NETIS(新技術情報提供システム)とは?メリットや登録製品を紹介
NETIS(新技術情報提供システム)は、国土交通省が新技術の活用を目的として整備したデータベースシステム。工事を受注・施工する事業者(施工者)は、NETIS登録技術を積極的に活用することで、大きなメリットを享受できます。また、国土交通省は、令和2年度より、一部を除く直轄土木工事において、NETIS登録技術等の新技術活用を原則として義務化しています。どの様なメリットがあるのか、また、NETIS登録製品の探し方や実際にNETIS登録商品の導入事例などもご紹介します。
目次
NETISとは?国土交通省の直轄工事で原則義務化
NETISとは、国土交通省が運営する公共事業が抱える様々な課題に対し、民間企業などで開発された技術を募集し、新技術情報をインターネット上に公開し、検索を可能にしたデータベースシステム。平成10年から運用を開始(インターネットでの公開は平成13年から)、令和4年9月時点での掲載している新技術は約3,000件です。
NETIS(ネティス)の名前は 「NEw Technology Information System(新技術情報提供システム)」の頭文字にちなんだものです。
国土交通省は、インフラの整備・管理の担い手地域の守り手である建設業界が持続するために、新技術を取り入れることで、生産性向上や効率化を推進。さらに、令和5年度から直轄工事においてNETIS登録技術の活用を原則義務化としています。
NETIS登録技術を利用することで 得られるメリット
施工者がNETIS 登録技術を使用する大きなメリットとして、以下の2点が挙げられます。
- 最新技術により施工コスト削減や工期圧縮などの恩恵を享受できる
- 施工業者としての評価が高まり、次回入札で有利になる
前者は、まさにNETIS本来の目的であり、あらためて説明する必要はないでしょう。一方、後者は、制度上の大きなメリット。これは見逃せないポイントです。
省庁や地方公共団体などの案件でNETIS登録技術を採用し、必要書類を提出すると、工事成績評定での加点対象(※)になります。これらの点数は「高品質な施工実績」の評価に繋がり、その施工者は以降の入札で有利になります。さらに、令和5年度からは国土交通省の直轄工事においてNETIS登録技術の活用を原則義務化としています。
総合評価方式での施工者判定では、価格評価点より、
工事品質向上のための提案や創意工夫の評価点が
重視される傾向に
→NETIS登録技術の積極的活用が重要!
※ 加点の方法は提案を行った先の地方整備局等によって異なります。
NETIS登録技術活用による工事成績評定への加点の例
工事成績評定への加点方法は地方整備局等によって異なりますが、一般に、活用する新技術を「2つの視点×3段階の効果」から評価して点数が決定されます。なお、加点は最大で3点です。
効果 | 加点 |
---|---|
活用の効果が「相当程度」(※1) | 3 |
活用の効果が「一定程度」(※2) | 2 |
活用の効果が「従来技術と同程度」 | 1 |
効果 | 加点 |
---|---|
活用の効果が「相当程度」 | 2+1(※3) |
活用の効果が「一定程度」 | 1+1(※3) |
活用の効果が「従来技術と同程度」 | 0+1(※3) |
※1 大幅な工期短縮や飛躍的な効率化が可能など、工事推進に対して大きな効果をもたらしたもの
※2 従来技術と比較して効果が認められるが、工事全体としては影響が小さいもの。たとえば、使用する材料のみの技術など
※3 「有用な新技術」を用いた場合は+1点
NETISの登録技術の活用を審査するのは、主任技術評価官。主任技術評価官の評価割合は全体の40%なので、3点の加点を受けた場合、工事成績評定への実加点は、
3点×40%=1.2点となります。
(令和4年4月時点)
NETIS登録製品の探し方は?活用するのに必要なもの
NETIS登録製品を探すにはNETISのホームページから探すことができます。NETISホームページに初めてアクセスされた方は、利用者属性を把握するための簡単なアンケートがあります。NETISでは、新技術の探索や詳細情報の閲覧が可能です。具体的な製品を探す際は、以下の手順を試してみてください。
- NETISホームページにアクセス:NETISホームページにアクセスします。
- 「試行現場照会中の新技術の検索」:検索画面から試行現場照会中の新技術を検索できます。
- キーワード検索:登録番号や技術名称、工種などのキーワードを入力して、目的の製品を探してみてください。
NETIS登録技術を活用し、工事成績評定への加点措置を受けるためには、以下の書類の提出が必要です。
必要書類 | 提出のタイミング |
---|---|
新技術活用計画書 ※ 施工者希望型のみ |
請負契約締結後10日以内 |
新技術活用実施報告書 | 活用終了後2週間以内 |
活用効果調査表(施工者用) ※末尾に「-VE」が付く技術の場合は提出不要 |
活用終了後2週間以内 |
NETIS登録製品の具体例と活用事例
NETIS登録製品の具体例として、黒板・写真・図面・台帳を効率化できる『蔵衛門Pad』を紹介いたします。
NETIS 最高評価VEの現場用タブレット『蔵衛門Pad』
- 『蔵衛門Pad』NETIS登録ページ:https://www.netis.mlit.go.jp/netis/pubsearch/details?regNo=KTK-160024
- 『蔵衛門Pad』NETIS登録番号:KTK-160024-VE
『蔵衛門Pad』は、工事写真管理業務において、タブレット端末で電子小黒板入りの工事写真撮影を行い、撮影した工事写真の自動仕分け及び工事写真台帳の自動作成を行うことができます。
従来、木製黒板とカメラにより工事写真撮影が行われ、一つずつ工種毎に仕分けし、エクセルなどで工事写真台帳を作成していた一連の業務の効率化を実現することが可能になります。
また、蔵衛門PadはNETIS最高評価のVEを獲得(NETIS登録番号の末尾にVEがつく技術)しているため、工事成果評定の加点装置を受ける際に必要な活用調査表の提出が免除されるうれしいポイントもあります。
実際に、NETIS新技術として『蔵衛門Pad』を導入した公共工事を多く受注する株式会社北原建設の事例を紹介します。株式会社北原建設では、以前は木製黒板を使用し、撮影時に工事件名や工種をマグネットを張り替えて撮影していました。電子小黒板に対応した『蔵衛門Pad』によって、黒板は事前に作成し、工事メンバー3名で撮影を分担。台帳も自動作成されることにより、工事写真業務を大幅に効率化することに成功しました。