電子小黒板は蔵衛門
それは絶対的
ミッションでした。

株式会社IHIインフラ建設は、水門の点検や改修などの保守、コンクリート製橋梁の建設、保全などを手掛ける。同社管理部の熊谷氏は現場の要請を受け、業務環境改善のために蔵衛門Padの導入を検討するが、社内の厳格なセキュリティ条件に合致せず断念。しかし、iOSベースの蔵衛門工事黒板の発売により、導入計画が再始動。「働き方改革」に伴うニーズも巻き込みながら、より大きなプロジェクトへと動き出す。
水門の点検や台帳作成などの業務を電子小黒板の導入により省力化、
そして安全にも考慮した軽装化
iOSベースの蔵衛門工事黒板が新たな社内用業務支援システム構想に合致。
これに統合することで、想定以上の業務改善効果に期待、
同時に工事黒板を持ち歩くことが無くなったことでの安全にも寄与

重要な社会基盤を守る企業ならではの苦悩

蔵衛門Padの導入を直前で諦めざるを得なかった理由について、熊谷氏は「あくまで当社の社内事情によるところが大きい」と前置きしつつ、次のように語る。

熊谷氏「複雑な事情が絡み合っていて、これが理由、とはっきり言うことは難しいのですが……。たとえば、理由のひとつは、AndroidでありながらGoogle Playが使えないこと。このため、ウイルス対策アプリがインストールできない。本来、蔵衛門Padはネットワークに繋がらないから感染源がないのですが、当社の規定で、ウイルス対策がされていない端末をPCに接続するのは、やはりNGなんです」

水門装置点検。このように、社会的に重要なインフラに関わる業務が多い。ゆえにセキュリティも厳格なのだ(写真はアナログ黒板使用時)
▲水門装置点検。このように、社会的に重要なインフラに関わる業務が多い。ゆえにセキュリティも厳格なのだ(写真はアナログ黒板使用時)

IHIインフラ建設の扱う物件が水門やダム、橋梁といった重要な社会基盤。それゆえに、セキュリティ面で慎重に慎重を重ねる厳格さは当然だろう。しかし、電子小黒板の導入を諦めるわけにはいかなかった。

熊谷氏「他社製品ももちろん検討しました。が、現場はすでに蔵衛門御用達に慣れています。台帳作成ソフトから丸ごと入れ替えるのはストレスですし、何といっても非効率。蔵衛門Padは実験導入で評価も得ていましたし、蔵衛門製品であることは絶対的ミッションだと内心では思っていました」

「事実上、(電子小黒板に)蔵衛門製品以外の選択肢はなかった」と熊谷氏
▲「事実上、(電子小黒板に)蔵衛門製品以外の選択肢はなかった」と熊谷氏

水門点検用の電子小黒板へ

そんな熊谷氏の思いに応えるかのように、2017年蔵衛門工事黒板のリリースが発表された。iOSで動作する蔵衛門工事黒板なら、課題になっていたセキュリティの問題をクリアできる。こうして蔵衛門工事黒板は無事採用が決定したものの、そのまますぐに使えるわけではなかった。そこで熊谷氏はルクレに機能のカスタマイズを依頼した。

熊谷氏「従来の蔵衛門シリーズは御用達も含め、建設・土木業界向けに作られていて、水門検査に必要な科目が用意されていません。そこで、それらの科目をCSVで用意して、これを蔵衛門コネクト(※)に読み込むことで水門点検に対応した蔵衛門工事黒板として使えるようにしてもらいました。そのほかにも、写真の整理方法を水門点検の慣習に合わせてもらったり、黒板のオーダーメイドをお願いしたりしています。

※蔵衛門工事黒板と蔵衛門御用達のデータの橋渡しをするソフトウェア。

電子小黒板はカスタマイズされ、水門点検業務用に最適化されている
▲電子小黒板はカスタマイズされ、水門点検業務用に最適化されている

蔵衛門工事黒板の導入を同時に、社内では新たなプロジェクトが発足する。それは、蔵衛門工事黒板を組み込んだ水門点検業務支援システム「GBRAIN」(ジーブレイン)の開発だ。

熊谷氏は、水門点検業務支援システム「GBRAIN」の開発と推進における中心人物でもある
熊谷氏は、水門点検業務支援システム「GBRAIN」の開発と推進における中心人物でもある
▲熊谷氏は、水門点検業務支援システム「GBRAIN」の開発と推進における中心人物でもある

「GBRAIN」誕生

GBRAINは、タブレットを活用して、水門点検業務の効率化と高度化を総合的に支援するシステム。電子小黒板を使用した点検業務の撮影から台帳作成、AIによる点検報告書作成支援、電子MAPを活用した過去の水門点検情報の一元管理、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を用いた遠隔作業支援などが特徴だ。その開発は、蔵衛門工事黒板に合わせてiOSベースで進められた。

熊谷氏「電子小黒板部分を蔵衛門工事黒板が担うなら絶対に上手く行くと思っていましたし、同時に取組まなくてはならない“働き方改革”と魅力ある建設現場を目指す“i-Construction”を考慮し、業務を大きく改善していこうという機運がそれを後押ししました。すべてがガッチリと噛み合ったんです」

着手から約1年が経過した現在、GBRAINは現在も段階的に開発が続けられており、その効果も各現場で試験計測中だ。ただし「実際に使っているスタッフと話す限り、慣れと同時に徐々に効果が出ているのは明らか」と熊谷氏は語る。

熊谷氏「まだ導入から日が浅く、現場が完全には使いきれていませんが、それでも作業が楽になったとか、作業時間が短縮されたと聞きます。仮にひとつの現場で点検作業を1時間短縮できているとしても、複数の現場数と考えれば、全体では膨大な作業時間を短縮したことになる。将来、操作や仕組みにもっと慣れてくれば、全社でのGBRAINの効果は一気に上がるでしょう」

GBRAINの効果向上のための社内講習会も定期的に開かれている
▲GBRAINの効果向上のための社内講習会も定期的に開かれている

もっとも難しくないi-Construction

IHIインフラ建設は自社技術の紹介として、GBRAINについて多くの業界イベントでプレゼンテーションを行っている。その時は、必ずといっていいほど「蔵衛門工事黒板を組み込んでいる」と伝えるそうだ。

熊谷氏「ある地方イベントでGBRAINのプレゼンをしたことがあるのですが、そのときのお客さんに”蔵衛門(工事黒板)を見に来た”という方がいたんです。聞けば導入を検討していて、実物を見てみたかったのだとか。すごいなぁ、なるほどなぁ、と、ウチの説明は何も聞かずに蔵衛門工事黒板だけ存分に触って帰られました。あれには結構凹みましたね(笑)。

ただ、その気持ちも理解できます。i-Constructionがどうとか色々聞こえてきますけど、中小企業にはハードルが高い部分もあります。実際、機械の業界は建設土木に比べると(戦略の違いはあれど)まだその点で遅れているかもしれない。でも、みなさん興味はあるんです。蔵衛門の電子小黒板は、その入り口としては一番ですね。コスト的にも導入しやすい方だし、なんといっても難しくないから」

IHIインフラ建設がICT活用による業務の効率化で蔵衛門工事黒板から始まり同時にGBRAINを生み出したように、蔵衛門の風が次の革新を呼び起こすことを願ってやまない。働き方は、まだまだ改革できるのだ。

IHIインフラ建設の業務効率化を牽引するGBRAIN。その一翼を蔵衛門工事黒板が担っている
IHIインフラ建設の業務効率化を牽引するGBRAIN。その一翼を蔵衛門工事黒板が担っている
▲IHIインフラ建設の業務効率化を牽引するGBRAIN。その一翼を蔵衛門工事黒板が担っている

これが私の<蔵衛門工事黒板>オススメ機能!

今回は、現場で実際に蔵衛門工事黒板をお使いいただいている林氏にお話を伺いました。

  • 工事情報を入力
    工事情報を入力
  • 情報を一括登録
    情報を一括登録
  • 黒板を一括作成
    黒板を一括作成

林氏「私のお気に入りは、電子小黒板に記載する情報をExcelで一括登録できるところ。黒板全体の内容を俯瞰できるので、撮影順番を考慮して並べ替えながらExcelのシートを作成しています。

事務所であらかじめ撮影計画を立てられるので、現場での撮影が格段にスムーズになりました。このシートをフォーマットとすれば、部下への作業引継ぎもしやすい。将来的には、私が現場に到着する頃には撮影計画も黒板作成も、すべて段取りが完了している、という状態になることを目論んでいます(笑)」

導入いただいたお客様

導入いただいた製品

蔵衛門工事黒板

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