「CIM」の基本知識

CIMを中小建設会社が導入するには?基本知識をわかりやすく解説


更新日: 2025/10/22
CIMを中小建設会社が導入するには?基本知識をわかりやすく解説

この記事の要約

  • CIMとは建設プロセス全体を3Dモデルで効率化する仕組み
  • 中小企業こそCIM導入による生産性向上が急務
  • CIM導入は段階的な「スモールスタート」が成功の鍵
目次

CIMとは?中小建設会社が知るべき基本

CIM(シム)は、建設業界の生産性向上に不可欠な概念として国土交通省が推進しています。特に土木分野で活用され、3次元モデルを軸に情報を一元化する取り組みです。中小建設会社が今後、公共工事などで競争力を維持・向上させるためには、CIMの基本を理解し、導入を検討することが重要になります。ここでは、CIMの正確な定義、必要性、そして混同されがちなBIMとの違いを明確にします。

CIMの定義と目的

CIMとは、Construction Information Modeling/Management(コンストラクション・インフォメーション・モデリング/マネジメント)の略称です。

国土交通省の「CIM導入ガイドライン」によれば、CIMの目的は次のように定義されています。

測量・調査、設計、施工、維持管理・更新の各段階において、情報を充実させながら BIM/CIM モデルを連携・発展させ、併せて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にすることで、一連の建設生産・管理システム全体の効率化・高度化を図ること

[出典:国土交通省「CIM導入ガイドライン(案) 第1編 共通編」]

簡単に言えば、「3次元モデル」に、部材の仕様、コスト、工程などの「属性情報」を紐づけて一元管理し、それをプロジェクトの全工程(計画から維持管理まで)で活用することで、ミスを減らし、効率を上げ、全体の生産性を高めるための取り組みです。

なぜ今、中小建設会社にもCIMが必要なのか?

CIMは大手ゼネコンだけのものではありません。むしろ、リソースが限られる中小建設会社にこそ、導入の必要性が高まっています。

国土交通省の推進(公共工事での原則適用):国土交通省は、働き方改革や生産性向上を目的とし、2023年度(令和5年度)から小規模を除く全ての直轄工事・業務においてBIM/CIMを原則適用することを決定しています。
[出典:国土交通省「令和5年度よりBIM/CIMを原則適用します」]
今後、公共工事を受注する上で、CIMへの対応は「標準スキル」となる可能性が極めて高いです。

生産性の抜本的な向上:建設業界は、深刻な人手不足高齢化「2024年問題」(時間外労働の上限規制)といった課題に直面しています。CIMによる業務の「見える化」や手戻り削減は、これらの課題を解決し、限られたリソースで高い成果を出すための鍵となります。

競争力の維持・強化:元請け企業がCIMを導入すれば、協力会社である中小建設会社にもCIMデータでのやり取りが求められるようになります。CIMに対応できることは、今後の受注機会の確保や、他社との差別化に直結します。

CIMとBIMの違い

CIMと非常によく似た用語にBIM(ビム)があります。どちらも3次元モデルに情報を統合して活用する概念ですが、主な対象分野が異なります。

表1:CIMとBIMの主な違い

比較項目 CIM (Construction Information Modeling/Management) BIM (Building Information Modeling/Management)
主な対象分野 土木分野 建築分野
主な対象物 道路、橋梁(きょうりょう)、ダム、トンネル、河川など ビル、マンション、商業施設、住宅などの建築物
特徴 地形データや広範囲の線形データ(道路・河川の中心線など)を扱うことが多い。 建物内部の設備(空調・電気・配管)や意匠(デザイン)、構造の納まりを重視することが多い。
日本での管轄 主に国土交通省(土木系部局) 主に国土交通省(住宅局・営繕部など)

日本では、土木分野をCIM、建築分野をBIMと呼称していましたが、近年、国土交通省は両者を「BIM/CIM」と併記するケースが増えています。これは、建設生産プロセス全体をデジタル化するという大きな目的は共通であるためです。この記事では、主に土木分野を対象とする「CIM」に焦点を当てて解説します。

中小建設会社がCIMを導入する具体的なメリット

CIM導入には初期コストや教育の手間がかかりますが、それを上回る具体的なメリットが期待できます。特に中小建設会社が抱えがちな「人手不足」や「ミスによる手戻り」といった課題解決に直結します。業務の各段階でどのようなメリットが生まれるのかを解説します。

設計・施工段階での「見える化」による品質向上

従来の2次元図面では、専門家でなければ構造や納まり(部材の接合部など)を正確に把握するのが困難でした。
CIMの3次元モデルを使えば、誰でも直感的に完成形をイメージできます。これにより、設計段階での不整合(例えば、配管と構造物がぶつかる「干渉」)を事前に発見しやすくなります。施工前に問題点を潰せるため、施工ミスが減り、建設物そのものの品質向上につながります。

タブレット端末で橋のCIMモデルを確認する建設作業員

手戻り防止と生産性の向上

建設業の生産性を低下させる大きな要因の一つが、施工現場での「手戻り」(ミスが発覚し、作り直すこと)です。
CIMを活用すれば、前述の干渉チェックや、施工手順のシミュレーション(4Dシミュレーション=3次元モデル+時間軸)が可能です。事前に「どの順番で組み立てれば問題ないか」「重機の動線は確保できるか」などを確認できるため、現場での手戻りやトラブルを大幅に削減できます。結果として、無駄な作業時間や材料費が削減され、工期の短縮と生産性の向上に直結します。

関係者間のスムーズな情報共有

建設プロジェクトには、発注者、設計コンサルタント、元請け、複数の専門工事業者(協力会社)など、非常に多くの関係者が関わります。
2次元図面では、人によって解釈が分かれる(認識の齟齬が生まれる)ことがありました。しかし、ビジュアルで分かりやすい3次元モデルを「共通言語」として使うことで、関係者間の合意形成が迅速になります。発注者への説明(住民説明会などを含む)にも効果的で、「伝えた」「聞いていない」といったコミュニケーションエラーを防ぎます。

維持管理段階でのデータ活用

CIMの価値は、建物や構造物が完成したら終わりではありません。3次元モデルに付加された情報(部材の材質、メーカー、点検履歴、修繕履歴など)は、そのまま維持管理データベースとして活用できます。
中小建設会社が維持管理業務も請け負う場合、このデータを活用して効率的な点検計画を立てたり、修繕が必要な箇所を正確に特定したりできます。将来的な改修工事の際にも、基礎データとして役立ちます。

発注者(国交省など)の要請への対応

前述の通り、国土交通省は公共事業におけるBIM/CIM活用を強力に推進しています。これは、公共インフラの品質確保と、建設業界全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促すためです。
今後、CIM対応が入札参加の条件になったり、技術提案で加点されたりするケースが増加することが確実視されています。中小建設会社がCIMを導入し、対応力を高めておくことは、将来の受注機会を確保し、経営を安定させるための重要な戦略となります。

CIM導入で中小建設会社が直面しがちな課題と不安

CIM導入のメリットは大きいものの、特にリソースが限られる中小建設会社にとっては、いくつかの「壁」が存在します。導入を検討する際には、これらの課題をあらかじめ認識し、対策を考えておくことが重要です。ここでは、多くの企業が直面しがちな4つの代表的な課題と不安点を整理します。

導入コスト(ソフト・ハードウェア)

CIMを運用するためには、専門的なソフトウェアと、それを快適に動かすための高性能なハードウェアが必要です。

ソフトウェアコスト:3次元CADソフトウェアや、点群データ(3Dスキャナで取得したデータ)を扱うソフト、施工シミュレーションソフトなどは、高機能な分、ライセンス費用も高額になる傾向があります。多くは年間契約(サブスクリプション)型であり、継続的なランニングコストが発生します。
ハードウェアコスト:大容量の3次元データを扱うため、一般的な事務用PCではスペック不足です。高性能なCPU、大容量メモリ、高性能なグラフィックボード(GPU)を搭載したワークステーションと呼ばれるPCが必要となり、初期投資が大きくなります。

人材の確保と育成(スキル習得の難しさ)

CIM導入における最大の課題は「人」であるとも言われます。
従来の2次元CADとは操作感や設計思想が異なるため、新たなスキルの習得が必要です。特に、現場経験は豊富でもPC操作に不慣れなベテラン社員にとっては、学習のハードルが高く感じられることがあります。また、CIMスキルを持つ人材を中途採用しようにも、市場価値が高く、採用競争が激しいため容易ではありません。結果として、社内での教育・育成が必須となりますが、日常業務と並行して教育時間を確保するのは大きな負担です。

従来のアナログ業務からの移行負担

長年慣れ親しんだ2次元図面ベースの業務フローを、3次元モデルベースに移行するには、大きな変革が伴います。
単にツールを変えるだけでなく、業務プロセス全体の見直しが必要です。例えば、「どの段階で誰がモデルを作成するのか」「情報の入力ルールはどうするか」「データの承認フローはどうするか」など、社内ルールを根本から再構築しなければなりません。この移行期には、一時的に業務が混乱したり、作業負荷が増大したりする可能性があります。

発注者や協力会社とのデータ連携

自社がCIMを導入しても、プロジェクトに関わる他の会社が対応していなければ、CIMのメリットを最大限に活かせません。
例えば、自社は3次元モデルでデータを作成しても、協力会社が2次元図面しか扱えない場合、わざわざ2次元図面を出力する手間が発生します。また、発注者側(特に地方自治体など)の理解や受け入れ体制が整っていない場合もあります。使用するソフトウェアが異なると、データの互換性(正しくデータを読み書きできるか)の問題が生じることもあり、円滑なデータ連携が課題となります。

中小建設会社向けCIM導入の進め方【ステップバイステップ】

CIM導入は「ツールを買ったら終わり」ではありません。業務プロセス全体を変革するプロジェクトであり、計画的な推進が必要です。特に中小建設会社では、リソースを効率的に投下するため、段階を踏んで着実に進めることが成功の鍵です。ここでは、導入を6つのステップに分けて具体的に解説します。

CIM導入 6つのステップ
  1. ステップ1:導入目的と範囲の明確化
    (何のために、どこから始めるかを決める)
  2. ステップ2:体制構築と担当者の選定
    (誰が推進するか、経営層の関与を明確にする)
  3. ステップ3:必要なソフトウェア・ハードウェアの選定
    (目的に合ったツールを比較検討する)
  4. ステップ4:教育・トレーニングの実施
    (外部講習なども活用し、スキルを習得する)
  5. ステップ5:試行プロジェクトでの実践とルール作り
    (小さく試し、自社の課題と運用ルールを見つける)
  6. ステップ6:本格導入と継続的な改善
    (試行結果を基に範囲を拡大し、常に見直す)

ステップ1:導入目的と範囲の明確化

1. 目的(Why)の明確化
なぜCIMを導入するのかを明確にします。いきなり「全社で導入する」と意気込むのではなく、まずは自社の最も大きな課題を特定します。
(例:「設計図面の不整合による手戻りを減らしたい」「発注者(国交省)のCIM指定工事に対応したい」「若手社員に3Dで技術継承したい」)

2. 範囲(Where)の決定
目的を達成するために、どの範囲から始めるかを決めます。これが「スモールスタート」の第一歩です。
(例:「まずは〇〇橋の補修工事(1案件)だけで試してみる」「設計部門の干渉チェック業務だけに限定する」)

ステップ2:体制構築と担当者の選定

1. 推進体制(Who)の構築
誰が導入を推進するかを決めます。CIM導入は全社的な取り組みになるため、経営層のコミットメントが不可欠です。「社長直轄のプロジェクトチーム」を設置したり、特定の部門(例:工務部、技術部)に推進室を設けたりします。

2. 担当者の選定
中心となる担当者(CIMマネージャー)を選定し、その担当者には学習や情報収集のための時間と権限を与えることが重要です。

オフィスのモニターでCIMモデルを見ながら議論する建設会社のチーム

ステップ3:必要なソフトウェア・ハードウェアの選定(比較検討)

1. ツール(What)のリストアップ
ステップ1で決めた目的と範囲に基づき、必要なツールを選びます。CIM関連ソフトウェアには様々な種類があります。

3次元CADソフト:3次元モデルを作成・編集する中心的なソフト。
点群処理ソフト:3Dレーザースキャナやドローン測量で得た点群データを扱うソフト。
ビューワーソフト:作成された3Dモデルを閲覧・確認するためのソフト(安価または無料の場合が多い)。
属性情報付与ソフト:モデルにコストや部材情報を紐づけるソフト。

2. 比較検討
表2:ツール選定時の比較検討ポイント

検討ポイント 確認すべき内容
機能 自社の目的(ステップ1)を達成するために十分な機能があるか。オーバースペックすぎないか。
コスト 初期導入費用(イニシャルコスト)だけでなく、保守費用や年間ライセンス料(ランニングコスト)も確認する。
操作性・学習 社員が習得しやすいか。日本語の学習教材やトレーニングは充実しているか。
サポート体制 導入時やトラブル発生時に、ベンダー(販売会社)のサポートを受けられるか。
データ互換性 主要なファイル形式(IFC形式など)に対応しているか。発注者や協力会社とデータを連携できそうか。

ハードウェア(PC)についても、選定したソフトウェアが要求するスペック(推奨スペック)を確認し、導入します。

ステップ4:教育・トレーニングの実施

1. 学習計画(How to)の策定
選定したツールを使いこなすための教育計画を立てます。社内のリソースだけで行うのは困難なため、外部リソースを積極的に活用します。

2. 教育の実施
・ ソフトウェアベンダーや販売代理店が実施する導入講習会への参加。
・ eラーニング(動画教材)の活用。
・ 専門のCIMセミナースクールへの参加。

まずはステップ2で選定した中心メンバーが習得し、そのメンバーが社内の「教育係」となって広めていくのが効率的です。

ステップ5:試行プロジェクトでの実践とルール作り

1. 実践(Try)
ステップ1で決めた範囲(試行プロジェクト)で、実際にCIMを使ってみます。このステップの目的は「完璧なモデルを作ること」ではなく、「自社なりの使い方を見つけ、課題を洗い出すこと」です。

2. ルール策定
試行プロジェクトを通じて、以下のような点を検証し、自社独自の運用ルールを策定していきます。

・ (課題)思ったよりモデル作成に時間がかかった。
→(ルール)詳細度(LOD)を決め、作り込みすぎないルールを設ける。
・ (課題)データのファイル名がバラバラで管理しにくい。
→(ルール)ファイル命名規則(例:「日付_案件名_担当者名.ifc」)を定める。
・ (課題)どの情報を属性として入力すべきか分からない。
→(ルール)維持管理に必要な最低限の項目(部材名、設置日など)を定める。

ステップ6:本格導入と継続的な改善

1. 展開(Expand)
試行プロジェクトでの成功体験と、策定した運用ルールをもとに、CIMの適用範囲を徐々に広げていきます。
(例:「設計の干渉チェック」→「施工計画への活用」→「維持管理データとしての納品」)

2. 継続的な改善(PDCA)
CIMに関する技術や国の基準は日々進化しています。一度ルールを決めたら終わりではなく、定期的に(例:半年に一度)運用ルールを見直し、改善していく継続的な取り組みが不可欠です。

CIM導入を成功させるための中小建設会社の心得

CIM導入は、技術的な側面だけでなく、組織文化の変革も伴う長期的な取り組みです。特に中小建設会社が限られたリソースの中で成功を収めるためには、戦略的な「心得」が必要です。ここでは、導入の失敗を避け、CIMを自社の強みとして根付かせるための5つの重要なポイントを解説します。

スモールスタートを意識する(一気にすべてをやろうとしない)

最も重要な心得です。CIMの機能は多岐にわたりますが、最初からすべてを完璧に使いこなそうとすると、コスト、教育、業務負荷のすべてが中途半端になり、挫折する可能性が高くなります。
まずは、前述の「導入ステップ」でも触れた通り、目的と範囲を絞ること。例えば、「一つの小規模案件だけ」「設計段階の干渉チェックだけ」など、小さな成功体験(スモールウィン)を積むことを最優先します。そこで得た知見と自信を基に、少しずつ適用範囲を広げていくことが、結果的に一番の近道となります。

導入目的を見失わない(ツール導入が目的にならない)

高価なソフトウェアや高性能なPCを導入すると、それだけで「CIMを導入した」と満足してしまいがちです。しかし、CIMはあくまで「課題を解決するための手段」です。
「ツールを導入すること」が目的になってはいけません。「手戻りを20%削減する」「設計の打ち合わせ時間を半分にする」といった、当初設定した具体的な導入目的(ゴール)を常に意識し続けることが重要です。ツールが現場で使われず「宝の持ち腐れ」にならないよう、定期的に活用状況と導入効果をチェックしましょう。

社内全体での理解と協力体制

CIMは、設計担当者やIT部門だけのものではありません。3次元モデルを中心とした情報の流れは、積算、工務、施工現場、営業、そして経営層まで、全社に関わる変革です。
一部の担当者だけが熱心でも、他部署の協力が得られなければ導入は進みません。特に、経営層がCIMの重要性を理解し、「全社で取り組む」という明確なメッセージを発信し続けることが不可欠です。また、現場のベテラン社員の経験と、若手社員のITスキルを融合させるなど、部署や世代を超えた協力体制を築くことが求められます。

外部リソース(コンサルタント、ベンダーサポート)の活用

すべてを自社の人材だけでまかなおうとする必要はありません。中小建設会社のリソースは限られています。導入初期のつまずきを最小限にするために、外部の専門家の力を積極的に借りましょう。

ソフトウェアベンダー:ツールの操作教育や技術サポートを活用します。
CIM導入支援コンサルタント:自社の業務フロー分析、ルール策定、試行プロジェクトの伴走支援など、導入プロセス全体をサポートしてもらいます。
同業他社や地域の勉強会:先に導入した企業のノウハウを学ぶことも有効です。

初期費用はかかりますが、専門家の知見を活用することで、自社で試行錯誤する時間を大幅に短縮でき、結果的にコスト削減につながるケースも多いです。

補助金・助成金の活用検討

CIM導入に必要なソフトウェアやハードウェアの購入、人材育成のための研修費用には、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用できる可能性があります。
これらの制度をうまく活用することで、中小建設会社の初期投資の負担を大幅に軽減できます。

活用が検討できる補助金・助成金の例

IT導入補助金:中小企業がITツール(ソフトウェア、クラウドサービス等)を導入する経費の一部を補助する制度です。CIM関連ソフトウェアも対象となる場合があります。
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金):生産性向上や革新的なサービス開発のための設備投資等を支援します。CIM導入による生産プロセス改善が対象となる可能性があります。
事業再構築補助金:新たな分野への進出や事業の再構築(例:CIMを活用した新サービスの開始)を支援する制度です。

※補助金・助成金は、公募時期、要件、補助率などが年度によって変動します。必ず最新の公募要領を管轄の省庁や事務局のウェブサイトで確認してください。

まとめ:中小建設会社こそCIM導入で未来を切り拓こう

CIM(Construction Information Modeling/Management)は、土木分野において、3次元モデルを軸に情報を一元化し、計画から設計、施工、維持管理に至る全プロセスを効率化する取り組みです。

人手不足、働き方改革、そして発注者からの要請(公共工事でのBIM/CIM原則適用)といった建設業界の大きな変化に対応するため、CIM導入はもはや大手企業だけのものではなく、中小建設会社にとっても重要な経営戦略となっています。

導入にはコストや人材育成といった課題が伴いますが、それ以上に「品質向上」「手戻り削減による生産性向上」「関係者間の円滑な情報共有」といった大きなメリットが期待できます。

成功の鍵は、完璧を目指さず「スモールスタート」を切ることです。まずは自社の課題を明確にし、小さな範囲で試行することから始めてください。CIM導入で得られる業務の「見える化」と効率化は、中小建設会社の技術力を高め、厳しい競争環境を勝ち抜くための強力な武器となるはずです。

CIM導入に関するよくある質問

Q. パソコンのスペックはどの程度必要ですか?

A. CIMで扱う3次元モデルや点群データは、非常にデータ容量が大きくなります。そのため、一般的な事務用パソコンでは処理能力が不足します。最低限、導入を検討しているソフトウェアの「推奨スペック」を確認してください。一般的には、高性能なCPU(Core i7以上やXeonなど)、大容量メモリ(最低32GB以上を推奨)、3D描画に特化したグラフィックボード(GPU)(NVIDIA GeForce RTXシリーズやQuadroシリーズなど)を搭載したワークステーションクラスのPCが必要となる場合が多いです。

Q. ソフトウェアは高額なものしかありませんか?

A. 多機能なハイエンドの3次元CADソフトは高額な傾向がありますが、近年は選択肢が増えています。機能(例:設計、点群処理、施工シミュレーションなど)ごとにソフトウェアが分かれていたり、利用期間(月額・年額)で支払うサブスクリプションモデルが主流になったりしており、初期費用を抑えられるケースもあります。また、モデルを閲覧するだけなら無料または安価な「ビューワーソフト」もあります。まずは自社の目的に必要な機能を見極め、複数のベンダーから見積もりを取ることをお勧めします。

Q. 社内にITに詳しい人がいなくても導入できますか?

A. 導入は可能です。ただし、IT専門部署がない場合は、導入プロセスをサポートしてくれる外部リソースの活用が非常に重要です。ソフトウェア販売代理店の導入サポート、専門のCIM導入コンサルタント、地域の建設業協会が主催する講習会などを積極的に利用しましょう。また、社内では特定の社員(若手・中堅問わず)を「中心担当者」として任命し、その人が集中して学べる環境(業務時間の確保)を整えることが成功の鍵となります。

Q. 導入してすぐに効果は出ますか?

A. 残念ながら、すぐに劇的な効果が出ることは稀です。CIM導入は、短期的な「ツールの導入」ではなく、長期的な「業務プロセスの変革」です。最初の1〜2年は、操作方法の習熟、社内ルールの整備、試行錯誤のための「投資期間」と考えるべきです。スモールスタートで小さな成功体験を積み重ね、1年後、3年後に「あの時に比べて手戻りが減った」「打ち合わせ時間が短くなった」という中長期的な効果を目指す姿勢が重要です。

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