きく3つの段階に分けることができます。それぞれの工程でポイントを押さえることで、初心者でも「撮り直し」や「情報の不整合」といったミスを防ぎ、効率的に台帳を完成させることが可能です。

ステップ1:撮影計画の策定と現場での写真撮影
撮影は「現場に行く前」から始まっています。無計画に撮影すると、重要な箇所の撮り漏れが発生し、施工が進んでからでは取り返しがつかなくなります。
- 1.撮影リストの作成
設計図書や特記仕様書を確認し、提出が必要な工種や部位をリストアップします。特に「材料検収」「配筋」「埋戻し前」などのタイミングを逃さないようスケジューリングします。 - 2.黒板の準備と撮影実行
黒板に必要な情報(工事名、工種、設計値、実測値など)を記入します。撮影時は、被写体と黒板の両方にピントが合っているか、逆光や反射で文字が読めなくなっていないかを確認します。
ステップ2:写真の整理・選別と情報の紐付け
現場で撮影した大量の写真から、台帳に使用する最適なものを選び出し、必要な情報を付加していく工程です。
- 1.データの取り込みとバックアップ
撮影したSDカードやスマホからPCへ速やかにデータを移動させます。万が一の紛失に備え、クラウドや外付けハードディスクへの二重保存を推奨します。 - 2.写真の選別と属性入力
工種ごとにフォルダ分けを行い、手ブレやピンぼけのないベストショットを選びます。写真一枚一枚に対し、撮影部位や計測値などのテキスト情報を紐付けていきます。
ステップ3:レイアウト編集と台帳の出力・保存
最終的な報告書の形式に整える仕上げの工程です。
- 1.フォーマットへの流し込み
Excelテンプレートや専用の管理ソフトを使用し、写真を配置します。一般的には「左に写真、右に解説文」という形式が多く用いられます。 - 2.最終チェックと書き出し
工事名や数値の転記ミスがないか、写真と説明文が一致しているかを再確認します。確認後、改ざん防止のためにPDF形式で出力し、必要に応じて印刷を行います。
工事写真台帳の作成に必要な記載項目【表で整理】
工事写真台帳には、第三者が写真の内容を正しく理解できるように、特定の情報を正確に記載する必要があります。これらの項目が不足していると、検査時に再提出を求められる可能性があるため、基本となる記載項目を網羅しておきましょう。
以下の表は、一般的な工事写真台帳において必須とされる基本項目を整理したものです。
| 記載項目 | 内容の詳細 | 記入時のポイント |
|---|---|---|
| 工事名 | 契約書に基づいた正確な工事名称 | 略称を使わず、一字一句正確に記載する |
| 工種・種別 | 施工内容の分類(例:鉄筋工事、防水工事) | 設計図書や見積書の分類に合わせる |
| 撮影部位 | 撮影した具体的な場所(例:A棟2階柱) | 図面上の位置関係が特定できるようにする |
| 設計寸法 | 設計図面で指定されている目標数値 | 単位(mm、cm等)を忘れずに記載する |
| 実測寸法 | 現場で実際に計測した数値 | 黒板の数値と台帳のテキストを一致させる |
| 撮影年月日 | 写真を撮影した日付 | 工程の整合性が取れるよう正確に記録する |
[出典:国土交通省 デジタル工事写真の運用ガイドライン]
台帳作成を効率化する方法:Excelと専用アプリの比較【表で整理】
台帳作成をどのように行うかは、業務効率に大きく影響します。従来通りのExcelによる作成と、最新の工事写真専用アプリ・ソフトによる作成にはそれぞれメリットとデメリットがあります。自社の環境や現場のボリュームに合わせて最適なツールを選択してください。
以下の表で、Excel作成と専用ツール作成の主な違いを比較しています。
| 比較項目 | Excel(エクセル)での作成 | 専用ソフト・アプリでの作成 |
|---|---|---|
| コスト | 低い(既存のPC資産を活用可能) | 中〜高(利用料や購入費が発生) |
| 作成スピード | 遅い(手動で写真挿入・調整が必要) | 非常に速い(自動連携・自動作成) |
| 操作の難易度 | 普通(基本的なPC操作スキル) | 簡単(スマホ・タブレットで直感的) |
| ミスのリスク | 高い(手入力による転記ミス等) | 低い(情報の整合性チェック機能がある) |
| おすすめの人 | 現場数が少なくコストを優先する人 | 現場を掛け持ちし残業を減らしたい人 |

- どちらを選ぶべきかの判断基準
- 月間の写真枚数が100枚以下:Excelのテンプレート活用で十分対応可能です。
- 月間の写真枚数が数百枚以上:アプリ導入による時短効果がコストを上回ります。
- 公共工事への対応:電子納品規格への準拠が必要な場合は、専用ソフトの使用が必須となります。
初心者が抱きがちな台帳作成の不安と解決策
初めて台帳作成を任されると、「撮り忘れたらどうしよう」「保存方法がわからない」といった不安がつきものです。ここでは、実務でよく遭遇する悩みに対する具体的な解決策を客観的な事実に基づいて提示します。
「写真の撮り忘れ」を防ぐための事前準備
撮り忘れは初心者だけでなく、熟練者でも起こりうる重大なミスです。これを防ぐには「記憶」ではなく「仕組み」に頼る必要があります。
- 撮影チェックリストの携行
その日の作業開始前に、撮影すべき項目をリスト化します。撮影が完了するたびに現場でチェックを入れ、作業終了時に漏れがないか確認する習慣をつけましょう。 - 図面への撮影ポイントプロット
図面上に撮影すべき位置と方向をあらかじめ書き込んでおきます。これにより、後から見返した際にも「どこから撮った写真か」が明白になり、整理も楽になります。
電子小黒板の活用で「黒板持ち」の手間を解消
かつては一人が黒板を持ち、もう一人が撮影するという二人一組の作業が一般的でした。
- 電子小黒板アプリのメリット
スマートフォンやタブレットの画面上にデジタルの黒板を合成して撮影できる「電子小黒板」を使用すれば、一人でも正確な写真を撮影できます。これにより人員不足を解消し、撮影効率を劇的に向上させることが可能です。
データのバックアップと適切な保管期間について
台帳は作成して終わりではありません。完成した台帳や元データは、法的に定められた期間、安全に保管する必要があります。
- 法的保存期間の遵守
建設業法および同施行規則に基づき、営業に関する帳簿(工事写真台帳を含む)は、一般的に工事完了から5年間の保存が義務付けられています。ただし、公共工事や瑕疵保険の絡む工事では10年間の保管が求められるケースがあるため、注意が必要です。
[出典:建設業法第26条の3、建設業法施行規則第21条]
まとめ:3ステップでミスなく工事写真台帳を完成させよう
工事写真台帳は、建設現場における「信頼の証」となる重要な書類です。作成の基本を忠実に守り、効率的なツールを活用することで、初心者でも質の高い台帳をスムーズに作成できるようになります。
最後に、本記事の内容を振り返り、次に取るべき行動をまとめます。
- 撮影計画を立てる:事前のリスト作成で撮り漏れをゼロにする。
- ルールを守って撮影する:5W1Hを意識し、黒板の数値を鮮明に写し込む。
- 迅速に整理・編集する:当日中の仕分けと、目的に応じたツールの選定(Excelまたはアプリ)。
- 適切に保管する:法的保存期間を把握し、バックアップを徹底する。
台帳作成は一見地道な作業ですが、一つひとつの積み重ねが、工事の品質を証明し、最終的に会社と自分自身を守ることにつながります。本記事で紹介した3ステップを参考に、まずは明日の撮影計画を立てることから始めてみてください。
Q1. 工事写真台帳の保存期間は法律で決まっていますか?
A1. はい。建設業法に基づき、営業に関する書類として一般的には工事完了から5年間の保存義務があります。ただし、発注者の規定や瑕疵担保責任の期間によっては10年間の保管が求められるケースもあるため、契約条件を必ず確認してください。
Q2. 写真の加工(トリミングや明るさ調整)は認められますか?
A2. 施工の事実を歪めるような加工(改ざん)は一切認められません。ただし、暗い場所で撮影した写真を「見やすくするため」の最低限の明るさ調整などは、信憑性を損なわない範囲で許容される場合があります。基本的には無加工のまま、撮影時に適切な明るさを確保することが推奨されます。
Q3. 1ページに載せる写真の枚数に決まりはありますか?
A3. 厳格な法的規定はありませんが、標準的なレイアウトとしては1ページにつき2枚〜3枚が見やすいとされています。提出先(自治体や民間施主)から指定のフォーマットがある場合は、その指定枚数に従うのが最も確実です。





