「補助金」の基本知識

補助金採択後に必要な手続きとは?報告書の作成方法も解説


更新日: 2026/02/10
補助金採択後に必要な手続きとは?報告書の作成方法も解説

この記事の要約

  • 採択は内定。入金には交付申請や実績報告の手続きが必須です。
  • 交付決定前の発注は補助金対象外となるため、厳守が必要です。
  • 実績報告には証拠書類を揃え、事業後も5年間保管します。
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補助金採択はゴールではない?受領までの全体的な流れ

補助金の採択通知は、あくまで事業計画が認められ、補助を受ける権利の「候補」になったことを示すに過ぎません。実際に資金を受け取るためには、事務局が定める厳格なステップを一つずつクリアしていく必要があります。ここでは、採択から最終的な入金に至るまでの全体像と、各工程にかかる期間の目安について、網羅的に解説します。

補助金の交付申請や実績報告に向けて書類を整理し、計画を確認するビジネスパーソンの様子

採択から入金(振込)までにかかる期間の目安

補助金は原則として「後払い(精算払い)」です。採択された瞬間に資金が振り込まれるわけではなく、事業を完了させ、すべての支出を報告した後に検査を経てようやく入金されます。

  • 交付申請から交付決定まで(約1〜2カ月)
    採択後、正式な見積書を提出し、事務局から事業開始の許可を得るまでの期間です。

  • 補助事業の実施期間(約6〜12カ月)
    交付決定を受けた後、実際に設備投資や販路開拓、システム導入などを行う期間です。

  • 実績報告から確定検査・入金(約2〜6カ月)
    事業完了後の報告書提出から、事務局による書類審査、現地調査、そして最終的な振り込みまでの期間です。

これらを合計すると、採択通知から入金までには、最短でも半年から1年以上の期間を要するのが一般的です。その間の資金繰りについては、自己資金や金融機関からの融資で賄う必要があります。

手続きの全体像をステップ別で把握

補助金受領までの主要なプロセスを5つのステップにまとめました。各段階で「いつ」「何をすべきか」を把握しておくことが、スムーズな受給の鍵となります。

【補助金受領までの5ステップフロー表】

ステップ 手続きの名称 概要・主な内容
STEP1 交付申請 採択後、最新の見積書を添付して正式な補助対象経費と計画を事務局へ申請する
STEP2 交付決定 事務局が申請を承認し、事業の開始を正式に許可する。これ以前の発注は不可
STEP3 事業実施 計画に基づき、発注・契約・支払いを行う。すべての証拠書類を保管する
STEP4 実績報告 事業完了後、支出内容や成果をまとめた報告書と証拠書類を事務局へ提出する
STEP5 確定検査・入金 事務局による審査を経て補助金額が確定し、指定の銀行口座に資金が振り込まれる

[出典:中小企業庁 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の概要]

補助金の交付申請で注意すべきポイント

採択後、最初に行う「交付申請」は、事業内容と補助金額を法的に確定させるための重要な手続きです。この段階で、採択時の計画をより具体的な数字(見積額)へと落とし込みます。交付申請の内容に不備があると、交付決定が遅れるだけでなく、補助対象となるはずだった経費が認められないといったトラブルにも繋がります。

「採択通知」が届いたらすぐに行うべきこと

採択通知メールを受け取ったら、まずは「交付規定」と「事務局の手引き」を精読してください。採択はあくまで「内定」であり、以下のタスクを迅速にこなす必要があります。

  • 最新の見積書の取得
    申請時から時間が経過している場合、価格変動がないか確認し、交付申請用に最新の見積書を取得し直します。

  • 電子申請システム(Jグランツ等)の操作確認
    現在の補助金の多くは電子申請です。ログイン権限やGビズIDの有効期限を再確認しましょう。

  • 交付申請書の作成と提出
    見積書の内容を正確に入力し、補助対象経費に誤りがないかチェックします。

交付決定前に支出した費用は対象外になるリスク

補助金制度において最も厳格に運用されているルールが「交付決定前の事前着手禁止」です。交付決定通知書が発行される前に、業者と契約を締結したり、発注したり、支払いを行ったりした経費は、原則として一切補助されません。

事前着手の制限に関する注意点

「交付決定日」以降の日付で契約・発注を行うことが鉄則です。
・採択通知が出た直後に嬉しさのあまり発注してしまうケースが多発していますが、これは対象外になります。
・例外的に「事前着手届」が認められる補助金もありますが、必ず事務局の承認を先に得てください。

補助金を正しく受け取るための事業実施と実績報告書の作成方法

事業が完了した後に提出する「実績報告書」は、補助金の金額を最終決定するための清算書類です。事務局は、事業者が「計画通りにお金を使ったか」「不正はないか」を、提出された書類のみで判断します。そのため、日々の事業実施の中でいかに正確に証拠を残しておくかが、満額受給への最短距離となります。

補助金で導入した最新設備の稼働状況を確認し、実績報告用の証拠写真を撮影する様子

支出の証拠書類(領収書・請求書)の整理ルール

実績報告では、一つの取引に対して「見積・発注・納品・請求・支払」の一連の流れがすべて繋がっている必要があります。以下の書類を漏れなく揃え、取引先ごとにファイリングしてください。

  • 見積書(相見積書)
    一定金額以上の発注には、2社以上からの相見積もりが必須となる場合が多いです。

  • 契約書・注文書(発注書)
    交付決定日以降の日付であることを確認してください。

  • 納品書・検収書
    物品が届いた日や、サービスが完了した日を証明します。

  • 請求書
    振込金額と一致している必要があります。

  • 振込受領証(銀行の振込控え)
    現金払いは原則として認められません。必ず法人口座からの振込で行ってください。

実績報告書を作成する際のコツと記載項目

実績報告書は、単に経費を並べるだけではありません。採択された事業計画に対して、どのような成果が得られたかを定量的に示す必要があります。

実績報告書作成の3つのポイント
  1. 数字で成果を示す: 「売上が上がった」ではなく「生産性が〇〇%向上した」と具体的に記述します。
  2. 写真で実態を証明する: 導入した設備に補助金名称のシールを貼り、設置場所がわかるように撮影します。
  3. 経費明細を1円単位で合わせる: 証拠書類(振込控え)と報告書の金額が1円でも異なると、差し戻しの対象になります。

補助金受給後も油断禁物!確定検査と書類の保管義務

実績報告書の提出は終わりではありません。その後に行われる「確定検査」を通過して初めて、補助金の額が確定します。また、入金後も数年間にわたり、国や事務局による検査が入る可能性があるため、管理責任は継続します。

事務局による「確定検査」の内容と準備

確定検査は、提出された書類の精査だけでなく、必要に応じて「実地検査(現地調査)」が行われます。

  • 書類審査: 事務局から電話やメールで、支出の根拠について詳細な質問や追加書類の提出を求められます。

  • 実地検査: 事務局員が来社し、導入した設備が計画通りに設置・活用されているか、現物を直接確認します。

検査に備え、提出した実績報告書の写しと、証拠書類の原本はいつでも提示できるように整理しておきましょう。

証拠書類は原則5年間の保存が必要

補助金事業が完了し、入金が確認された後も、関連書類を破棄してはいけません。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、原則として「5年間」(制度により最大10年)の保存義務があります。

保存すべき書類の範囲

・交付申請、実績報告に使用したすべての書類の原本
・事業に関する会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳など)
・事業で作成した成果物(パンフレット、Webサイトの記録など)

後日、会計検査院による検査対象となった際、書類が欠損していると補助金の返還を命じられるリスクがあるため、専用のファイルボックスなどで厳重に管理してください。

補助金の手続きでよくある不安と失敗しないための対策

補助金事業は期間が長いため、途中で業者の変更や設備の型番変更など、不測の事態が起こることも珍しくありません。こうした状況への対処を誤ると、意図せずルール違反となり、受給ができなくなる恐れがあります。

計画変更が必要になった場合の対処法

事業の途中で、当初の計画(交付申請時)の内容を変更したい場合は、「事前に」事務局の承認を得なければなりません。

  • 変更承認申請: 設備の機種変更や、経費の内訳の大幅な変更(概ね20%以上など)を行う場合に提出します。

  • 中止・廃止申請: やむを得ない理由で事業を継続できなくなった場合に提出します。

承認を得る前に勝手に内容を変更して進めてしまうと、実績報告の際に「計画と異なる」と判断され、不支給となるリスクが極めて高いです。迷った場合は、即座に事務局へ電話やメールで相談することが鉄則です。

補助金が取り消し・減額される主なケース

せっかくの努力を無駄にしないために、不支給や減額になりやすいパターンを把握し、事前に対策を講じておきましょう。

【補助金の不支給・減額リスク一覧表】

ケース 主な原因 対策
経費の対象外判定 交付決定前の発注、個人的な買い物の混入、目的外使用 公募要領を熟読し、不明点は事務局へ確認する
証拠書類の不備 領収書の紛失、宛名間違い、現金払い 取引ごとに書類を即座にファイリングし、振込で支払う
期限超過 実績報告や追加資料提出の遅れ スケジュール管理を徹底し、締め切りより余裕を持って提出する
収益納付の失念 事業により直接的な利益が出た場合の報告漏れ 補助金事業による売上を別管理し、必要に応じて返還を想定する

[出典:経済産業省 補助金執行の透明化・適正化に向けたガイドライン]

まとめ

補助金の受給は、採択という「入り口」よりも、その後の事務手続きという「プロセス」の方が難易度が高いと言っても過言ではありません。交付申請、事業実施、実績報告、そして数年間の書類保管まで、すべての工程において正確性と透明性が求められます。

特に「交付決定前の発注禁止」や「証拠書類の完備」といった基本ルールを逸脱すると、多額の経費を自社ですべて負担することになりかねません。事務局から配布される「手引き」を常に手元に置き、一歩ずつ慎重に手続きを進めることが、確実な資金調達と事業成功への近道です。

よくある質問

Q1. 補助金はいつ振り込まれますか?

補助金は、すべての事業が終わって実績報告書を提出し、事務局による「確定検査」を通過した後に振り込まれます。実績報告書の提出から入金までは、概ね2〜4カ月程度かかるのが一般的です。基本的には後払いとなるため、事業期間中の資金繰り計画(自己資金や融資)を事前に立てておく必要があります。

Q2. 領収書を紛失してしまった場合はどうなりますか?

証拠書類が欠損している経費については、原則として補助対象外となります。速やかに再発行を依頼してください。再発行が不可能な場合は、銀行の振込明細等で代用できるケースもありますが、事務局の判断に委ねられるため、認められないリスクが非常に高いです。支払いは常に銀行振込で行い、控えをデータと原本の両方で保管することをお勧めします。

Q3. 採択後に事業を中止することはできますか?

事情により事業を中止することは可能ですが、事務局へ「中止承認申請書」などの書類を提出し、承認を得る必要があります。すでに交付決定を受けている場合や、一部を概算払い(前払い)で受け取っている場合は、速やかな返還義務が生じます。無断で放置すると、将来的に他の補助金の申請ができなくなるなどのペナルティが課される可能性があるため、必ず所定の手続きを行ってください。

[出典:中小企業庁 補助金適正化法に基づく管理指針]

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