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「全国各地の現場から何千枚という工事写真が、撮りっぱなしで、ボン! と送られてきていました。黒板を見て整理しといて、って(笑)。で、私がせっせと整理して台帳にしていた。当時蔵衛門Padがあれば、あんなに苦労する必要はありませんでしたね」
と、凄い話を平然と笑顔で語るのは、生産本部工事グループの杉七三子氏。入社16年目のベテランだが、パート勤務が長く、正社員として正式採用されたのは今年から。ただし、「蔵衛門御用達」はVer.5から使っているというから、写真整理に関しては社内随一のエキスパート。同社の写真整理のノウハウは、ほぼ杉氏が確立したといっても過言ではない。
「もう、生き字引き的な存在です。全国の現場から工事写真に関する質問が来ます」と、上司である齊田和久氏も語る。
蔵衛門Padの導入にあたり、牽引役として彼女以上の適任はいなかったというのも頷ける話だ。蔵衛門Pad導入時の社内プレゼンの資料や、独自の操作マニュアルも彼女が作成、そのどちらも完成度が高く、プレゼン資料は社長賞を受賞。ルクレでも「参考になる」と評判になったほどだ。
齊田氏「彼女は、いわゆる”社内のお母さん”的なところがあって。みんなが頼ってくるから、ちょっとやり過ぎちゃうところがあるんです。きめ細かく対応してくれるから余計にね。そこまでしなくても、と思うこともあります」
ところが、当のご本人は上司の心配をよそに「頼られることは嬉しいことですから」と微笑む。
同社の工事写真整理、特に電子納品に関するものは、全国の現場のぶん、ほぼすべてを杉氏が現在もおこなっている。
杉氏「それでも蔵衛門Padのおかげで、以前に比べればずいぶん楽になりました。それに、家庭でも子供が育って少し時間に余裕ができましたし、もっと働きたい。じゃあ、この機に新しいことに挑戦して、自分のフィールドを広げてみようかなと思って」
その挑戦とは、なんと、土木施工管理技士の資格取得だというから、これまた驚きだ。
齊田氏「いろいろな職能が求められる時代ですし、ステップアップのためにチャレンジしてみたらと勧めたところ、やってみると言ってくれたんです。しっかり勉強して学科試験はすぐに合格、つい先日、実地試験を終えたところ。実務経験はまだそれほどありませんが、去年から現場のパトロールにも出て、雰囲気も見ている。スタッフとのコミュニケーションもしっかりとれますし、大丈夫でしょう」
杉氏のキャリアアップは、業務効率化がもたらす効果の理想形のひとつだろう。蔵衛門Padによる労働負担の軽減は、今まで思い至らなかった意識改革を促す。
「実地試験に合格すれば、すぐにでも現場に出す」と嬉しそうに語る齊田氏。杉氏への期待は大きい。
※2019年2月、杉氏は2級土木施工管理技術検定に無事合格されました
事実、蔵衛門Padの導入目的は、社内の意識とワークフローの改革にもあった。西田鉄工は3D-CADやスキャナーなど最新機器を導入しているが、これにも技術だけでなく社内の意識を変えるという側面があると齊田氏は言う。
齊田氏「ご存じのように、建設業界は岐路に立たされています。旧態然とした考え方や、やり方を今ここで変えないといけない。
たとえば、パソコンやタブレットが使えない人が結構いますが、それじゃもうダメでしょ、と。時代がここまできていて、ウチも新しいものを積極的に採り入れていく。それをみんな使うんだよと、アピールしたかったのです」
蔵衛門Padの導入は、その絶好の機会となったといえそうだ。そして、その効果は少しずつ表れ始めている。
杉氏「若手の社員が一生懸命、黒板データを作っていたんです。聞けば、次の仕事は点検個所が多いことが判っているので、昨年度の資料を見ながら作っているのだとか。そうしておけば、あとは撮るだけで写真整理が終わりますから、って。
黒板をあらかじめまとめて作っておくことは、蔵衛門Padを有効に活用する第一歩なんです。あぁ、ちゃんと考えて使ってくれているんだと、すごく嬉しくなりました」
齊田氏「これはいい流れ。彼の姿を見て”俺(私)もやってみよう”と、ひとりでも多くのスタッフが自発的に行動を起こしてくれたらいいですね」
西田鉄工は今後、どのように電子小黒板を活用していくのだろうか。そのビジョンを聞いてみた。
杉氏「蔵衛門Padは、まず2台を先行導入して、その後10台を追加、現在は計12台で運用しています。でも、実際の工事に携わっている人たちは当然ながらもっといますので、今後も台数を増やしていって、ゆくゆくはすべての工事で蔵衛門Padを使えるようにしたいですね。当社は電子納品の案件が多いので、特に省力化が期待できると思います」
現在使用している現場スタッフは、もうかなり使い方にも慣れてきたとのこと。近頃もっとも多い質問は、やはり電子納品に関する内容というから、そのレベルの高さが窺える。さらなる台数追加は、そう遠い将来のことではなさそうだ。
杉氏「もう、これでなければ仕事ができない、という声も聞こえますね。その一方、まだまだ使いこなせていない現場もあります。そんな現場には、これからもどんどん蔵衛門Padを使って便利さを実感してもらい、会社としてさらなる生産性向上を図れるよう、できる限りのサポートをしていきたいと思います」
晴れて現場監督としてデビューする日も目前と思われる杉氏。しかし、依然として全国のスタッフから慕われる「西田鉄工のお母さん」でもある。その優しい目線と気風の良さ、そしてきめ細かなサポートを頼って、今日も彼女の机の電話が鳴るのであった。
「蔵衛門Padで撮影した写真は、黒板が常に真正面だからいいですよね」と杉氏。なるほど、あまりにも当然と思い込んでいて気付かなかったが、言われてみれば確かにそうだ。
「従来の黒板は、撮影する場所や置く場所の都合上、どうしても黒板が真正面に向けられないこともありました。あるいは、黒板がやむを得ず逆光になってしまったり……。でも、蔵衛門Padなら、必ずキレイに見やすく撮れるので、発注者の方にも喜んでいただけます」