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『ルクレ☆オンライン』を開く鹿島道路株式会社は、蔵衛門工事黒板を本格導入して、まだ半年あまり。したがって現場スタッフの多くが、すべての機能を使いこなしていないとのこと。現場間での情報交換はあるものの、会社としての本格的な導入教育もこれからと、同社建築部工事課長の武井氏は語る。「だから、まずは誰かにエキスパートになってもらわないと」とも。
鈴木氏は入社2年目。現場に配属されて半年ほどで電子小黒板に移行したこともあり、従来のアナログ黒板での撮影経験はそれほど多くはない。そのせいか、不便というイメージもあまりないのだとか。
鈴木氏「ただ、雨の日に関してはアナログ黒板の撮影は辛かったですね。ボードにペンで書いていたのですが、ボードが少しでも濡れてしまうと全然書けなくなっちゃうんです。だから撮るときも運ぶときも、とにかく濡れないように気を使いました。でも結局濡れてしまって、文字が消えてしまったりとか……。
工事写真は、その瞬間の状態を撮らなきゃならないので、もたもたしていられないんです。だから、これは大きなストレスでしたね。それが電子小黒板ではまったくない。この差は決定的だと思いました」
1日あたりの撮影枚数を聞いてみた。
鈴木氏「現場の進捗にもよるのですが、多いときは数百枚。特に、配筋の撮影時が多くなりますね」
なお、黒板データは自作するという。しかも配筋の撮影時には、豆図を切り出して、あらかじめ大量の黒板データを一括作成しておいたとのこと。さすが、蔵衛門工事黒板のエキスパートとなる使命を負うだけのことはある。一歩先を行く使い方だ。
鈴木氏「ただ、黒板を大量に作ると、撮影時に該当する黒板を見つけ出すのが大変で……。工事件名や工事場所といった階層表示で絞り込むのですが、それでも表示される黒板の数が多すぎて、なかなか目的の黒板にたどり着かない。何か良い方法はありませんか?」
では、テキスト検索(黒板一覧画面の右上の虫眼鏡アイコン)を使ってはいかがですか? と提案してみた。これを使えば、工事件名、工事場所など項目を問わず、黒板内で使用されているすべてのテキスト情報を対象に、任意の文字列で黒板を絞り込める。もちろん、アンド検索や、階層による絞り込みとの併用も可能だ。
鈴木氏「それは使ったことがありませんでした……。早速、社内で共有したいと思います。もっと早く聞けば良かった(笑)」
武井氏「こういうことなんですよね。わからないことや不満な点を(ルクレに)具体的に質問して、その回答を社内にフィードバックする役割って、やっぱり必要なんです。でも、それには質問する側がまず、前のめりになって使い込んでいかないと」
武井氏「とにかく、どんどん質問して、使いづらい点があればどう使いにくいのか、どう改善してほしいのかを言える、そういうコミュニケーションを鈴木には期待しています。そして、ルクレさんがそこで交わされた意見を採り入れて、よりよい製品にしていってくれれば理想的ですよね」
それはルクレとしても、ぜひお願いしたいところだ。それに、多くのメーカーがユーザーのための電話サポートを有料とする中、ルクレなら無料で利用できる。ぜひ、有効にご活用いただきたい。
鈴木氏「たとえば、先ほどの話題にも出た”豆図入りの黒板の一括作成”も、PC(蔵衛門御用達)上でないとできませんよね。でも、実際にはiPad(蔵衛門工事黒板)上で黒板を作る人が多いんです。そのため、せっかく用意されている機能を使えず、もったいない。まずは、PCで黒板を作った方が便利だということを浸透させていく必要があると思います。ただ、私としてはiPadで黒板を作りたい人の気持ちもわかるので(笑)、それも(ルクレに)お伝えしたいです」
鹿島道路の電子小黒板導入と活用は、一歩一歩、着実に進んでいるように見える。鈴木氏を選んだ武井氏の目は確かだったようだ。
ところで、導入して間もない蔵衛門工事黒板ではあるが、現場ではどの程度、写真業務への負担が減ったと感じているだろうか。入社5年目で鈴木氏の先輩でもある宮坂氏は「導入前の3分の2にはなっていると思う」と言う。
宮坂氏「先述の講習会や情報共有が本格的に始まれば、より効率化されるでしょう。台帳作成がほぼ自動化されたことに加えて、現場で黒板を書き直す時間がまるごとなくなった。この2点だけでも、かなり手間が減りました」
一口に3分の2とはいえ、同社のように全国に現場を抱える企業の場合、これを会社全体で測ると膨大な省力化やコスト削減に繋がる。しかも、そこに比較的容易に到達できるのだ。これは、電子小黒板ならではの注目すべきポイントだろう。
同社の今後のICT戦略について、お話を伺った。
武井氏「そもそも、当社が蔵衛門工事黒板を導入したきっかけは、国が打ち出したiーConstruction構想にいかにして追従していくかでした。どんな技術を導入したら効果があるのか調べていくうちに、たどり着いたのが蔵衛門工事黒板だったのです。また、すでに蔵衛門御用達を使っているスタッフが何人かいたので、その環境が活用できるというメリットもありました。
ただ、現状で満足というわけではありません。10年、20年後には3Dグラフィックの進化と業務手続きの簡略化が進んで、台帳作成や写真整理なんて不要になってしまうかもしれない。そういった時代の流れの中で常に技術を見極め、なるべく良いものを採用していきたいと考えています。とにかく現場の作業を1分でも短くしてあげたいというのが、本店の変わらぬ思想です。
そのためには、現場のスタッフには”その技術を積極的に使って慣れる”ことを求めることになってしまうけれど、これは必要なことでしょうね」
鈴木氏「慣れるためには、単に使い方だけでなく、製品の理解も必要だと思うんです。現場スタッフは、もっとこんなことができればいいのにとか、なんでこれができないの、といった希望や疑問を持っています。が、その中には改善点になり得るもののほか、技術的に難しいものや、インフラなどの環境事情から困難なものもあるようです。
でも、そういった理由って、私たち利用者側には見えにくいんです。だから、それらも含めて現場スタッフに説明して、みんながよりストレスなく蔵衛門工事黒板を使えるように、私がルクレさんと社内の橋渡しをしっかりとしていかなければと思っています」
鹿島道路と蔵衛門工事黒板がiーConstructionの未来へと続く道を作っていく。
鈴木氏のお気に入りは、黒板を非表示にできるところ。「この状態で撮影しても黒板の情報そのものは保持されているので、台帳作成時にきちんと仕分けてくれるのがいい」という。
鈴木氏「黒板に”全景写真”と書いておけば、自動的に全景写真のフォルダに仕分けられるので、週報を作るときなどに便利なんです」
非表示状態でも黒板の情報は内部的に保持されているので、撮影された写真は台帳作成時にきちんと仕分けされる。