NETIS(新技術情報提供システム)とは?仕組み・メリット・登録製品まで徹底解説
NETIS(新技術情報提供システム)は、国土交通省が新技術の活用を目的として整備したデータベースシステム。工事を受注・施工する事業者(施工者)は、NETIS登録技術を積極的に活用することで、大きなメリットを享受できます。国土交通省は、令和2年度より、一部を除く直轄土木工事において、NETIS登録技術等の新技術活用を原則として義務化しており、令和5年度には運用の一部が改定されました。どの様なメリットがあるのか、実際のコスト削減・工期短縮の効果、NETIS登録製品の探し方や導入事例などもご紹介します。

目次
NETISとは?国土交通省の直轄工事で原則義務化
NETISとは、国土交通省が運営する公共事業が抱える様々な課題に対し、民間企業などで開発された技術を募集し、新技術情報をインターネット上に公開し、検索を可能にしたデータベースシステム。平成10年から運用を開始(インターネットでの公開は平成13年から、平成18年からは事後評価に重点を置いた運用に移行)、令和7年10月時点での掲載している新技術は約3,800件です。
※ 出典:国土交通省 報道発表「AIで技術比較が一目瞭然!NETISに新機能を実装」(2025年10月1日)
NETIS(ネティス)の名前は 「NEw Technology Information System(新技術情報提供システム)」の頭文字にちなんだものです。
国土交通省は、インフラの整備・管理の担い手地域の守り手である建設業界が持続するために、新技術を取り入れることで、生産性向上や効率化を推進。令和2年度から、直轄土木工事(港湾空港関係工事・官庁営繕工事を除く)において新技術活用を原則義務化しており、令和5年度には運用の一部が改定されています。


NETISが今、注目される背景
近年、建設業界では次のような課題が顕在化しています。
- 生産年齢人口の減少に伴う技術者・労働力不足
- 高度成長期以降に整備されたインフラの老朽化
- 2024年からの時間外労働上限規制(いわゆる「2024年問題」)
- 団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」による担い手不足の加速
こうした課題に、従来と同じやり方だけで対応するには限界があります。そのため、国土交通省が2022年から本格実施している遠隔臨場をはじめ、ICT施工やDX推進と同様に、新技術の活用を後押しするNETISの重要性が年々高まっています。建設業界全体で生産性向上・品質向上を目指すうえで、NETISは単なる技術カタログではなく、業界課題への処方箋という位置づけになりつつあります。
NETIS活用で得られるメリット(施工会社・発注者・技術開発企業)
NETISの活用メリットは、施工会社だけでなく、発注者・技術開発企業にもそれぞれ存在します。
施工会社のメリット
- 最新技術により施工コスト削減や工期圧縮などの恩恵を享受できる
- 施工業者としての評価が高まり、次回入札で有利になる
前者は、まさにNETIS本来の目的であり、あらためて説明する必要はないでしょう。一方、後者は制度上の大きなメリットで、見逃せないポイントです。
省庁や地方公共団体などの案件でNETIS登録技術を採用し、必要書類を提出すると、工事成績評定での加点対象(※)になります。これらの点数は「高品質な施工実績」の評価に繋がり、その施工者は以降の入札で有利になります。
総合評価方式での施工者判定では、価格評価点より、
工事品質向上のための提案や創意工夫の評価点が
重視される傾向に
→NETIS登録技術の積極的活用が重要!


※ 加点の方法は提案を行った先の地方整備局等によって異なります。
発注者のメリット
- 品質向上・工期短縮・維持管理の効率化・安全性向上
新技術の活用によって、より効率的で高品質な社会インフラ整備につながることが、NETIS制度の大きな目的の一つです。
技術開発企業のメリット
- 技術の認知度向上、実際の工事現場での活用機会の拡大
- 現場からのフィードバックを得て、さらなる技術改良・普及促進につなげられる
数字で見るNETIS活用効果
NETIS登録技術の活用効果は、実際の公共工事のデータでも裏付けられています。九州地方整備局・九州技術事務所の令和4年度資料によると、2021年度に同局が発注した工事において、NETIS登録技術の活用によるコスト縮減効果は合計で約34億円にのぼり、特に発注者指定型の工事では1件あたり平均約1,500万円のコスト縮減が実現しました。工期についても、従来技術と比較して約42%の短縮効果が確認され、1技術あたり平均で約29日の工期短縮が図られたと報告されています。
※ 出典:九州地方整備局・九州技術事務所 新技術活用システム(概要)令和4年度
数字だけを見ても、NETIS登録技術の活用がコスト・工期の両面で現場に実質的なインパクトをもたらしていることが分かります。
NETIS登録技術活用による工事成績評定への加点の例
工事成績評定への加点方法は地方整備局等によって異なりますが、一般に、活用する新技術を「2つの視点×3段階の効果」から評価して点数が決定されます。なお、加点は最大で3点です。
| 効果 | 加点 |
|---|---|
| 活用の効果が「相当程度」(※1) | 3 |
| 活用の効果が「一定程度」(※2) | 2 |
| 活用の効果が「従来技術と同程度」 | 1 |
| 効果 | 加点 |
|---|---|
| 活用の効果が「相当程度」 | 2+1(※3) |
| 活用の効果が「一定程度」 | 1+1(※3) |
| 活用の効果が「従来技術と同程度」 | 0+1(※3) |
※1 大幅な工期短縮や飛躍的な効率化が可能など、工事推進に対して大きな効果をもたらしたもの
※2 従来技術と比較して効果が認められるが、工事全体としては影響が小さいもの。たとえば、使用する材料のみの技術など
※3 国土交通省や地方整備局等が選定する「有用な新技術」(推奨技術・準推奨技術・評価促進技術・活用促進技術)を用いた場合は+1点
NETISの登録技術の活用を審査するのは、主任技術評価官。主任技術評価官の評価割合は全体の40%なので、3点の加点を受けた場合、工事成績評定への実加点は、
3点×40%=1.2点となります。
(令和4年4月時点)また、試行技術の活用などと組み合わせることで、最大4.0点程度の加点となるケースもあります。
NETIS登録技術のランク(評価区分)の見方
NETIS登録技術には、現場での活用実績に応じて識別記号が付与されます。登録番号の末尾を見ることで、その技術がどの段階にあるかが分かります。
| 末尾記号 | 意味・状態 |
|---|---|
| A | 新規登録技術。まだ現場での事後評価を受けていない状態 |
| VR | 現場活用後、継続調査が必要と判断された技術。評価蓄積によって「VE」への移行が期待される |
| VE | 継続調査が不要と判断されるほど高い評価を得た技術。活用効果調査表の提出も免除される |
掲載期間は、A・VR・VEいずれの区分も原則として登録日の翌年度から起算して10年間です。掲載期間中に「推奨技術」「準推奨技術」に選定された場合は、15年間に延長されます。
NETISには「申請情報」と「評価情報」の2種類の情報が掲載されている点にも注意が必要です。「申請情報」は、登録申請が受理された技術について開発者自身が記載した技術的事項・経済性に関する情報で、基本ページに表示されます。一方「評価情報」は、その技術について各地方整備局などの評価機関が行った事前審査・事後評価の結果で、技術概要ページ内の評価欄リンクから確認できます。技術を選ぶ際は、申請情報だけでなく評価情報まで確認すると、より信頼性の高い技術選定につながります。
NETIS登録製品の探し方は?活用するのに必要なもの
NETIS登録製品を探すにはNETISのホームページから探すことができます。NETISホームページに初めてアクセスされた方は、利用者属性を把握するための簡単なアンケートがあります。NETISでは、新技術の探索や詳細情報の閲覧が可能です。具体的な製品を探す際は、以下の手順を試してみてください。
- 1. NETISホームページにアクセス:NETISホームページにアクセスします。
- 2. 「試行現場照会中の新技術の検索」:検索画面から試行現場照会中の新技術を検索できます。
- 3. キーワード検索:登録番号や技術名称、工種、期待する効果などのキーワードを入力して、目的の製品を探してみてください。「有用な新技術」に絞って検索する機能もあります。
NETIS登録技術を活用し、工事成績評定への加点措置を受けるためには、以下の書類の提出が必要です。
| 必要書類 | 提出のタイミング |
|---|---|
| 新技術活用計画書 ※ 施工者希望型のみ | 請負契約締結後10日以内 |
| 新技術活用実施報告書 | 活用終了後2週間以内 |
| 活用効果調査表(施工者用) ※末尾に「-VE」が付く技術の場合は提出不要 | 活用終了後2週間以内 |
NETIS登録製品の具体例と活用事例
NETIS登録製品の具体例として、黒板・写真・図面・台帳を効率化できる『蔵衛門Pad』を紹介いたします。
NETIS 最高評価VEの現場用タブレット『蔵衛門Pad』

- 『蔵衛門Pad』NETIS登録ページ:https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=KTK-160024
- 『蔵衛門Pad』NETIS登録番号:KTK-160024-VE
『蔵衛門Pad』は、工事写真管理業務において、タブレット端末で電子小黒板入りの工事写真撮影を行い、撮影した工事写真の自動仕分け及び工事写真台帳の自動作成を行うことができます。
従来、木製黒板とカメラにより工事写真撮影が行われ、一つずつ工種毎に仕分けし、エクセルなどで工事写真台帳を作成していた一連の業務の効率化を実現することが可能になります。
また、蔵衛門PadはNETIS最高評価のVEを獲得(NETIS登録番号の末尾にVEがつく技術)しているため、工事成績評定の加点措置を受ける際に必要な活用効果調査表の提出が免除されるうれしいポイントもあります。
『蔵衛門Pad』シリーズは、公共工事を手がける建設会社から、少人数の設備工事会社、下水道工事会社まで、規模や業種の異なる現場で活用されています。ここでは3社の事例をご紹介します。
北原建設株式会社の事例
静岡県熱海市・伊東市を中心に土木・建築を手がける北原建設株式会社は、公共工事の受注も多く、大規模な工事では撮影する写真の枚数が膨大になります。以前は木製黒板を30枚ほど用意し、マグネットシートで工種などの文字を貼り替えながら撮影していましたが、準備や片付けで職人を待たせてしまうことが悩みでした。
発注者の指定で電子黒板の使用が条件となった県営住宅団地の工事(77戸)を機に、『蔵衛門Pad Mini Tough』を導入。団地の各部屋が同じような設計であることを活かし、電子黒板を共通化して部屋番号だけを書き換える運用にし、撮影と台帳作成を工事メンバー3名で分担しました。毎週3戸ずつの部分引き渡しと検査に合わせて台帳を提出し続け、工期中の撮影枚数は約13万枚に達しましたが、すべての検査・引き渡しを無事完了。撮影業務は約30%省力化でき、台帳の見た目も統一されました。この工事で、同社は令和5年度静岡県優良建設工事を受賞しています。
株式会社カワハラの事例
下水道工事を中心に事業を展開する株式会社カワハラでは、マンホール内という狭く暗い環境で、木製黒板を持つ作業員と2人がかりで撮影していました。黒板は年度ごとにつくり直しが必要で、年間約30万円のコスト負担もありました。
同社は青山ショールームで実機を確認したうえで、LEDライト「くらくらビーム」を搭載した頑丈スマホ『蔵衛門Pocket Tough』を導入。電子黒板の活用により、材料検査などの撮影も1人で行えるようになりました。撮影した写真はクラウドで自動整理され、写真管理にかかる作業時間は従来の約3分の1に短縮。事務所からリアルタイムで現場の進捗も確認できるようになりました。
株式会社ODKの事例
電気設備工事を手がける株式会社ODKでは、社員が実務に追われて写真業務まで手が回らず、撮影も帳票作成も社長自らが行っていました。『蔵衛門Pad』のクラウド共有と現場チャット機能を活用し、事務所から撮影状況を確認しながら、画像に直接指示を書き込んでリモートで撮影指導を行う体制に変更。社員の撮影技術が向上して撮影を任せられるようになり、社長の写真業務にかかる時間は約50%削減されました。
NETIS 最高評価VEの『蔵衛門Pad』は全6種類!
よくある質問(FAQ)
Q1. NETIS登録技術を使わないと入札で不利になりますか?
直轄工事では新技術活用が原則義務化されているため、対象工事では活用が前提となります。未活用の場合、工事成績評定での加点機会を逃すことになり、相対的に不利になりやすい点には注意が必要です。
Q2. NETIS登録製品なら必ず加点されますか?
必ずではありません。加点の可否・点数は活用効果の程度や地方整備局等の判断によって異なります。また、登録番号末尾が「VE」の技術や「推奨技術」「準推奨技術」に選定された技術は、高評価が既に確立しているため加点を受けやすい傾向にあります。
Q3. NETIS登録技術の情報はどこで最新版を確認できますか?
NETIS公式サイトのほか、各地方整備局が公開している「NETIS活用ガイドブック」でも制度改正の最新情報が確認できます。技術ごとの詳細は、申請情報だけでなく評価情報まで確認するのがおすすめです。







